ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

CRYONIC TEMPLE 『Deliverance』

CRYONIC TEMPLE 『Deliverance』

一週間後に迫ったEvoken Fest 2018に出演が予定されている、スウェーデン出身のメロディックスピードメタルバンドによる6枚目のフルアルバム。

 

僕がこのバンドを初めて知ったのは、もう何年前かは忘れてしまいましたが、3rdアルバム『In Thy Power』の楽曲がYouTube上にアップされているのを発見した時でした。ジャケット画像だけ映して曲を非公式に公開してるヤツです。

 

そのジャケット画像を見た瞬間に「これはメタルだ!」と確信し(笑)再生してみたものの、「まあ悪くないメロスピだね」くらいの感想のみで、そのあと特に気に留めるような存在にはなり得ませんでした。

 

そして2018年、来日が決まったことを知って「あの時のバンドじゃん!来るんだ!」とちょっとビックリ。これも何かの縁と最新作をチェックしてみた次第です。

 

正直に言うと、しっかりCDを聴いてみても僕の中で「悪くない」の域を出ることはありませんでした(笑)

先日感想を上げた、同じEvoken Festに出演するDerdianと比べると演奏のクオリティは明らかに高い。さらに北欧出身であるためか、どこか透明感・冷気を感じさせる雰囲気も良い。他の北欧メロスピと違いギターリフも骨太でカッコいいし、特にケチをつけるような点は無いと言えます。

 

ただ何というか...突き抜けたものを感じないというか...。良くも悪くも北欧メロディックメタルの基本にブレない音で、聴き手のハートをグッと鷲掴みにするようなパワーがちょいとばかし足りないように感じました。全体を通してそれほど疾走しているわけではなく、メロディーも盛り上がりに欠けるとまでは言わないものの、やや平坦な印象は否めません。

 

しかしメロディックメタルとしてつまらないかと言われれば、もちろんそんなことはありません。先述した通りリフはしっかりとしたものを聴かせてくれますし、やや地味に感じたとはいえ必要充分なキャッチーさは携えています。

 

M2「Rise Eternally Beyond」(ライナーノーツでやんわり指摘されているように、途中「Eagle Fly Free」のオマージュらしき箇所あり)や、M4「Knights Of The Sky」のようなスピードチューンは北欧風味のムードも合わさって、非常に心地よくメロスパーの琴線に響くでしょう。M2のあまりにも不自然すぎるフェードアウトは解せないですが...

 

スケール感をやや劣化させたロブ・ハルフォードのような(笑)シャウトがインパクトを放つM5「Deliverance」、剛直なパワフルさを感じさせ、ヴォーカルもひと際力んだ歌いまわしをするM7「Pain And Pleasure」といったミドル~アップテンポの楽曲をしっかり聴きごたえあるものに仕上げてるのも良いですね。この辺はリフをないがしろにしていないからこそ。

 

ツインリードによる劇的なイントロから一気に疾走する展開があまりにもお約束ながらも、なんだかんだやっぱり爽快感を感じてしまうメロスピナンバーM9「Starchild」、どこか近未来的なムードを漂わせるシンセと、リズミカルなリフが気持ちいいM10「End Of Days」、本作中最も美しいメロディーが飛び出す(イントロのピアノと壮麗なコーラスからして素晴らしい)バラードM11「Swansong Of The Last Emperor」。この3曲の並びが本作のハイライトでした。疾走、ミドル、バラードと、それぞれタイプの異なる良曲をしっかり提供してくれたのはかなりポイント高いです。

 

もうちょっと全体的にインパクトが欲しかったというか、これぞ!っていうキメの楽曲があればなお良かったのですが、メロディックメタルファンが聴いて損はない作品には仕上がっていると思います。ただ先にも書いた通り、全編疾走感バリバリというわけではないため、「疾走してなきゃヤダ!」という重度のメロスパーはちょっと注意が必要かも?

 

M10「End Of Days」 Official Lyric Video