ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Judas Priest 『Screaming For Vengeance』

  • ブリティッシュヘヴィメタルの真髄を打ち出した
  • ヘリオンが降り立つ、メタル史上最も有名なオープニング
  • 圧巻の完成度を誇るタイトルトラック

 

今年に新作の発表も控えている(先日公開された新曲、メッチャ良かったですよね)、メタルヘッズなら誰もが知る鋼鉄神・Judas Priestの8thフルアルバム。1982年発売ですから、もう40年以上前なんですねコレ。

 

ここ最近のこのブログは、パンク系統のCD感想が多かったりしたので、ヘヴィメタルの成分をちょっと濃くせねばならんと思いましてね。正統派メタルの名盤と称される本作を、久方ぶりにCDラックから取り出して聴き返しております。

 

前作『Point Of Entry』はアメリカでのブレイクを目指して作られた一作だったものの、従来のファンからは不評だったそう。Wikipediaの記載ではアメリカでもそこまで商業的成果は上げられず(失敗と言うほどでもないようですが)、SLAYERのケリー・キングは、本作の出来に憤慨し、レコードを庭で焼き払ったなんてエピソードもありました。やることが豪快すぎる。

 

その反省が活かされているのか、本作に収録された音は、Judas Priestという名に求められている"ブリティッシュヘヴィメタル"という姿を創造することに重きが置かれているように感じます。

 

まず本作を語る上で欠かせないのは、オープニングとなるM1「Hellion」、そこからシームレスで繋がるM2「Electric Eye」の流れでしょうね。太陽の守護神・ヘリオンが降り立つ様を描くドラマチックなイントロは、これから始まる音世界の期待感を膨れ上がらせるのに、120%機能している導入です。

 

メタリックなリフと、ロブ・ハルフォードの厳かなヴォーカルにて展開されるM2で堂々たる正統派メタルを繰り出したあと、そこからさらにギアが上がる。怒涛のドラムから切れ味鋭いリフを叩きつけ、タイトル通り風に乗っているかのような爽快感を醸し出すM3「Riding On The Wind」へと移行する流れもお見事。この曲もまた、ロブのハイトーンと軽快なテンポが組み合わさっていてカッコいいんですよ。軽快とはいえ、しっかりメタルとしての重厚感あるギターが荒ぶっているのも良い!

 

このオープニングのインパクトの強さが、どうしてもアルバム全体の印象を作り上げてしまい、その他の曲のお株を奪ってしまっている感はありますが、これら以外にも妙にクセになるギターフレーズとヴォーカルが印象深いM4「Bloodstone」、ザクザクとしたリフが反復される様が一見地味な印象ながら、絶妙なノリの良さに引き込まれるM8「You're Got Another Thing Comin'」のような良曲が目立ちます。

 

そして何と言っても、タイトルトラックであるM7「Screaming For Vengeance」ですよ!この曲が持つダイナミズム、メロディアスさ、鬼気迫るヴォーカルパフォーマンスは、これぞブリティッシュヘヴィメタルの正しきカッコよさ!

 

ド頭からロブの魂が乗る渾身のハイトーンスクリームに脳天を撃ち抜かれ、あまりにもドラマチックなギターにて幕を開ける。サビで聴けるメタルゴッドの叫びには心が震えるし、何よりも中盤のツインギターが織りなす、極上のメロディックなギターソロが最高にカッコいい!

 

個人的にJudas Priestの全楽曲の中でも、トップクラスに好きですね。ドラマチックなヘヴィメタルとはこれのことだよ。

 

このタイトルトラックの完成度が圧巻すぎるため、ここで興奮のピークを迎えてしまい、最終盤のM9「Fever」、M10「Devil's Child」が若干消化試合的なテンションで聴くハメになってしまうところが、本作の歯がゆいところかもしれない。決して悪い曲ではないんですけどね(特にM9の哀愁あるギターの旋律はかなり良い)

 

アメリカ受けを狙った前作よりも、メタルゴッドとしての姿をそのまま打ち出した本作の方が、世界的にヒットしたのだとか。やはり慣れないことをするよりも、自身の真髄をそのまま素直に打ち出した方がうまくいくもんなんですね。

 

 

個人的に本作は

"メタルゴッド本来の姿に立ち返り、ブリティッシュヘヴィメタルのドラマ性を堂々と打ち出した作品。タイトルトラックはバンド史上屈指の完成度"

という感じです。

 


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2/18 CROSSFAITH / Japan Tour 2024 -Departure- at Zepp Haneda

日本のヘヴィミュージック界の代表格と言っても過言ではない存在であるCROSSFAITH、現在のツアーを回っている最中に、大きなメンバーチェンジがありました。

 

活動休止明けにおいてもずっとライヴに参加してこなかった、ベーシストのHirokiさんがツアー中に正式に脱退。そしてすぐに、サポートギタリストとして帯同していた、元HER NAME IN BLOODのDaikiさんがセカンドギタリストとして正式加入。この日行われたライヴはツアーファイナルでありつつ、新生CROSSFAITHの最初のステージということになるらしい。

 

本来サポートアクトとして、アメリカのメタルコアバンド・OF MICE & MENが出演するはずだったのですが、ビザの問題で来日が叶わずキャンセルになり、急遽ワンマンのロングセット公演になるというハプニングも。開催前になって色々なことが立て続きましたね。

 

ツアーファイナルとなる本日の会場はZepp Haneda。やったら遠いうえに会場周辺に何も無いので、できることならあんまり行きたくない会場ではあります。まあ空港という場所自体結構ワクワクするし、ライヴ会場としての設備は良いんだけれど。

 

あとやっぱりZeppは柵が多いのがネックですね。この手のコア系バンドのライヴは、大きなモッシュピットが作られるのが醍醐味だというのに、スペースが区切られるとピットがこぢんまりとしてしまうので...

