皆さま、メリークリスマス🎵
聖なる夜ということで、この時期にピッタリのアルバムの感想記事でも書いてみようと思い立った次第でございます。
アメリカはフロリダ州出身、80年代からアンチクライスト・悪魔崇拝の姿勢を徹底的に打ち出す、真正のデスメタルバンド・DEICIDEの最新作です。ん?なんだって?ツッコミは受け付けんよ。
このバンドについては、2006年発表の『The Stench Of Redemption』を聴いたことがあるくらいで、そこまで熱心におっかけているバンドではないのですが、デスメタルらしい禍々しさと恐ろしさを充分に持ちながらも、どこかキャッチーと言えるほどの聴きやすさも有しているということで、本作を手に取ってみました。どうやら前作からギタリストが変更しているようす。
あまり各曲ごとに個性を主張するようなタイプではなく、メロデスのようなわかりやす〜いリードギターのようなものも当然ながら無い。無慈悲なまでにエクストリーム、ひたすら邪悪さを振り撒いています。
ただし、現代的なモダンヘヴィな質感や無機質な響きもなく、スラッシュメタルからの影響も濃いというスピード感とリフ、速弾きを唸らせるギターソロがふんだんに差し込まれる構成により、邪悪ながらも生々しい、トラディショナルなメタルの血流が流し込まれている。この音像は、どことなくCARCASSとかCANNIBAL CORPSEあたりに通じるものがありそう。
ヴォーカルのグレン・ベントンは、本作の音について「モダンさもあるけれど、基本的には90年代への回帰だ」と語っているらしく、近代的で人間味の薄いサウンドにするつもりは無かったんでしょうね。ここまで邪悪なアルバムにこんなこと言うのもなんですが、この音作りの方向性のおかげで、聴いていて気持ちよさや爽快感のようなものを感じるほど。
それによりメロデス以外のデスメタルはあまり好んで聴かないような僕ですら、「ヘヴィメタルとしてカッコいい」と認識できるサウンドになってくれてる訳ですが、とはいえ基本線はメロウさをかなぐり捨てたデスメタルですからね。駆け抜けるサウンドに陶酔してたらいつの間にか後半に差し掛かってた、といった塩梅なので、「どの曲が一番気に入った?」という問いに答えるのは少々厳しいです(笑)
まあ強いて挙げるなら、超高速のドラムビートにキャッチーさを増したリフ、ドラマチックなギターソロがガッツリと導入されたM6「Woke From God」でしょうか。イントロのブラストと重なる高速リフがエラくカッコよくて、歪んだベースのヘヴィさも効いたM9「Banished By Sin」も良いですね。ラストのM12「The Light Defeated」も、メロディックとまでは言えないですが、流麗なギターソロがインパクト抜群。
邪悪でサタニックな、オールドスクールデスメタルを貫きながら、メタルとして聴き応えのある音作り、見事なギターソロのおかげで、聴きやすさはしっかりと担保されたナイスなアルバムでした。カッコよくて、かつヤワにもならない真正なデスメタルを味わいたいならこれがピッタリ。
個人的に本作は
"アンチクライストの姿勢を徹底した、疾走重視のオールドスクールデスメタル。モダンになり切らないリフとソロの充実度で、邪悪さに反比例して聴きやすく感じる"
という感じです。