ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

MinstreliX 『11 Trajectories』

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  • J-METALシーン最強レベルのクサメロ
  • 煌めくキーボードのアレンジで豪華に彩る
  • 歌唱スタイルが気になる人はいるかも

 

大阪府出身のメロディックスピードメタルバンド・MinstreliXの、前作フルより7年振りとなるフルアルバム。

 

彼らの過去曲はあまり聴けていないのですが、もちろん名前は前々から存じ上げてました。クサメタラー達にとっては伝説的存在であると。

 

2004年に発表したデモ音源「Thirst For...」のあまりのクサさに、鼻がひん曲がった状態でブっ倒れるクサメタラーが続出、その後出した音源も軒並み異臭を漂わせたものばかりと、日本のクサメタル界の金字塔とも呼べるバンドです。

 

僕はクサいのももちろん好きですが、キャッチーであれば必ずしもクサさには拘らないクチだったので、取り立てて音源を追っかけてはきていませんでしたが、GALNERYUSHELLOWEENにEDU FALASCHIと、メロスピ/メロパワ界隈がやけに新作発表に意欲的で、その流れに乗ってきたこのバンドにも興味を惹かれまして。しかもフルアルバムとしては7年振りというのも「せっかくだから聴いてみるか」という気にさせてくれました。

 

そして聴いてみて、クサメタラーがかつて悶絶死を遂げたというのも納得しました。

だってクサいんだもん。クサくない瞬間がないんだもん。

 

漫画『SLAM DUNK』で、週刊バスケットボールの中村君が河田雅史のことを「おっきくてウマい」と表現していましたが、彼らMinstreliXはさしずめ「クッサくて速い」。

 

謡曲っぽさはそれほど強くなく、キラキラした様式美系キーボード(M3「The Eternal Journey」ではGALNERYUSのYUHKIさんが参加)を用い、時にフォーキッシュなメロディーが顔を覗かせつつも、ヨーロピアンな雰囲気を保つ煌びやかなメロディーラインで疾走する。歌謡メタルではなくあくまで欧州風味のメロスピ

 

しかしそのメロディーが、下手な歌謡メタルよりも濃厚と言ってしまえるほどクサい!イントロのM1「To The Distant Skies」から、早速ギターが鬼のようにクサいメロディーを垂れ流し、続く実質的オープニングナンバーのM2「Memento Mori〜The Goddess Pt.2〜」は始まった瞬間からクサクサのサビメロをリードギターで唸らせる。ゴージャスなキーボードとオケヒも飛び出し、豪華絢爛という言葉がよく似合うメロスピへ。エリサ在籍時のDark Moor辺りをこよなく愛した者にとっては「これを聴きたかった!」と感涙に咽びながら、鼻をつまんで喜ぶことでしょう。

 

やや歌モノ寄りの側面を出したM5「Invisible World」、M8「Black Eyes」のような曲も用意しつつ、基本は疾走感重視の王道クサメロスピを気持ちいいほど貫いていて、異臭を愛するメタラー歓喜の展開が終始続きます。

 

ただそんな本作、一つだけ大きく気になる点があります。それがヴォーカルの歌い方。

 

Leo Figaroさんのヴォーカルはよく言われているように、非常にハイトーンが達者で、要所要所でスパッと突き抜けるロングシャウトを披露し、実に見事なんですが......通常のヴォーカルパート、普通に歌っている箇所についてちょっと違和感を感じてしまったんですよ。「アレ?この人こんな真っ直ぐすぎる歌い方だったっけ...?」と。

 

なんというか、抑揚やら起伏やらをほとんどつけず、ひたすら真っ直ぐ。そんな感じの声なんですよ。「Thirst For...」ではもっと声色豊かに歌っていたと思うんですが...(20年近く前の音源と比べるのもアレですが)

 

英語の発音がジャパニーズイングリッシュなのは日本のバンドなのである程度仕方ないものの、この真っ直ぐな歌声との相乗効果で、より耳につきやすくなってる感もありつつ...。何度か聴き直しても、どうしても違和感が拭えませんでした。

 

そんなヴォーカル面の気になる部分はありますが、やはりこのメロディーのやりすぎなまでのクサさ加減、それを活かすゴージャスなサウンドのアレンジは、麗しきメロスピの愛好家であれば間違いなくツボにハマるはず。Dark Moorの2nd、3rdにかつてヤられた人なら、必ずや響くものがあると思いますよ。

 

もし本作が20年ほど前にリリースされていたとしたら、日本各地でクサメタラーは大フィーバー、一大センセーションを巻き起こしていたのではないかとすら思えますね。2021年の音楽シーンで、果たしてこのスタンスがどれだけ受け入れられるか...

 

 

個人的に本作は

"ヨーロピアンスタイルを貫き通した豪華絢爛クサメロスピ。メロディーのクサさだけなら間違いなく2021年最強クラス"

という感じです。

 


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