 

そんな微妙な気持ちこそありつつも、ワンドリンクのレッドブルを飲み干して、フロアの中央付近で待機。整理番号が2000番台だったこともあり、ソールドはしなかったようですが、かなりの混雑具合でした。

 

ノリの良いEDMが鳴る中、開演時間を少し過ぎたあたりで暗転してメンバーが登場。みんなが白を基調とする服装をするなか、新メンバーのDaikiさんのみ黒のタンクトップで、「入ったばかりだから、まだ完全に一枚岩にはなっていないのかな?」とちょっと思った。

 

再びメジャーレーベルに所属するようになってから、初めてリリースされた新曲「ZERO」で、Koieさんのステージダイヴと共にスタート。ここ近年発表された曲の中では、メタリックなヘヴィさが強く表出した曲で、アグレッション満載に疾走部とシンガロングが気持ちいい。サビのメロディーに僕好みのキャッチーさが無いのは、まあメロディアスさが武器のバンドでは無いと思うのでこれはしかたない。

 

やはり僕としては新加入のDaikiさんに注目してしまうのですが、やはりこの人はカッコいいですね。特に派手なアクションをするでもないのに、刺々しさや毒といった、危険なオーラをヒシヒシと感じます。脱退したHirokiさんがビジュアル面で魅せるタイプだったので、ステージ上の見栄えが少し落ちるのではと思っていましたが、その穴を感じさせない。

 

のけぞるようにギターをかき鳴らし、もう一方のギタリストであるKazukiさんと顔を突き合わせるフォーメーションもキマってて、これは良いメンバー加入になったのではないでしょうか。まあCROSSFAITHよりHER NAME IN BLOODの方が好きな身として、複雑な気持ちがないわけではないのですが。

 

最初はモッシュの勢いもそこまで強くはなく、人混みで窮屈になりながらも比較的穏やかに観られたのですが、3曲目の「Rx Overdrive」にて、僕の目の前にハードコアモッシュのスペースが作られたために、その防御に必死にならざるを得ず、その時間帯はステージを観ることは不可能に。足に一発蹴りをもらいましたが、特に大きな被害を受けることなく下手側に退避成功。やはりこの手のモッシュは少し離れた所から見るに限るな...

 

比較的早い段階で出たライヴ定番の「Countdown To Hell」では、3月にCROSSFATITHとのツーマンライヴが決定している、Sable HillsのTakuyaさんがゲストヴォーカルとして登場。ただ、せっかくゲスト枠として颯爽と出てきたのに、マイクトラブルなのか、出だしの声はまったく聞こえませんでしたね...。

 

「もっとデカいモッシュピット作ってみろ!」とKoieさんが煽っていたのもあり、前方付近ではサークルが発生。僕の位置からはあまり見えませんでしたが、きっと腕と足がブンブンと振り回される狂気の世界が広がっていたことでしょう。

 

「Snake Code」や「Madness」のような、あまり聴けなさそうな楽曲に加え、「Jägerbomb」「Monolith」のような定番も揃えつつライヴは進行。「Jägerbomb」の前のMCでは、Daikiさんから「片手を上げて、人差し指と小指以外の指を曲げてください」と指示があり、会場中でメロイックサインが突き上げらる光景が広がる。そして彼のギター裏には、かつてHER NAME IN BLOODのライヴで見られたようにテープで「メタル」の文字が。

 

彼がここで、「CROSSFAITHの音楽性はメタル」とハッキリ明言してくれたことは、個人的に結構嬉しかったり。ヘヴィなエレクトロという傾向が強くなっている近年の音楽性から、Daikiさんの加入によりメタル色が強くなったりするのかな〜なんて妄想が広がりますからね。

 

中盤には二人目のゲストとして、ラッパーのralphさんが登場し、「Gimme Danger」をプレイ。彼を生で見るのはもちろん初ですが、想像した以上に貫禄のある見た目でメッチャ怖い。会場をまっすぐに恐ろしい目つきで睨みつける姿は、夜道ですれ違ったらそそくさと逃げたくなるレベルでした。あの存在感で98年生まれの26歳ってウソでしょ?俺より年下だとまったく思えないんですけど。

 

そんな強烈なインパクトを放つステージではありましたが、それを超えるほどのハイライトとなったのは、やはり後半に流れた「IF YOU WANT TO WAKE UP?」にて、「この後に起こることがわかる人は、真のCROSSFAITHファンだと思います」とKoieさんが呼びかけた瞬間でしたね。ここで次の曲が何になるかわかった僕は、真のCROSSFAITHファンだったということか。

