ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

CROSSFAITH 『APOCALYZE』

 

前回HYPER PLANETの感想を書いたので、その流れから言えばやっぱり主催バンドのアルバム感想になりますかね。

 

CROSSFAITHが2013年に発表した3rdフルアルバム。世界基準のサウンドまで成り上がった『ZION EP』に引き続き、MACHINEをプロデューサーに迎えた、記念すべきワールドワイドリリースのデビュー作。

 

『ZION EP』をリリースした後の彼らは、WARPED TOURやBRING ME THE HORIZONとのカップリングツアーなど、世界各国を渡り歩く存在になっていました。本作はそんなバンドの「今、まさに世界を制圧せん!」というような気合いが音に封じ込められたかのように、勢いとエナジーに満ちています。

 

デジタルサウンドをバリバリにブッ込みながらも、ヘヴィでエクストリームなサウンドで圧倒するという、前作からの方法論が踏襲されていますが、本作はさらにメタルコアという狭いフィールドから一歩抜け出そうという狙いが感じられますね。類型的なメタルコアに収まるような音楽性ではなくなっている。

 

デジタルなシンセサウンドが従来作以上にバリバリに目立って、EDMのようなダンサブルさも感じとりやすい。叙情メタルコア/ハードコアから少々逸脱したような感はありますが、曲の振り幅は広がっていますね。本作から現在の彼らのようなスタンスが、少しずつ形作られていったのかな。

 

MVが作られたM4「Eclipse」や、M5「The Evolution」なんかはデジタルサウンドありきで作られたような、クラブミュージック的素養を見せる曲になっていて、本作のメタルコアからの多様化を端的に示しています。Limp Bizkitを彷彿とさせるニューメタルナンバーM7「Gala Hala (Bun Down The Floor)」も、あまり彼らが見せることのなかった境地。

 

しかし、振り幅が広がっていても、根底にあるのはエクストリームな凶暴性。オープニングを飾るM2「We Are The Future」はド派手なシンセと疾走するドラムが噛み合う名曲だし、M9「Countdown To Hell」は現在のライヴでも定番になっている、怒りと攻撃性が組み合わさって迫力満点のメタルコアに仕上がってます。

 

前半は勢い重視の楽曲が続きますが、後半になると攻撃性はもとより、叙情性をより一層押し出した楽曲が目立つようになります。イントロのシンセとリードギターが非常にメロディアスなM10「Counting Stars」に始まり、今の彼らはめったにやらない流麗なギターソロまで取り入れ、より切ない叙情美が強調されたM11「Burning White」(彼らの隠れた名曲だと思う)、クリーンヴォーカルがメロディックなサビを歌い上げるM12「Only The Wise Can Control Our Eyes」と、メロウな楽曲3連打がクライマックスを飾る。

 

これらの楽曲で聴けるメロディアスさというのが、現在の彼らのようなラウドロックテイストではなく、まだ叙情メタルコア/ハードコアの範疇に収まっているんですよね。今のバンドの姿に惹かれない人でも、このくらいのバランス感覚なら聴けるんじゃないかなぁ。

 

メタルコアからサウンドの幅を一気に広げ、マニアックな存在から一気にスケールを増したような、優れたエクストリームミュージックを提示した作品です。本作で本格的に世界進出を果たしたようですが、それも頷ける説得力がありますね。

 

1stアルバムで聴けたような、メロデス直系メタルコアから離れた点は賛否別れそうですけど、個人的にはエクストリームメタルとして充分カッコいいと思う。叙情ナンバーも後半あるしね。

 

ちなみに僕が持っているのはヨーロッパ盤(ジャケットのマークが金色)で、本編に加えて4曲ものボーナストラックが収録されている豪華仕様。ただ、ここまでガッツリエクストリームな音を16曲、1時間近く聴くのはさすがに疲れます(笑)

 

そんなボートラの1曲であるM13「Not Alone」は、シンセもヴォーカルも過去最大級にメロディアスなんじゃないのってくらいの、見事な叙情メタルコアっぷり。この曲が1番好きって人がいてもなんらおかしくない出来栄え。何で本編に入らなかったの?

 

 

個人的に本作は

"従来作からサウンドの幅を広げて、世界基準となったエレクトロメタルコア。全体にみなぎる勢いと、後半にギアを上げる叙情性が魅力"

という感じです。