ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

11/4 KAMELOT / AWAKEN THE WORLD JAPAN 2023 at CLUB CITTA'

NEX_FESTの興奮冷めやらぬまま、その翌日に僕は川崎にいました。シンフォニックメタルバンド・KAMELOTの来日公演です。

 

この三連休はNEX_FESTとKAMELOT、さらにはVEKTORにMotley Crew・DEF LEPPARDと、色々なバンドの来日が被りまくっていたんですね。そのせいでこんなカツカツな日程になってしまったのです。

 

VEKTORも正直観たかったのですが、まあ僕の趣向を考えるとKAMELOTを観逃す訳にはいかなかったんですよ。2015年のLOUD PARKで1回観たっきりで、単独公演の経験はありませんですし、最新作『The Awakening』はかなり良かったですし。

 

前日の特濃フェスの余韻にまだまだ浸っていたかったのですが、ここはしっかり頭を切り替えねばならんと、頑張ってシンフォニックメタル脳にチェンジさせる。まあ、会場に向かう途中までは余韻を引きずってBRING ME THE HORIZONを聴いていたのですが…

 

川崎に到着した段階では、まだ入場時間まで多少の余裕があったので、近場のサンマルクカフェでコーヒーブレイク。その際にKAMELOTメンバー(たぶんキーボードのオリヴァー)とスタッフが普通に店の中に入ってきて、休憩し出したのでちょっとびっくりしました。開演まで2時間もないけど大丈夫なの?

 

頃合いを見計らって、会場となるCLUB CITTA'へ到着。整理番号はそこそこ後ろの方だったのですが、フロアに入ってみるとだいぶガラガラで、結構前の方に陣取ることができました。さすがに開演直前くらいになれば人数も増えてきたものの、ザッと見た感じでは良くて7割くらい。ギュッと詰めれば半分強くらいの客入りだったのではないかと思われます。

 

2デイズという日程に、来日被りも加わったため、フロアに多少の寂しさが漂うのはまあしょうがないでしょうね。むしろ客層は若干異なるとはいえ、Motley CrewとDEF LEPPARD丸被りの2日目で、これだけお客さんを呼べるだけ凄いと言っていいかも。

 

しばらく待った後に暗転し、ステージ上を怪しく照明が灯す。「騒げ、川崎!」というトミー・カレヴィックの煽りに、メンバーの姿は見えないうちから早速歓声が響く。後ろの台に設置されたキーボードのオリヴァーと、ドラムのアレックスから登場。

 

フロントの3人も遅れて登場し、フードを被ったトミーが怪しげなオーラを放ちつつ、オープニングナンバーは「Phantom Divine (Shadow Empire)」。ニューアルバムをリリースしたばかりなのに、何故か前作の曲からのスタートとなりましたが、良曲だけに当然盛り上がる。

 

演奏が始まってまず驚いたのが、パフォーマンスがヘヴィメタルとして普通にアグレッシヴでカッコいいこと。音源を聴いた感じだと、KAMELOTって耽美で気高いイメージを強く持っているバンドなんですが、ライヴパフォーマンスの力の入りっぷりは予想以上にパワフルでした。

 

音自体もリフの主張が結構ヘヴィ寄りでヘッドバンギングしやすいし、ギターのトーマス・ヤングブラッドと、ベースのショーン・ティブベッツの動きがかなり活発。特にショーンなんか、ドレッドヘアをブンブン振り回し、ヘヴィリフに合わせて体を揺らす様は、まるでニューメタルバンドかのようなアグレッション。これはシンプルに観ててアガる。

 

トミーのヴォーカルの安定感も素晴らしくて、優美でキャッチーなメロディーを伸びやかに歌い上げていました。トーマスとショーンの存在感がどれだけ大きくても、フロントマンとしてのオーラが陰りを見せていない。中央の花道を積極的に活用して(これはトーマスとショーンもですが)、より近い位置からアピールを繰り返し、時にはステージを降りて、最前列にいる観客にタッチしてコミュニケーションを交わすなど、かなり親しみやすい印象を受けました。

