ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

SIGNIFICANT POINT 『Into The Storm』

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  • この上なく熱くガムシャラな正統派
  • ツインギターによる超強力なメロディー
  • 武骨な漢メタルの美学がここにある

 

以前このブログのコメント欄で教えていただいた(情報提供ありがとうございますm(__)m)、日本のヘヴィメタルバンドのフルアルバム。

 

Spotifyで軽く聴いただけで、僕が正統派メタルやパワーメタルに求める、熱さとキャッチーさが高次元に融合しているバンドだということがわかり、彦一ばりに要チェックやと思ったわけです。

 

しかし国内バンドとはいえ、マイナーなバンドのCDの流通は充分ではないのでしょう。新譜購入の際に利用するタワーレコードには、そもそも情報すらない。頼みの綱であるディスクユニオン御茶ノ水、新宿のヘヴィメタル館にも、発売日をとっくに過ぎた段階で一向に入荷する気配なし。

 

ユニオンのオンラインショップにも「ご注文できません」の文字が堂々と提示され、取り扱いのありそうなショップの通販ページを見ても容赦なくSOLD OUT。

 

「NWOTHM Full Albums」というYouTubeチャンネルにて、フル音源を聴くことはできるものの、このブログはカテゴリで「CD感想」と明記している以上、ちゃんとCDやレコードという、フィジカルで持っている音源を取り扱うというマイルールを課している。せっかくブログがキッカケで知れたバンドなのだから、このブログで取り扱いたいし、CDとして手元に残しておきたい。

 

そうして僕が講じた手段は、Bandcamp経由でCDを購入すること。このバンドはDying Victims Productionsという、聞いたこともないドイツのマイナーレーベルからCDをリリースしてるようで、そのBandcampから本作のCDを購入することができる。

 

Amazonのようなネットショッピングサイトを使わず、直接海外からCD取り寄せというのは、純然たるジャパニーズの僕にはいかんせんハードルが高いもの。しかし重い腰を上げ、Paypalのアカウントもこのために作成し、いざ購入!送料だけで900円かかるのは痛いですが、それ含めてもCD1枚分の値段としては充分許容できる範囲なのが大変ありがたかったです。

 

注文してすぐにメールに「オーダーありがとう。住所英語で送ってくれる?」とメールの返信があり、英語変換サイトを使用した住所を送ると、「ありがとう!すぐ送るね!」と。

 

以前僕がよく見ていたメタルレビューサイト(現在は消滅)で「BandcampでCDを注文してもなかなか届かず、催促メールでつっついてようやく届いた」みたいなエピソードを見たことがあるので、同じようなことが起きたら面倒だな...とも思っていましたが、幸いなことに予想よりはるかに早く家に到着。

 

そして聴いてみて「わざわざ買った甲斐があった!」と思いましたね。こりゃあ暑苦しくて、疾走感も抜群で、文句なしにカッコいいジャパニーズメタル。

 

国内メタルシーンの第一線で活躍しているバンドと比べると、さすがに演奏や音質に関してはB級っぽさが色濃いのは確か。しかしそのちょっと垢抜けていないサウンドの印象が、熱気ムンムン、不器用で一直線で、ガムシャラな勢いMAXのパワーメタルによく合っており、極上の快感へと変わっていく。

 

音楽性が似ている訳ではありませんが、言うなれば「ANTHEMの熱いメタルサウンドを良くも悪くも荒々しく、不器用なものにし、疾走感を大幅増量した」とも呼べそうな音。速く、やかましく、むさ苦しいまでに武骨で男らしい、そしてカッコいい。そんな音。

 

疾走感があるといっても、ギターリフはスラッシュメタル的なザクザク感は無く、ゴツゴツと乾いた音色感のベースも相まって、やはりスタイルとしては80年代型の正統派メタルです。

 

特筆すべきはツインギターのプレイの素晴らしさですね。いわゆる「クサい」とは趣が違う、キャッチーなメロディーをかき鳴らすリードの数々。このメロディーのクールさが何よりも耳を引くポイント。疾走するリズムに合わせて、速弾きソロをうまく織り交ぜながら、メロディアスなツインリードでグイグイ引っ張っていく展開が大きな聴きどころとなっています。

 

そのギターと並んで、メタルサウンドのキモであるヴォーカルは、終始上ずり気味というか、もう少しで裏返ってしまうんじゃ?と思わせるハイトーン型。個人的にはひたむきな熱さを表現する要素として悪くないと思いますが、これに苦手意識を持っちゃう人も多いかも。

 

なお、このGEORGE ITOHなるヴォーカリスト、裏ジャケのメンバーショットではいかにもフロントマンって感じで映ってますが、ブックレットには「Guest Vocals」と記載されており、スペシャルサンクス欄にも名前があるので、正式なメンバーではないようです。どうやらRisingfallというバンドでヴォーカルを担当している人らしい。

 

まあとりあえず、ムサいまでの熱量を持った漢メタルを聴きたい人は、かなりオススメですよこのバンド。80年代型のスタイルを踏襲しつつも、アグレッシヴ極まりない直情的な演奏で、古色を帯びた音にはなっていないのが頼もしいです。

 

M1「Attacker」のような激烈疾走曲はもちろんのこと、M3「You've Got The Power」、M6「Run For Your Life」といったJudas PriestやIRON MAIDENからの影響を感じさせる王道HR/HMチューン、唯一の日本語詞であり、ひと際ジャパメタらしさを強く打ち出したM7「Into The Storm」まで、どこを切っても漢のド硬派メタルが目白押し。

 

中でも強烈なのがM8「Deathrider」。イントロのキレのあるリフから早速カッコいいのですが、これは序の口。どこへ行ってもキャッチーさを失わないヴォーカルメロディーで爆走し、中盤の跳ね回るようなリズミカルなパートで緩急をつけた後、凄まじい勢いで劇的なギターソロを投下!そしてラストの大サビへと繋がる、本作最高峰のキラーチューン!

 

こいつは国産メタルのかなりの掘り出し物でしたね。これだけ強い楽曲を生み出せるバンドなだけに、このCDの流通の悪さは解せん!一人でも多くの漢メタラーに届くべき音なのに。気になった人は今すぐYouTube、もしくはサブスクで聴いてみよう!フィジカルで欲しい人はBandcampもあるよ!2021年イチオシの1枚になりそうな予感。

 

 

個人的に本作は

"圧倒的熱量と疾走感、キャッチーなギターを武器に、武骨に暴れまわる極上正統派ジャパメタ"

という感じです。

 


www.youtube.com

 


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