ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

RONNIE ATKINS 『One Shot』

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  • ガンと正対して生み出したエモーショナル・ハードロック
  • 熱く、叙情美溢れるロニーの歌唱を最大限フィーチャー
  • 哀愁を湛えたバラードが絶品

 

デンマークを代表するヘヴィメタルバンド・PRETTY MAIDSのヴォーカリストであるロニー・アトキンスのソロアルバム。

 

ロニーは2019年に肺ガンを宣告され、33回もの放射線治療を施すなどして闘病したものの、昨年にはステージ4の状態にまで差し掛かっていることが明らかになりました。

 

www.barks.jp

 

還暦に近い年齢ということで、ある程度健康上の問題をかかえてしまうのは仕方のないことではありますが、やはり「治療不可能のガン」という宣告は厳しいものがあります。未だに現役でアルバムを発表し続けている現在進行形のバンドなだけになおさら。

 

しかし彼は残った人生を自分の可能性にかけ、新たな音楽を創造することを決意。こうしてキャリア初のソロアルバムが発表されることになりました。

 

そんなこんなで、決して良い経緯で発表された訳ではない本作。聴く際にはちょっとネガティブな気持ちが頭をよぎりそうになるものですが、込められた音自体は非常に心地良い。とてもガン宣告を受けた人間によるものとは思えないほど、ヴォーカルの魅力が目立った作品。

 

メタリックさはそこまで濃くなく、速弾きソロなど楽器陣が目立つパートはほとんどない(一部でメロディアスなリードギターソロが出てくることもある)。ロックというジャンルであるものの、アッパーな印象は無くて、どこか枯れた渋みも漂わせている。20代の日本人で本作を聴きこんでいる人なんて僕くらいのもんじゃないのかという自負すら生まれそう(笑)

 

バックのアレンジをゴージャスに彩るシンセや、厚みを生み出すコーラスなども曲によって導入されていますが、あくまでロニーのヴォーカルがメインを張る楽曲で構成されているアルバムです。ヴォーカルのソロアルバムだから当然と言えば当然ですが。

 

本作の魅力は何といってもそのヴォーカルメロディーですね。時にポップに、時に胸締め付ける珠玉の哀愁を放つメロディー。これがロニーの情熱的な歌い回しと本当によくマッチしていて、楽曲をさらにエモーショナルなものにしている。

 

小気味よく進むロックチューンと、バラード寄りの楽曲があり、程よく躍動感を感じさせるナンバーも悪くないものの、やはり感傷に訴えかけるバラード調の楽曲にこそ、本作に込められたエモーションが色濃く感じ取れます。振り絞るようなロニーの歌唱がまたイイんですよね...。

 

タイトル曲のM3「One Shot」、M5「Frequency Of Love」、M7「Miles Away」あたりは哀しくも力強いエネルギーが光る楽曲で特に気に入りました。M11「When Dreams Are Not Enough」も、煌めくキーボードとヴォーカルの交錯が美しく、ラストを締めるに相応しい。

 

これだけ魅力的な歌声を聴かせられる人ですし、まだ55歳という年齢ですから、まだまだヴォーカリストとして活躍し続けてほしいところです。厳しいかもしれませんが、病に打ち勝ってくれることを願うばかり。

 

 

個人的に本作は

"渋みと哀愁を漂わせた、ヴォーカル主体の叙情性満載メロディアスハード"

という感じです。

 


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