 

KAMELOTというバンドの独自な世界観は、高度な演奏とヴォーカルでしっかりと表現しつつ、ライヴパフォーマンスの充実度で、単にストイックに楽曲を演出するだけでなく、芸事としての見応えを強いものにしているのが、彼らのライヴの魅力だということがよくわかりました。

 

そんな素晴らしいステージングに、さらに華を添える役割を果たしていたのが、ゲストヴォーカルとして帯同しているメリッサ・ボニー。

 

真っ黒な衣装にキラキラのラメ装飾を施した姿からしインパクトがありますが、なんといっても驚くべきはその歌唱力の高さ。クリーンの安定感と伸びは抜群だし、デスヴォイスの出方がメッチャクチャに綺麗。フロントマンとしての存在をバリバリに発揮するトミーと並んでも、決して引けを取ることのないヴォーカルパフォーマンス。

 

KAMELOTのダークな部分を彼女のデスヴォイスで描きつつ、オリヴァーのキーボードアレンジでシンフォメタルの優雅さを演出、ヘヴィかつタイトな演奏によってメタルらしい激しさを押し出す。このライヴクオリティーの高さは尋常ではない。意外なほどキャッチーでとっつきやすい歌メロもありますし、退屈する瞬間がないんですよね。

 

ただ、途中で挟まれたアレックスのドラムソロは、あんまり面白いプレイではなかったような...。まあこれはメインコンテンツではないからしょうがないか。

 

場内の反応が一際大きくなるのは、やはりKAMELOTクラシックと呼べる「Center Of The Universe」や「Karma」。もうギターのメロディーから大合唱で、これを待っていたと言わんばかりの熱気に包まれる。名曲の強さですね。

 

中でもクライマックスの「Forever」は、最大級のハイライトと呼べるもので、あのメインメロディーはみんなシンガロングせずにはいられない。途中でなぜかQUEENの「We Will Rock You」のパートを挟み、2015年のLOUD PARKで観た時のように、オーディエンスとのコールアンドレスポンスも見せる。

 

ただそのコールアンドレスポンスで行われるコーラスが、素人が歌うにはなかなか難しいメロディーラインが多く(トミーのイジワル)、僕の後ろから「いや、ムズイよ」という声が漏れていました。

 

アンコールはトミーが仮面を被って登場し(Symphony  Xのラッセル・アレンほどのチープさは無かった)、SEで済ませられそうな語りまできっちりとやりこなし、「Ghost Opera」で堂々たるスタート。

 

「One More Flag In The Ground」ではトミーがステージ袖から渡された日本国旗を振りかざすパフォーマンスを披露。最後の「Liar Liar (Wasteland Monarchy)」は、アリッサのデスヴォイスコーラスをメリッサが担当して、男女ヴォーカルが絡み合う魅惑の世界観をバッチリと表現していました。シンガロング必至なサビのカッコよさも相まって、ラストに相応しい劇的な展開だったと思います。

 

 

フルセットでのライヴを観るのは初めてとなるKAMELOTでしたが、前述した通り耽美なシンフォニックメタルとしては、メタルとしてのアグレッションを強調したパフォーマンスだったのが、何よりも印象に残りました。演奏するだけに徹するのでなく、全身をフルに躍動させるようなアクティヴなステージングの印象がとても良かったです。

 

それに釣られるようにして、こちらのテンションも最後まで落ちることはなかったですし、メリッサという実力派ヴォーカルの助けもあって、総合的なクオリティーの高さはかなりのものがあったのではないでしょうか。

 

これだけのライヴを、チッタの半分強くらいの人数しか観られないのはもったいない限り。この来日ラッシュ故に仕方ない面もありますが、もっと多くのメタルヘッズが体感するべきだったと声を大にして言えるライヴでした。