 

初期の名曲「MIRROR」、そしてアルバムの流れ通り「BLUE」までプレイされる。やはり叙情メロデステイストを含んだ、メタルコアらしいメタルコアこそ僕の望むものだなぁ。もちろん全力のヘッドバンギングで応えましたとも。まあこの後に披露される「Catastrophe」とか「Xeno」とかも好きな曲ではあるんですけどね。

 

アンコールではTeruさんとTasuyaさんの後衛陣による、DJプレイとドラムソロタイム。Tatsuyaさんは腕にライトがつき、さらにバキバキの腹筋を披露しており、見た目のインパクトがさらに増す。

 

しかしどれだけ見た目が良くても、その印象をさらに掻き消してしまうほど、彼のドラムプレイはすごい。途中でKoieさんが「俺IQ高いソロはわからんからさ。もっとツーバスドコドコの、手数多すぎるソロ聴きたいんだよな!」という振りから行われた、上半身を躍動させまくるドラムソロは、もう圧巻としか言いようがなかったです(僕の周りからも「ヤッベェ...!」という戦慄の声が聞こえた)

 

ソロ後では、Koieさんがオープニングで振り回しているフラッグを、前方付近のお客さんを指名して渡し、アンコールの3曲中ずっと振らせながら(腕疲れただろうなぁ...)The Prodigyのカバー「Omen」、LINKIN PARKのカバー「Faint」、そしてライヴ定番の「Leviathan」という流れへ。

 

「Faint」では、始まる前に3人目のゲストであるcoldrainのMasatoさんに電話をかけ、「今羽田でワンマンやってるんだけど来れん?」「無理だよ。今俺代々木にいるし」(同日に代々木でA.V.E.S.Tのライヴイベントがあった)と、ちょっとした会話を繰り広げながら、Masatoさんをステージ上へ登場させる演出が。本日のゲストヴォーカルの中では一番の盛り上がりを見せていましたね。

 

 

20曲以上の新旧取り揃えた楽曲、華を添えるゲストヴォーカルの存在により、充実なライヴになりました。OF MICE & MENの件は残念ではあるものの、それを感じさせないくらいに濃い1日になった感があります。

 

なおこのライヴ中に、ちょうど1年後の2025年2月に幕張メッセで、CROSSFAITH主催のフェスを開催するという発表もありました。どんなメンツになるのかとか、詳細はまだ全然わからない状態ですが、海外のバンドを積極的に見せようとする姿勢があるバンドなので、なかなか豪華なラインナップになるのではないかという期待感が持てます。

 

また、今年中に作品発表に伴う国内ツアーも行うとのことで、Daikiさん加入の影響が出る新曲にも期待がかかるところですね。

SKYLARK 『Gate Of Hell』

  • クサメタル」の源流
  • 演奏・ヴォーカル・音質はどれも厳しめ
  • 局所的ムーブメントを巻き起こしたクサメロの威力

 

音楽のアルバムCDというものは、もちろんジャンルによって異なってはくるものの、ヴォーカル、演奏、音質、曲構成、参加ミュージシャンなど、様々な要素で評価されるもの。一般に名盤とされるものは、数々の要素のうち多くが優れているものでしょう。

 

反対に、アルバムを構成する要素がことごとく質の低いものであった場合、凡作だったり駄作だったり、迷盤扱いされてしまうのが常。

 

しかし中には、多くの要素が凡作以下で洗練されていないにも関わらず、(一部において)名盤扱いをされている作品もあります。

 

ヴォーカルのハイトーンは今にもひっくり返りそうで危なっかしい、演奏力にも粗が目立ち、超絶技巧とはとても言えない、音質もスカスカ気味でチープ寄り...などなど、作品としてのクオリティーはお世辞にも高いとは思えない。

 

それなのに、「メロディーのクサさ」という美点を突き詰めることによって、そんなマイナス要素を挽回しきり、ごく一部の界隈において歴史に名を残す名盤と扱われるまでに到達したアルバムがあります。

 

それが今回取り上げる『Gate Of Hell』。イタリアのメロディックスピードメタルバンド・SKYLARKが1999年に残した3rdフルアルバムです。

 

90年代後半から00年代初頭にかけて日本で勃興した、クサメタルムーブメントの立役者といえる伝説的存在。メロスピ/メロパワに精通している人であれば、多くの人がその名を知っているのではないでしょうか。まったくリアルタイム世代ではない僕ですら知ってるレベルですから。

 

なんでも、インターネット普及期にメタルレビューサイトを運営していたJINさんという方が、このSKYLARKのサウンドに衝撃を受け、「メロディーが過剰に哀愁があって、やり過ぎなほどドラマチックな要素を取り入れたメロディックメタル」に対し、「クサメタル」という名称をつけたのだとか。そう言う意味では、「クサメタルはSKYLARKから始まった」と言ってもいいのかも。

 

収録されている音は確かにかなりチープ。速弾きはなかなかに頑張ってる箇所こそあるものの、リードギターになったら一気にポンコツな印象が増量するし(活字で表すなら「プー」)、ヴォーカルのハイトーンはギリギリすぎて、ライヴで再現できる気配が微塵もしない。音質も薄っぺらいし、所々挿入される女性ヴォーカルも言っちゃ悪いですがヘタ。

