ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Parkway Drive 『Reverence』

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  • メタルコアっぽさは希薄なヘヴィミュージック
  • コーラスやストリングスサウンドによるドラマ性
  • 泣きの旋律と激情のシンガロングに燃える

 

以前より名前だけ聞いてて気にはなっていたものの、今の今まで聴かずじまいだったParkway Driveをようやくしっかり聴きました。タワーやユニオンに全然売ってなかったので、普段CD購入には使わないAmazonでお出迎え。

 

オーストラリア出身のメタルコア/オルタナティヴメタルバンドの、2018年発表の現時点での最新作です。新宿のタワーヴァイナルでアナログ盤のジャケットを見かけた時は「カッコ良さそう...」と思わず見とれちゃいました。

 

このバンド、10年以上前に1回こっきり来日しただけなので、日本での知名度はたかが知れてますが(このアルバムだって国内盤出てないし)、海外ではすでにかなりのビッグバンドのようで、RESURRECTION FEST 2019ではヘッドライナー級の扱い、WACKENやRock am Ringなど錚々たるフェスにも名を連ね、母国のツアーはソールドアウト祭りと、ヘヴィミュージックシーンにおいて大活躍をしている様子。

 

やはり「70〜80年代の要素を持っている音こそメタル。それ以外はメタルではない。認めん!」という思想がまかり通りやすい(それがダメとは言いませんけども)日本のシーンでは、こういうモダンヘヴィな音を出すバンドは受け入れられにくいんですかねえ?本作を聴いた限りだと、普通に日本のヘヴィミュージックファンも満足するサウンドだと思うんですけど。

 

デビューした当初はアルバムのプロデュースをKILLSWITCH ENGAGEのアダム・デュトキエヴィッチが務め、割とオーソドックスなメタルコアをプレイしていたそうですが、本作においてはメタル的なザクザク感のあるギターリフはさほど聴かれない。どっしりした重めの音作りは、メタルコアというよりグルーヴメタル、オルタナティヴメタルという言い方の方がしっくりきそうで、どことなくFIVE FINGER DEATH PUNCHに近い印象があります。

 

本人たちも「メタルコアではない」と言い切っているようですし、あまり狭いジャンルに縛られないようにして、バンドのスケールアップを図った感じでしょうか。

 

nmmag.jp

 

ただそんな細かいジャンル論争など抜きで、単純にヘヴィメタルとしてカッコいい音を鳴らしている。メタルコアにこだわる人はどう感じるかはわかりませんが、初期作を聴いていない僕からすると、素直に、掛け値なしにカッコいいサウンドですよ。

 

ラウドな音を求める人に刺さる「ヘヴィさ」という要素はバッチリと担保されており、そこに仄暗く、哀愁を効かせた(クサいわけではない)メロウな旋律を、コーラスやギターフレーズで描き出している。単にヘヴィなグルーヴで押し切り一本なバンドではなく、個人的にはそこが嬉しいポイントですね。

 

それを特に強く感じる瞬間がM4「Cemetery Bloom」からM5「The Void」の流れ。語りにどこか神聖なムードを放つコーラス、ストリングスサウンドが加わるインタールード的なM4の時点でドラマチックさの萌芽を見せ、最も哀愁に満ちた激情シンガロングを聴かせるサビが胸を打つM5は、本作のハイライト足り得る名曲です。メロディアスな泣きを表現したギターソロも素晴らしいし、エンディングを飾るシャウトの応酬も最高だ!

 

それ以外だと跳ねるリズムに非常にキャッチーなヴォーカルパートを合わせた、シンガロング必至なグルーヴメタルナンバーM2「Prey」、M5と同様に哀しみを湛えた激情、ヘヴィなモダンリフという生命線を残したたま、ドラマチックなギターとストリングスでエンディングを締めるM9「Chronos」がお気に入り。

 

全編通してヘヴィでメロディアスという線が通り、序盤・中盤・後半にキラーチューンを揃え、物哀しい語りによるM10「The Colour Of Leaving」で余韻を残しながらゆっくりと幕を引いていくアルバム全体の構成も良い。さらに言うなら収録曲数と時間を絞っていて、曲世界に没頭しやすいのもナイス。アルバム単体として非常に完成度が高いと思います。

 

聴く人が聴けば日本でもウケると思うんだけどな〜。カッコいいヘヴィミュージックが好きな人は聴き逃さないようにしてほしいです。

 

 

個人的に本作は

"哀愁と神聖なムードをも貪欲に盛り込んだ、激情に満ちたグルーヴメタル。曲単位・アルバム単位共に隙のない完成度"

という感じです。

 


www.youtube.com

 


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