世間はクリスマスムード一色。聖なる夜を蛇蝎のごとく忌み嫌う方も多いとは思いますが(笑)、僕はクリスマスの雰囲気は嫌いじゃないですね。華やかで神秘的な夜のムードはいいもんです。ここんところの朝の激烈な寒さはカンベンしてほしいものですが・・・。
今回はそんな季節にも合うだろうと思われる(クリスマスソングは前作収録だけどね)アルバムの感想です。ヴィジュアル系シンフォニックメタルの実力派である摩天楼オペラの最新作。
前作タイトルに「PART 1」とついていたので、近いうちに続編が出るというのはわかっていましたが、まさか1年経つ前に出してくれるとは。ここ2年間でフルアルバム3枚、ミニアルバム1枚、ベストアルバム1枚、ライヴ会場限定シングル2枚というすさまじいリリースラッシュ。ベストも含むとはいえ何とクリエイティヴなバンドなんでしょうか・・・。
そして短期間で曲を作りまくっているにも関わらず、楽曲のクオリティーがしっかり安定しているのも実に頼もしい限りです。個人的にはむしろPART 1より好きかもしれません。
ミニアルバム『PHOENIX RISING』収録のイントロを、より豪華なオーケストレーションで彩ったM1「The RISING -Orchestra-」から続くM2「Beyond The Sorrow」が早速彼らの魅力が濃縮されたキラーチューン。気高く美しいヴィジュアル系の雰囲気を纏いつつ、力強いポジティヴさに満ちた歌メロが煌めくスピードメタルナンバーはアルバムの頭を飾るのにピッタリ。「もう一度この手を前に伸ばす~」の部分なんかタマランねマジで。掴みが素晴らしいアルバムは全体的に印象が良くなりますよね。
ライヴ映えを意識したであろう荒々しいシンガロングが印象的なハードロックチューンM3「罪と罰」、「BURNING SOUL」と並ぶ摩天楼オペラ流ヒロイックメタルM4「WARRIOR」(ラストのギターソロとかクソカッケエ)、OiOiコーラスとシンガロングが目立ちつつ、サビは非常にキャッチーなM5「The Gambler」と、アルバム前半の勢いが良く、聴き手のテンションを落とす瞬間が無い。
後半からは前半ほど前のめりな勢いは控えめですが、彼ららしいメタルとモダンロックをブレンドしたようなサウンドはしっかり自己主張していて、しかも純粋にメロディーが良いので退屈さは感じません。非常にポップながらしっかりエッジの立ったサウンドが聴けるM8「Voyage」、切ない男の哀愁を強烈に放つバラードM9「戦場の雨は音もなく」が特にイチオシ。このバンドのバラードって基本的にポップなものが多いと思うのですが、今作では珍しいほど哀愁叙情寄り。ラストの泣きのギターソロがまた切なくってイイ!
PANTHEON2部作のラストを飾るM10「PANTHEON -PART 2-」は、MVが公開されたときはややサビが平坦に聴こえてしまったものですが、ポップでキャッチーなギターリフ、美しいバックコーラス、飛翔感ある爽やかなメロディー、感動的なラストを彩るハイトーンシャウトと、聴き込むごとに味わい深さが増していき今では大好きな曲に。まあ欲を言えば「喝采と激情のグロリア」「天国の在る場所」並みに大仰にシンフォニックしてほしかったけど。
前作に負けず劣らず、むしろさらに良くなっているとすら言える名作ですねコレは。今年だけでもう2回観ているけど、すぐにまたライヴで聴きたいなあ。彼らには今後もVersaillesと並ぶヴィジュアル系メロディックメタルの代表格として活躍してほしいもんです。
M10 「PANTHEON -PART 2-」 MV
この曲は個人的には苑さんの本領が発揮されたハイトーンシャウトと神秘的なコーラスが映える、ラスト1分半が一番の聴き所なのでフルで公開してほしい。
本作のトレーラー