 

演奏面で唯一良いのは、キーボーディストのシンフォニックアレンジですね。優美で壮麗な印象をグッと底上げするシンフォサウンドは、楽曲の魅力にしっかりと貢献しています。しかし良いのはシンフォアレンジのみで、単音の鍵盤になると一気にコミカルでダサくなってしまう。

 

1曲の中で何の前触れもなく急にスピードアップしたり、前半に7分以上の大作を固めておいて、中盤から後半になると1〜2分台の曲がゴロゴロしてたり、インタールード的役割を果たすM5「The Last Question」が4分近くあって、そこからシームレスにつながる疾走曲M6「Earthquake」が1分半くらいしかないなど、曲やアルバム構成においても「?」となります。こりゃB級通り越して、C級と言われても仕方ないな。

 

しかし、そんなネガティヴな面を補って余りあるものこそがクサメロの存在。シンフォニックなサウンドからも、歌メロからも、劇的でクッサ〜いメロディーが掻き鳴らされている。

 

前述したように前半に大作が続くのですが、どれもが非常にメロディアスでしてね。長い曲を好まない僕ですら、ダレずに一気に聴き通せちゃうんですよ。ヴォーカルも演奏もクオリティー高くないのに。

 

劇的なキーボードが頭から登場し、ドラマチックな疾走を見せながらも、中盤のチェンバロ風シンセがあまりにチープなM2「Welcome」、キーボードがクサさ全開で、後半には何を思ったか一気に爆走しクサメロを垂れ流すM3「The Triumph」、サビの"べゼブ〜ッ!"が真似したくなるくらいキャッチーで、ラストに三流魔王の語りが入るM4「Belzebù」。この3曲の連打はまさにクサメタル界の名曲ラッシュ。

 

後半に鎮座するM9「Why Did You Kill The Princess 」を初めて聴いた時の衝撃はすごかったですね。中盤にアクセルをグッと踏み込みどんどん加速、そこに合わせるように、指一本で弾いてるのかと思わせる単音キーボードが重なるパートは、

 

「すごい!劇メロがどんどんスピードを上げていくぞ!」

という興奮と、

 

「ガハハハ!何だよこのチープなキーボードは!」

という笑い

 

まったく異なる二つの感情が同時に去来するというミラクルが発生しましたからね(笑)

 

2024年現在は、日本でもZemethのようなやりすぎなまでのクサクリエイターがいるので、このアルバムのクサさもある程度は常識の範囲内なのかもしれません。これをリアルタイムで喰らったクサメタラーは、僕以上の衝撃を受けたんだろうなぁ...と思わずにはいられませんね。

 

どこを切っても一流のメタルにはなり得ないクオリティーであるのに、クサさという武器一本で局所的ブームを巻き起こした、まさに伝説のクサメタルアルバム。

 

 

個人的に本作は

"メロディーのクサさという一点のみで、「C級メロスピアルバム」から「カルト的人気を誇る伝説の名盤」と成り上がった作品"

という感じです。

SAY MY NAME. 『JUST OK!!!』

  • 全曲にキャッチー極まりないメロディーが充実
  • このバンドならではの個性はほぼ無し
  • メロディーが気にいるか否かで全てが決まるかも

 

つい先日、仕事帰りにコンビニに寄った時、たまたまELLEGARDENのベーシストの高田さんに遭遇しまして。

 

あまり迷惑になるのもよくないだろうと、特に話しかけたりはせず、横目でチラチラっと見るに留めましたが、こういう偶然もあるもんだな〜と思いました。

 

そしてこのブログでは、前回のCD感想記事がGREEN DAYというポップパンクバンドという流れもありましてですね。本作について書こうと思い立ったのです。

 

このSAY MY NAME.というバンド、いつかブログで取り上げようと思ってはいつつ、なんとなくタイミングが掴めないままだったので、ここが良い機会だなと。

 

恐らくバンド自体知らない人が多いと思うので説明しますと、超飛行少年(スーパーフライングボウイ)のギターヴォーカルである小林光一さんを中心に、2009年に結成されたポップパンク/メロディックハードコアバンドです。一応バンド自体は解散していないようですが、2024年現在はほぼほぼ活動停止状態。公式サイトも消え、SNSも全然更新されていません。

 

さらに超飛行少年とは何ぞやといいますと、2005年に結成されたギターロック/オルタナティヴロックバンド。Wikipediaによると、渋谷のタワーレコードで発売されたシングルが、同時期に出たKAT-TUNの『Real Face』を抑えてデイリー1位になったという、ものすごく局所的なヒットをしたらしい。

 

僕が大学生時代にバイトしてたCDショップでも、全国的には無名の若手オルタナバンドを店全体で熱烈応援していたら、かなりアルバムセールスが好調だったので、まあ渋谷店にてパワープッシュがあったんでしょうね。店舗限定というのありますし。

 

超飛行少年は2008年に解散しましたが、2017年にSUPER FLYING BOYと英語名に変えて再結成を果たしました......が、こちらについてもちょろっとライヴはやったらしいものの、現在活動の音沙汰無しという寂しい状況。

 

