
7月以降仕事が激務に突入しつつも、この日だけは定時を迎えたあと速攻で荷物をまとめて会社を後にする。残業が常態化した現在、こんなスピーディー退社は非常に珍しい。
理由はもちろんライヴがあるから。新進気鋭のメタルコア(と言っていいのかどうかはわからないけど)を鳴らすPaleduskの、新EPに伴うツアーです。
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当初からこのライヴには行こうかなとは思っていたのですが、いかんせん今の仕事の状況を鑑みると、前売りのチケットを購入するのに躊躇してまして。そうしたらチケットはソールドアウトしてしまい、当日券は会場の様子を見て若干枚出るということに。
今勢いのあるバンドとはいえ、さすがに一般受けするタイプのバンドではないだけに、平日に1300人キャパの会場をソールドさせるとは思っておらず(良いことではあるんですけどね)、当日行けそうだったら当日券で観ようと気楽に考えていたのに、当てが外れた感じです。
若干枚数がどの程度かわからないため、なるべく早めに会場に着いた方が良いと判断し、周りの同僚にも驚かれるほどのスピード退社を経て、会場となるSpotify O-EASTへと到着。幸い普通に当日券は買えました。
ソールドしているだけあってフロアは当然大盛況。僕のようにスーツ姿の人はほぼおらず、ライヴキッズの装備をバッチリ決めた人たちがたくさん。一段下のフロアはハードコアなモッシュが大炸裂するだろうから、後方でカシオレ飲みつつ待機することに。ステージバックのスクリーンには、何やら物々しい門が映し出されていました。

開演時間を10分ほど過ぎたあとに暗転し、すでに開幕のSEの時点から合唱しているほど熱量の高いファンに迎えられてメンバーが登場。ヴォーカルのKAITOさんとギタリストのDAIDAIさんは、この手の若手バンドにはなかなか見られないような衣装に身を包んでいる。
バックスクリーンに映っていた門が開くと、地獄のような光景にドラゴンが飛び交う映像が流れており、「なんかパワーメタルみたいだな」と思ってしまいました(笑)
若いメタルコア系統のバンドは、わりと普段着っぽいというか、ストリート系の派手すぎないファッションが多い印象だったのもあり、ここまでしっかりステージを作り込んできているというのが少し意外でした。
最新作収録の「NO!」からスタート。ヘヴィパートではさっそくハードコアモッシュ合戦が行われるスペースが生まれて、バンドの攻撃性抜群の演奏に煽られるように、クラウドサーファーの数も増していく。"NO!"のシンガロングもバッチリ決まってました。
人が密集しているものの、幸い僕周辺にそこまで背の高い人がいなかったのか、ステージはそこそこ観やすい。とはいえ僕は右側の方に待機していたので、下手側ギターのTSUBASAさんは人の頭に隠れがちでしたが。
やはりステージ上で一番目を引くのはDAIDAIさんで、ライヴ開始直後から回し蹴りするかのような回転を何度も繰り返し、ことあるごとにステージ中央のお立ち台に上がって、ギターを高く掲げる。ステージ衣装の奇抜さも、特徴的なヘアースタイルも相まって、華々しさを強く放っていました。
フロントマンのKAITOさんについても、アフロとまではいかないまでも、パーマをガッツリかけたモリモリのヘアースタイルにサングラスという、かなり特徴的な見た目をしていて存在感抜群。シャウトの破壊力も充分にあり、音源で聴ける迫力を一切損なっていません。
ドラムのBOBさんは、あまりド派手な仕事をする感じではなかったのですが、目まぐるしい展開を繰り広げ、かつ重心の低いヘヴィサウンドを支えるのに充分なタイトさを誇るドラミングを一貫して継続していました。フロントが魅せるタイプであるからか、相対的に縁の下の力持ち的な印象を抱かせる感じ。
ただ、フロントマンに比べ派手さには少々欠けるせいか、「BOBのファンだって人は手を上げて」とKAITOさんが尋ねた際に、ワンマンライヴにしては上がった手の数が少なめだったのはお気の毒(笑)
今回は各楽曲の音源でゲスト参加したミュージシャンが多く現場に駆けつけてきていて、音源通りのヴォーカルを聴く事ができるのも注目ポイント(半分はよく知らない人なのですが) 「I'm ready to die for my friends」でVIRGOMANさんがやってきたのを皮切りに、ここぞというところでゲストヴォーカルが登場し、ステージにさらに華を添える。
やはりラスト付近に登場したcoldrainのMASATOさんと、CROSSFAITHのKoieさんが、やはりステージ慣れしているのもあって、特に見応えのあるパフォーマンスを披露していましたが、特に見た目が印象に残ったのは、「SUPER PALE HORSE」で登場したCVLTEのaviel kaeiさん。見た目がおっかねえし、顔が見えん(笑) なにあの衣装?どっかの教祖様?
