- 従来作からさらにダサさを控えた正統的なJ-ROCKへ
- 中盤のメロディーのフックが控えめなのが弱点
- 強烈なキラーチューンの存在が大きな魅力!
前作『Revolutionary』から1年ちょっとで早くも発表された4thフルアルバム。メジャー所属ということもあるのでしょうが、合間にシングルも挟んでこのペースとは、この頃はノリにノッていたことがよくわかります(いや、彼らは今でも現役バリバリですけど)
前作は彼ら特有の歌謡曲めいたダサさこそ控えめになってしまったものの、哀愁のセンスを活かしたメロディアスな楽曲が多く、これまた良作と言えるアルバムでした。
そして本作はというと、そのダサさ減退の方向性がさらにまた推し進められたように感じられ、より洗練されたロックへと変貌を遂げている。さらに言うと前作の後半に怒涛のように連打されたメロウさも控えめになり、過去作と比べると全体的にキャッチーさに欠けるような一枚。
これまでのフルアルバムがどれも良作ぞろいだったのですが、本作においてはちょっとそれまで感じた勢いが弱めになってしまった...と言わざるを得ないかも。
特に本作中盤の流れがその印象を決定づけており、どの曲もダークで仄暗い9mmらしい楽曲にはなっていて、ありきたりの形骸化したJ-ROCKになってるなんてことはないのですが......どうもかつてのアルバムにあった歌謡曲的なフックがなくなっているため、あまり強烈に印象に残ることがないのが痛い。しいて言うならM7「星に願いを」が、タイトル通り星空の煌めきをポップなメロディーで想起させているのが良い感じ。
とはいえもちろんそこは9mm Parabellum Bullet。滝さんの強烈なエフェクトがかかったギターからアップテンポに展開し、非常にキャッチーなサビとラストのギターソロが魅力なM2「Survive」、シングルともなり、少しダサめながらカッコいいギターリフ、スケール感の大きなサビで勢いよく疾走する必殺のキラーM3「新しい光」と立て続き、リスナーのテンションをきっちりと上げてくれる箇所ももちろんある。頼もしい!
そして圧巻なのがM9「Endless Game」ですね。これまでもメタルからの影響は割とよく感じ取れたものですが、この曲はモロにメロスピと言ってもいいほど!メタリックなギターリフに、彼ら特有のダサいヴォーカルメロディーが流れ、飛翔感ある見事なツインリードとラストのタッピング!この次のM10「Scence」も叩きつけられるような強靭なリフが濃密に詰まった良曲なのですが、この曲の前では霞んでしまうほど。
彼らのアルバム群の中では、どうしても地味な部類に属してしまうのは否めません。しかし、上述したキラーチューンの充実度、さらに向上したプロダクションで聴ける密度の高いテクニカルな演奏があり、アルバムとしてちゃんとクオリティーを保っているのが良いですね。
個人的に本作は
"歌謡曲要素が最も削がれているためやや地味なアルバム。しかしキラーチューンの破壊力は抜群!"
という感じです。
なぜかこのアルバムだけ収録曲のMVが無いんですよね。何で?