フロントマンの小林さんは、ベースに前述のELLEGARDENの高田さん、ドラムにはNICOTINEのBEAKさんという、何気にスゴいメンツでMAYKIDZというバンドを組んでいて、こちらは現役で活動中。去年にはフルアルバムも出しているので、このバンドは知ってるという人は多いかもしれません。

 

やたら前置き説明が長くなりましたが、そんな小林光一さん所属する(所属していたと言うべき?)SAY MY NAME.が、唯一発表したフルアルバムがこの『JUST OK!!!』です。

 

まず言わせてもらうと、真新しいことは何一つやっていません。このバンドならではの個性とか、新鮮味とか、聴いた瞬間衝撃を受けるほどのテクニックだとか、そういったものは皆無です。というか、ハッキリ言ってしまえば「ELLEGARDENフォロワー」でしょう(まんまエルレって言うほどでもないけど)

 

人によっては「この手のバンドはいいや。他にたくさんいるし」「エルレ聴いてればいいじゃん」みたいに切り捨てられてしまうかもしれません。

 

しかし、僕は好きなんですよ、このアルバム。

 

確かにスタイルとしてはありきたりなのかもしれないけれど、だからこそダイレクトに伝わってくるのが歌メロの良さ。ポップで青臭くて、ほんのちょっとの哀感が含まれたメロディーが非常にキャッチーで、それが全曲に渡って込められているんです。

 

M1「At A Risk」から、メッチャ青臭いのに絶妙にツボにハマるキャッチーな歌を聴かせてくれ、共に歌いたくなる衝動を抑えきれなくなる。そのまま疾走チューンのM2「New Dawn」、M3「Turning」と続く構成も勢いがあって良く、それらの曲も負けず劣らず歌が良い。

 

ほとんどの曲がアップテンポ〜疾走曲でスッキリと聴け、比較的テンポを落としたM6「Freedom」、M9「No Tribe」といった曲にも、否応なしに染み渡ってくるメロディアスさがあって、聴いてて本当に気持ちがいい。

 

ラストを飾るM10「By My Life」のメロとか最高ですね。最後の"夢を見ている この場所ならそれができる"のフレーズなんか、モロに好みです。超好き、こういうの。

 

この手の曲は10〜20代前半くらいの若い時期にしか聴けず、年取ったら小っ恥ずかしくて聴けたモンじゃなくなるかも、と思っていました。しかし、今年30になる今聴き返してみても、当時と変わらない「良いなァ...!」の感情が湧き出てきたので、きっと小林さんが作るメロディーは僕のツボにハマりやすいのかもしれません。

 

と、ここまで絶賛してきましたが、メロディーの良さを除けば、ほぼ無個性のメロコアであることは間違いない。メロディーにピンと来なければ、普通のバンドとしか思えないでしょう。

 

ですので、「僕は大好きだけど、"このバンドは他とは違う特別な強みを持ったバンドだ!是非聴いてみて!オススメだよ!"と言うつもりは無い」とだけ書いときます。MVになった「New Dawn」にビビッと来たら聴いて損はないかと。

 

前述の通り、SAY MY NAME.は現在動きを見せる気配は全く無く、SUPER FLYING BOYもしかり。MAYKIDZは、シーントップの存在であるELLEGARDENのメンバーがいるにも関わらず、J-PUNKシーン内ですらブレイクしているとは言い難い。

 

高校時代、彼が生み出すメロディーに強く感銘を受けた身としては、今のこの状況は何とももどかしいものがあります。このまま埋もれてしまうのは惜しいバンドだと思うので、ちょっとでも目に触れればいいな...という思いのもと取り上げてみました。

 

 

個人的に本作は

"王道中の王道を行くメロコア。強い個性は皆無ながら、超キャッチーなメロディーはキッズの心に響くはず"

という感じです。

 


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GREEN DAY 『Saviors』

  • 適度に振り幅を持ちつつGREEN DAYらしさが一貫
  • オープニング2曲の勢いが魅力
  • 聴きやすいけどボリューム過多気

 

前回日本にパンクバンドのスプリットCDについて書いたので、その流れに乗ってパンクの新譜感想いっちゃいましょう。

 

パンク界において、もはや知らぬ者はいない超大物・GREEN DAYの2024年発表最新フルアルバム。前作『Farther Of All...』から結構早めに新作出したな、と思ったのですが、何気にもう4年も経ったのか。

 

アルバムの内容については、今更僕が何かを言う必要もないGREEN DAY節満載のポップパンクで、彼らのファンであれば何の不満もなく聴ける内容かと。GREEN DAYGREEN DAYたらしめる王道のサウンドに仕上がっているように思います。

 

僕は海外パンクでは、疾走感があって、メタリックなサウンドも持ち合わせて、メロディーがキャッチーで、といったバンドが好きになりやすい(具体的に言えばSTRUNG OUT、SUM 41、BIGWIGなど)ので、彼らのサウンドは好みからは少々外れる。聴いてて楽しくはあるものの、心からグッと惹かれる瞬間はあまりないかな。

 

ポップパンクの代表格扱いされている彼らですが、混じりっ気の無いド直球のパンクサウンドではなく、どことなくオルタナっぽかったり、パワーポップ的だったり、ロックンロールなテイストを入れていたりするので、個人的にはやはりパンクサウンドのド真ん中をやってくれる方が嬉しいわけです。

