ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Hawaiian6 『SOULS』 (2002)

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ここ最近メロスピクサメタル系の音源感想が続いたので、今回は同じクサ系統音楽でも異ジャンルであるパンクについて。

 

出している音そのものは典型的なパンク・メロコアながら、そのメロディーにおいてクサメタラーからの支持を得ることに成功したHawaiian6。何年も前にどっかのクサメタルバンド(たぶんMinstrelixだったと思う)のホームページで、メンバーの一人がフェイバリットアーティストに彼らの名前を挙げていたのを見た記憶があります。

 

そんな彼らがインディーズパンクレーベルの名門であるPIZZA OF DEATHに所属して初めてリリースされた1stフルアルバム。

 

タイトさとは無縁な勢い重視の疾走感、技巧的なことはほぼしないかなりラフな演奏、ヴォーカルのあまりにもグッチャグチャな英語の発音など、音自体は典型的な昔のパンクそのもの。この時点で整合性を求めるリスナーの耳にはだいぶしんどいと思われます。

 

しかし彼らは十把一絡げなHi-STANDARDフォロワーとは訳が違う。昭和歌謡にも通じる激泣きの哀愁をメロディーに盛り込んでおり、クサメタルならぬクサパンク・クサメロコアの様相を呈しています。メロスピのような欧州メタルのクサさではなく、日本的な歌謡メロで統一されているのは国民性故か。

 

M1「LIGHT AND SHADOW」は激泣き哀愁ドラマチックパンクの幕開けを飾るに相応しい名曲で、そのインパクト抜群のイントロのギターフレーズ、TORUさんによる絶唱コーラス、ラストの大サビの”new world!? new world!? new wo~~~rld!?"の畳みかけまで、強烈な哀愁にまみれたキラーチューンです。

 

M2「AN APPLE OF DISCHORD」はより繊細で儚げな悲しさを表現し、激しさだけではないことをアピール、M3「THE BLACK CROWS LULLABY」はさらに昭和歌謡の香り漂うサビがたまらん。日本のメロコアバンドは海外のバンドより哀愁よりのメロディーが多いイメージがあるのですが、その中でも彼らの紡ぐ旋律の切なさはやはり群を抜いている。

 

シャンソンの名曲「枯葉」をあろうことかメロコアカバーしたM10「AUTUMN LEAVES」なんてのもありますが、これも飛び道具になるようなことはなく、彼らのオリジナル曲だと言われても違和感がないほどにマッチしています。アイデンティティである哀愁と通じるものがあるのでしょう。個人的にはどうしても「先週上野へ」の空耳のイメージが強いのですが(笑)

 

ただ半数以上の曲でドラマチックな泣きが展開されるのですが、やや明るめの比較的シンプルなメロコアナンバーも多数あり、そういった楽曲のメロディーはあまり面白くないのがネックと言えば言えるかな...。後に出す名盤『BEGINNINGS』『BONDS』では明るい曲の中にも、どこか憂いを忍ばせた叙情性があるのですが、本作でそれを感じさせるのはM4「ETERNAL WISH, TWINKLE STAR」とM11「PROMISE」くらいかな。この辺はまだ一介のハイスタフォロワーだった残り香が強い感じ。

 

荒すぎる演奏とヴォーカルが聴ける哀愁メロディー派の人は是非とも耳を傾けるべきサウンドメロコアを「知能指数低めの明るいポップパンク」としか認識していない人こそ聴くべきかも?新たな発見に繋がる可能性ありますよ。

 

 

個人的に本作は

"超荒い勢い任せなサウンドに超悲しい哀愁歌謡メロを混ぜ、泣きの国産メロコアに先達をつけた歴史的作品"

という感じです。

 


Hawaiian6-AN APPLE OF DISCHORD(OFFICIAL VIDEO)

 


HAWAIIAN6 / Light And Shadow (BONDS FINAL)