ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Judas Priest 『Painkiller』

f:id:Show_hitorigoto:20210203224424j:plain

  • 黄金期のメタルゴッドによる神々しき大名盤
  • 怒涛のアグレッションで畳みかける超攻撃作
  • メタルヘッズならば避けては通れない

 

ここ最近の当ブログ、どうもヘヴィメタルから遠い内容ばかりになっていたので(笑)、ここで「ヘヴィメタル中のヘヴィメタル」「ヘヴィメタル界における最高峰のアルバム」を取り上げます。

 

メタルヘッズにおいてはもはや説明不要、メタルゴッドJudas Priestが1990年に発表した、正統派メタルの聖典。メタル史に残る超名盤であり、つい最近になってベースを弾いているのがイアン・ヒルではなかったという事実も暴露された12thフルアルバム。

 

amass.jp

 

 『Turbo』でポップ&モダンな作風になったのを批判されたり、訳わからん難癖をつけられ裁判沙汰になったり、ドラムのデイヴ・ホーランドが脱退したりと、やや苦境に立たされてたことが想像される彼ら。元RACER Xのスコット・トラヴィスを迎え入れることで布陣を立て直し、そして「第2のデビュー」と呼ぶに相応しい大名盤を生み出したわけです。

 

80年代後半に隆盛していたスラッシュメタルの攻撃性に影響を受けつつ、あくまで本分としての正統派ブリティッシュヘヴィメタルの型を守り抜いた楽曲で構成された本作。言語化するのも難しいような、得体の知れないアグレッションが渦巻いており、決してツービートで爆走するような楽曲は収録されていないのに、異様なテンションの高さで畳みかけられる感覚を味わうことができます。

 

新加入のスコットが己のテクニックを誇示するかのようなドラミング、そこからシャープな鋼鉄の歪みを持たせたギターが切り込まれ、ロブ・ハルフォードの強靭かつ異形のハイトーンヴォーカルが登場するM1「Painkiller」は、もはや説明不要のメタルゴッド・アンセム。鬼気迫るロブのシャウトと、鋭利なプレイの中にもブリティッシュな様式美を感じさせるギターの緊張感の高さにゾクゾクさせられます。

 

2015年3月11日、日本武道館で初めて彼らのライヴを観たのですが、この曲を聴いたときの感覚は忘れもしません。ドラムのイントロが流れた瞬間、一気に血液が沸き立ったかのような高揚感を覚えました。

 

その後もロブのヴォーカルはギンギンな殺傷能力を隠すことなく、怒涛のアグレッションで攻め立て続ける。荘厳で堂々たるリフ展開を見せるM2「Hell Patrol」に、冒頭のハイトーンヴォーカルと曲タイトルを叫ぶシンガロングが印象強いM3「All Guns Blazing」と、前半は特に勢いの強い楽曲で固められています。ド頭からどんどん続く音の波状攻撃のインパクトの強さで、このアルバムの攻撃的なイメージを決定づけられました。

 

後半に差し掛かると、強烈なテンションの高さはほんの少し落ち着き、よりメロディアスなフックを持った楽曲で迎え撃つ。サビの全身全霊のシャウト、美しく気高いギターソロにより、攻撃性とメロディアスさのバランスが見事に取れたM7「Between The Hammer & The Anvil」、本作中特にブリティッシュロックらしい、湿り気を帯びた哀愁のメロディーセンスが息づくM8「A Touch Of Evil」、シンプルかつどっしりとしたリフで進む様と、ギュワンギュワン唸りを上げるギターソロが、信念の守護者たるに相応しいM10「One Shot At Glory」。どんなタイプの楽曲にもメタルゴッドとしての威厳が備わっていて、捨て曲や隙は見当たらない。

 

この極端にエクストリームなわけでも、ヘヴィなわけでも、メロディックなわけでもないのに、ヘヴィメタルとして完璧と思わざるを得ない完成度の高さは何なんでしょうね。2021年にもなって今更語るのもおかしなことですが、メタルヘッズとして生きる上で避けては通れぬ作品です。

 

 

個人的に本作は

"ヘヴィメタルの神が創りし大名盤"

という感じです。

 


Judas Priest - Painkiller

 


Judas Priest - A Touch of Evil (AC3 Stereo)