 

とはいえ流石に長いキャリアを経たバンドなだけあり、楽曲の造りとクオリティーの高さは保証されている。どういったタイプの曲であっても、しっかりとバンドのカラーが反映された印象がありますね。

 

ます出だしのM1「The American Dream Is Killing Me」と、M2「Look Ma, No Brains!」の2曲が、軽やかなテンポでキャッチーに駆けるポップパンクナンバーとなっており、初聴きの印象が非常に気持ちよくなるのが嬉しいです。特にM2が好き。

 

M1はビリー・ジョー・アームストロング曰く「伝統的なアメリカン・ドリームが、多くの人々にとってうまくいかないことを表現した。実際、それは多くの人々を苦しめている」とのことで、そんな曲に大ヒット曲「Basket Case」のフレーズが使われているのが何か意味深ですね。

 

この頭2曲の流れが良く、これ以上に耳を惹かれる瞬間はその後は現れなかったのですが、捨て曲になるような曲があるわけでもなく、どの曲も短くまとまっているからスッキリと聴ける。

 

アッパーなM6「1981」、実にGREEN DAYらしいシンプルさとポップさが活きたM11「Strange Days Are Here To Stay」、少々ハードさを増したギターが目立ち、ロックンロール的なギターソロも聴けるM12「Living In The '20s」あたりが気に入ってます。切ない弾き語りから、優美なシンフォサウンドで盛り上げていくバラードのM13「Father To A Son」も良い。

 

ただ、さすがに国内盤ボーナストラック入れて全16曲はさすがに多いな...。曲自体はどれも短くまとまっているし、聴きやすい曲ばかりなので、そこまで聴き疲れがひどくならないのはありがたいですけどね。まあ、今や大サブスク時代、CDの収録曲数なんて多くの人にとっては気にならない点だとは思いますが。

 

 

個人的に本作は

"GREEN DAYらしさを一本通したアルバム。曲数こそ多すぎるきらいがあるものの、心地よいポップさとアッパーなサウンドを味わえる"

という感じです。

 


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V.A. 『THE ANTHEMS』

  • 各バンドの個性が際立つ三つ巴スプリット
  • 良くも悪くも手堅く、抜きん出たキラーは少なめ
  • 全体的に良かったのはlocofrank

 

Hawaiian6dustboxlocofrankの3バンドによるスプリットアルバム・『THE LAST ANTHEMS』のリリースが発表されました。

 

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この3バンドが新曲を持ち寄ってスプリットを制作する企画は、11年前の2013年に一度上がっていて、それが今回取り上げる『THE ANTHEMS』です。今回のニュースを受けて、久しぶりにCDラックから引っ張り出してみました(ていうかコレ11年前?は?マジ?)

 

本作のリリースが発表された当時、僕は今以上にメロコアにどっぷりだったため「好きなバンドが3組集まって新曲が聴ける!?ハンパねえ!!」と、かな〜りテンションが上がったのを覚えています。盆と正月とGWが一気に来たようなもんですし。

 

リリース前の宣伝にも力が入ってて、各バンドのメンバーが他バンドの新曲を聴くリアクションや、曲順決め会議の様子を映したムービーの公開、CDを持ち込んだ人だけが入店でき、バンドグッズの詰め合わせを購入できる期間限定100円ショップの企画など、J-PUNKシーンに話題を振り撒いていました(ちなみに100円ショップは僕も行きましたが、薄手の白タオルやステッカーなど、そんな大したモンは入っておらず「まあ100円だし…」と自分を納得させていました笑)

 

実力派のみを集め、収録曲も全部新曲、それに加えて上記の宣伝効果も加わり、否が応でも期待値が高まっていきました。

 

そして当時リアルタイムで本作を聴いたときの感想は......「期待した割には、普通かなぁ...?」って感じ。

 

いや、決して悪い作品ではないんですよ。むしろキャリアを重ねた実力派だけに、楽曲のクオリティーの高さは折り紙付き。飛ばしてもいいような捨て曲なんてモンはなく、どの曲にもバンドの個性が息づいた聴きごたえがある。

 

ただ、各バンドを代表するようなキラーチューンばかり収められていると期待していたのですが、どちらかというと「アルバム中盤あたりにある佳曲」といった具合の曲が多く、抜きん出たようなキラーは少ない。手堅いといえば聞こえはいいですが、もうちょっとパンチのある出来を期待してただけに、若干肩透かしを喰らったような気分でした。

 

この印象は、当時のメロコアどっぷりだった自分が、事前の宣伝に煽られるに煽られて、期待値を必要以上に上げられたからかもしれず、改めてアルバム通して何度かリピートしてみましたが、やっぱり感想は大きくは変わらなかったなー。

 

Hawaiian6はオープニングのM1「In The Deep Forest」こそ、バンドの最大の強みである泣き泣きのメロディーセンスが遺憾無く発揮された曲で、それ以外の曲はそこまで抜きん出た印象はないかな。M10「Excalibur」は結構好きですが、明るい系の曲にもうちょっとフックが欲しかった。

