- 前作のサウンドの軽さが大幅改善
- 個性と演出技法の幅を広げた必殺の美メロの連続
- バンドを象徴するキラーチューンの存在が強い!
前回dustboxの過去作について書いたので、せっかくだからまだ感想書いてない他のアルバムについても触れてみようと思います。
東芝EMIでメジャーデビューするも、音楽的に未熟ですぐにインディーズへ逆戻り。しかしその後発表された『triangle』『Mr. keating』という2枚のミニアルバムで急激に楽曲のクオリティーをアップさせ、その勢いのまま、00年代中盤の国産メロコアの金字塔『13 Brilliant Leaves』を発表したdustboxが、そこからわずか1年ほどでリリースした4thフルアルバム。
前作の時点でdustbox節と言える哀愁のメロディーで疾走する、ダストスタイルメロコアは確立してましたが、本作はさらにそのグレードを上げている。どこか軽さが残っていたサウンドが格段に強く、たくましくなり、パンクらしい攻撃性が見違えて向上しています。
そして突進力の向上のみならず、クリーンで浮遊感のある、ポップな響きのギターが効果的に使われており、ただ疾走するだけでない引きの展開も豊富に聴かせてくれるのもポイントですね。これが美しいメロディーとヴォーカルと相まって、叙情性をさらに強くさせる方に作用しています。元々あったメロディーのセンスがより一層活かされる形となりました。
壮大なサビで強烈な哀愁を放ち、クリアなヴォーカルがとことん綺麗な爆走メロコアM2「Right Now」は、まさに開幕を彩るに相応しい名曲。現在のライヴでも頻繁に演奏されるdustboxのアンセムの一つですね。
同様にSUGAさんのヴォーカルとの相性がピッタリなエモ的哀愁バリバリのM3「My Will」、M5「Mr. Sadness」、といったメロコアチューンから、ポップな側面を強調したM4「Rain or Shine」、M10「Flash Back」に、より湿った叙情美を押し出したM8「Wall of Ice」、ベーシストのJOJIさんがバイクを盗まれた怒りを爆発させたハードコアナンバーM9「Neo Chavez 400」と、彼ららしい美メロメロコアから逸脱しない中でレパートリーが広がった、優れた楽曲が目白押し。
そしてクライマックスに鎮座するM11「Tomorrow」は、これまでの彼らが描き出したdustbox流メロコアの総決算ともいうべき名曲。非常に切ない中にも温かさを感じさせる叙情リフで爆走、サビでは本作随一と言えるほどの猛烈な泣きメロを発散!
前作で充分に国産パンクシーンのトップに立ったと言える彼らですが、そこからさらに一皮むけてしまった、泣きのパンクの名作。本作を聴かずして日本のメロコアは語れないでしょう。
個人的に本作は
"珠玉の叙情メロディーと演奏の質をさらに格上げした、名曲揃いの哀愁爆走メロコア"
という感じです。
公式のMVが見つからなかったのでSpotifyで...