まあ、そんなゲストが登場することで、さらにステージに対する引きが強まっていたのは事実ですが、バンドのパフォーマンス自体が非常に強力で、複雑怪奇ながらもポップなフィーリングを持った楽曲の魅力もあり、ゲストがいない時間帯においてもテンションが下がることはまったくありませんでした。
少々毒気のあるユーモアのセンスがあるイメージがあったKAITOさんのMCも、「今日はネガティヴなことは言わない!」と最初に宣言。少し背伸びしていたO-EASTワンマンがソールドしたことの喜び、目の前のファン全員を満足させるという決意をまっすぐに語る。こういう事もしっかり言う人なんだな、とちょっと意外に思える。
今日誕生日を迎えたという観客の一人(ノブさんというらしい)を見つけて、サイン入りのポスターをプレゼントしてハッピーバースデーを歌うような、遊び心を見せる瞬間もありつつ、後半のMCでは少々長めに時間を取って、「Paleduskは俺のバンドです」と力強く堂々と言い放ちました。
そこから始まったのは、「PALEHELL」「RUMBLE」「Q2」という、今回のEPのキラーチューンを3曲連続で披露するという超強力な流れで、間違いなく本日のハイライト。後半になってもこの3曲がなかなか来なかったから、「ひょっとしたらラストにまとめて来るのか?」と期待してたため、いざ続け様で来られたらアドレナリンが思った異常に放出されましたわ。
マイフレンド この世界を愛して
マイフレンド 強く抱きしめて
マイフレンド 歌おう
この地獄を笑って
このパートが今日一番の大合唱となり、会場の一体感が最も強く感じられた一幕になりました。きっとこうなるだろうと思ってはいたものの、いざこの歌声が一塊となった瞬間に立ち会うと、なかなかグッと来るものがありましたね。
ダメ押しとばかりにゲストを迎えた「RUMBLE」「Q2」も、シンガロング大爆発、モッシュにクラウドサーファー大量発生の時間帯となり、ここまでの破壊力でライヴ終盤を締められるとは、このバンドのライヴはかなり強いな、と。
それだけに、「Q2」が終わった後は「この後にまた曲が続いても、正直蛇足感が出てしまうんじゃ?」という危惧があったのですが、そこはさすがに場数を踏みまくって鍛えられたのか、すぐさま感傷的なムードを切り替えて、本編ラストの「AREA PD」を投下する。『PALEHELL』のジャケットにいるちっちゃい鬼みたいなヤツが、バックスクリーン上でダンスしてるのがちょっと可愛らしい。
アンコールまで含めて2時間にわたる充実のステージ、個性的なゲストヴォーカルの登場がありつつも、何よりバンド自体のエネルギッシュなパフォーマンスがバチバチに輝いていて、シンプルに良いライヴだったと思える時間でした。
なお、最後の曲が終わってメンバーが退場する時にかかっていたSEはなぜか嵐の「Love so sweet」で、KAITOさんが1番だけシャウトを交えつつ歌い、クラウドサーファーも生まれるという謎時間が発生してました(笑)
ジョークでやっているのは明白ながら、それでも結構な声量の合唱が起こっていたあたり、一時代に名を残すヒット曲って浸透してるんだなぁと思ったものです。
ラストは何故かLove so sweet pic.twitter.com/3RzKaKEujK
— Show (@show_hitorigoto) July 26, 2024