 

dustboxは全部彼ら特有の切ないメロディー、美麗なコーラスが活きた曲になっています。平均点は高いものの、キラーチューンと呼べるような曲はなく、まずまずといった感じ。どこかに1曲「Tomorrow」「Jupiter」クラスの名曲があれば嬉しかったのですが。

 

locofrankが最も全体的にレベルが高いですね。パワフルで硬質な演奏と、ほどよく哀愁を感じさせるキャッチーな歌メロが豊富に揃っている。3バンドの中で唯一、M9「Before It's Too Late」のようなハードコアテイストの強い曲を用意したのも、アルバムのカラーから少しハミ出た印象があって面白い。

 

各バンドの個性や強みはちゃんと感じることはできるものの、全体通してもう少し突き抜けた何かが欲しかったなぁ...という思いが募る1枚ですね。もちろん全曲水準以上のメロディックハードコアであることは間違いなく、ファンならちゃんと楽しめる出来にはなっています。

 

今年リリースされる新作『THE LAST ANTHEMS』はどんな作品になるんでしょうかね。当時ほどガチガチのメロコアキッズではなくなってしまったものの、やっぱり思い入れのある3バンドの共演なので、もちろんチェックする予定でいます。

 

 

個人的に本作は

"各バンドの個性が表出した楽曲で占められたスプリット。メンツの豪華さに比べ、インパクトや突出した印象は少々弱めか"

という感じです。

 


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2/2 KLASH OF THE TITANS at EX THEATER ROPPONGI

THE冠、Primal Fearときて、またまたさらにヘヴィメタルのライヴへ。この1週間はメッチャ濃密でした。エゲツねえライヴラッシュだ...

 

ジャーマンスラッシュの代表格であるKREATORと、メロデスの開祖にして、オルタナメタルとしてワールドワイドに活躍するIN FLAMESのツーマン、KLASH OF THE TITANSに行ってきました。

 

このツーマンが発表された当初から、これは行かねばなと。KRETAORは去年のLOUD PARKで観たばかりではあるものの、フェス仕様の短めのセットリストでしたし、IN FLAMESはKNOT FEST 2016で遠目からちょろっと観た記憶が残っている程度。フルセットのライヴを間近で観られるチャンスを逃す手はありませんでした。

 

翌日の土曜日は休日出勤で朝も早いという悪条件ではあるものの、当日の仕事はだいぶ落ち着きを見せていたので、定時になったらすぐに外に出られる。六本木まではそこまで時間もかからないので、開演時間の19時には充分に間に合う。

 

しかし誤算だったのはお金。「このツーマンをスーツ着たままおとなしく観られるかってんだ!」と、着替えを持ちこんでいたのですが、当然ながら荷物が多くなりコインロッカー1個では収まらない。

 

さらに追加で100円硬貨を用意しようにも、手元に残っているのは1万円札と新500円硬貨が2枚。両方とも会場内の両替機には対応していない。クソが!新500円玉FUCK!

 

着替えたスーツとコートを持ったまま立ち往生。物販でタオルか何かを買って、小銭を増やすことも考えましたが、さすがに開演までわずかな時間しか残されていない。1曲たりとも聴き逃しをしたくないため、ここは諦めて荷物を持ったままフロアで観ることに。

 

IN FLAMESとKREATOR、もちろんどちらのバンドも好きですが、どちらかといえばKREATORの方をガッツリと観たかったために、モッシュピットの中へ混ざれないのはなんとも歯がゆいなぁ...。手荷物など気にせず心置きなく観たかったのですが。

 

 

KREATOR

そんなこんなでちょっと出鼻をくじかれた気持ちで観始めたKREATOR。最新作のSEでメンバーが登場し、そのまま流れ通り「Hate Über Alles」でスタート。さっそくフロア前方中央付近ではモッシャーたちがサークルピットを作り出す。

 

ステージにはジャケットに映る悪魔を模したバルーンがデカデカと鎮座し、脇にはLOUD PARKでもあった、串刺しになった人間のモニュメントが。

 

「破壊神」と書かれたタンクトップが目につくフレデリク・ルクレール、長い金髪をなびかせる姿がクールなサミ・ウリ=シルニヨ、KREATORの真骨頂である限界を超えたスピードを体現するユルゲン・"ヴェンター"・レイルと、LOUD PARKほどではないものの、間近で彼らのプレイを拝むことができる。

 

何より目を引いたのはやはりフロントマンのミレ・ペトロッツァでした。ステージ中央に仁王立ちし、両手を広げてメロイックサインを掲げる姿、ギターを天へと突き出す姿、特徴的なヒステリックなシャウトでオーディエンスを狂乱させる姿、そのどれもが威風堂々としたカリスマ性に満ちている。もはや単に「キャ〜カッコいい〜❤️」なんてヤワな感情を通り越して、畏怖だ。畏怖の対象だこれは。

 

邪悪なオーラを常に纏った楽曲を矢継ぎ早に繰り出す光景、「邪神といえばモッコス」な人でも、このステージを見れば「ミレ・ペトロッツァこそが邪神だ」と考えを改めるでしょう。この存在感はただごとではない。

 

ただ、そんな邪悪なるライヴにも関わらず、ステージ上のメンバーは結構フレンドリーというか、ファンサービスを積極的にやってくれている。ドラムを除く3人が入れ替わり立ち替わりで場所移動し、かなり前の方までやってきてオーディエンスへのアピールを繰り返していました。

 

MCもわかりやすい英語の煽りばかりでしたし、オーディエンスを前後に分けたコール&レスポンスもやってくれたりと、悪のオーラを放っているのに、意外なほどの親しみやすさが全編に感じられましたね。

 

演奏は若干ギターソロがモタっている印象というか、あまりタイトという感じではなかったかな。ザクザクとしたリフにより醸し出される興奮はバッチリ。疾走曲はテンポが速すぎてヘッドバンギングが追いつかんわい。

 

そういう意味では、「Satan Is Real」や「Violent Revolution」、「666 - World Divided」のようなスピード一辺倒ではない曲の方が、頭を振りやすくてノれましたね。MANOWARポーズのごとく手をガッチリと組み合わせて「We are united!」と叫ぶミレのカッコ良さたるや...

 

ラストはあまりにもテンポが速すぎる初期の名曲「Plessure To Kill」。ミレの指示により、中央にサークルピットが形成され、"KILL!"の掛け声と合わせて興奮と狂気の坩堝と化す。柵と段差のせいで巨大な一つのピットが出来上がることはなかったものの、ラストを飾るにふさわしい狂乱となりました。

 

 

IN FLAMES

ここで30分ほどステージの転換時間となるため、邪魔な荷物をお片付け。記念にIN FLAMESのタオルを1枚購入し、できた小銭でスーツとコートをロッカーに押し込む。これで心置きなくフロアの真ん中に陣取れますわ。

 

悪魔像が真ん中にドーンと立って、上からも死者が吊るされていたKREATORと比べて、ステージセットはバンドロゴのバックドロップのみと簡素。

 

しばらく待ってからメンバーが登場し、『I, The Mask』からの「Voices」でスタート。とりあえず、まずビョーン・イエロッテのヒゲに目がいく。クリス・ブロデリックはシンプルにカッコいい。

 

そのガッチリとまとまった演奏により、気持ちよくヘッドバンギングできる。専任ヴォーカルがいて、ツインギターは演奏に徹することができることも大きいのか、演奏のタイトさは先ほどのKREATORを凌駕していたように思います。

 

そしてアンダース・フリーデンのシャウトヴォーカルがかなり良い!ネガティヴな感情を乗せた激情の叫びは、音源の時点でかなり好きなんですが、その高揚感をそのまま生で発散しているかのような好パフォーマンス。見てくれこそチェックのシャツにキャップと、あまりカッコいい感じではなかったけど(笑)

 

セットリストは過去作から満遍なく選出されており、アルバムごとの偏りはほぼ無し。中盤には初期メロデス時代の「Ordinary Story」に「Behind Space」、「Only For The Weak」といった曲を披露。やはり日本ではこれらの曲の方が反応は良さげかな。それまでモダンなリフが支配的だったのに、急にメロディアスなギターが出てくる構成には面白い違和感があります。

 

オルタナティヴメタルとなった彼らはそれはそれで魅力的ですし、なんならモダンなサウンドはライヴでさらに映えていたと言ってもいいんですが、やはり「Behind Space」の性急なリフが鳴り響いたら、「これだよ!これ!」ってなっちゃうのが慟哭音楽好きの性。

 

ただ『Colony』からやるのであれば「Ordinary Story」よりも、それの1曲前か、1曲後のヤツをやってくれた方が嬉しいよ、とは言っておきます(笑)

 

また、KREATORと同様に、このバンドも結構フレンドリーというか、オーディエンスに対してにこやかにコミュニケーションを図ってくれているのが少し意外でしたね。世論とは関係なく、自分たちのやりたいスタイルを貫く姿勢から「どう聴こうが勝手にしろよ」みたいな、ある程度リスナーを突き放すタイプのバンドなのかなと思ってたもんで。

 

アンダースは最前の人たちとグータッチを交わし、スマホを取って各メンバーを間近で撮影してくれていたし、ドラムのタナー・ウェインはニッコニコで手を振ってくれたし。

 

新作からの強烈な疾走曲「State Of Slow Decay」(この曲が一番ライヴ映えしてたように思う)で後半のエンジンがフルスロットルとなり、エモーショナルな「I Am Above」からの、定番「Take This Life」へ。サビにて大きなシンガロングを巻き起こし、怒涛のモッシュピットを生み出すラストに昇華しました。この曲のアンダースのヴォーカルはだいぶラフだったけど...

 

 

各バンド1時間以上、かなり近い位置からガッツリ堪能することができた1日でした。最初こそ荷物の処理に若干あくせくしてしまったものの、いざライヴが開始すれば、そんな焦りはたちどころにすっ飛んでいきましたね。

 

ここまで充実したライヴを観られたのだから、何も思い残すことはないぜ!......と言いたいところだったのですが、前日のセットリストを見てみると、KREATORは「Phantom Antichrist」を、IN FLAMESは「Pinball Map」に「The Hive」をやっていたらしく、「昨日行けばよかったな...」という思いがちょっと湧き起こってます(笑)