ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

人間椅子 『異次元からの咆哮』 (2017)

人間椅子 『異次元からの咆哮』

活動歴28年のベテランハードロックバンドの20枚目のオリジナルアルバム。

 

 

28年でアルバム20枚とはすさまじいですね。しかもベースの鈴木研一さんなんかつい最近まで郵便局で働いていたというくらい、なかなか売れない厳しい状況が何年も続いていたのにも関わらずですよ。よほどバンドへの熱と信念、ハードロック愛がないと無理でしょうね、このリリースペースは。

 

 

さらに本作は過去最高位のチャート順位(オリコン18位)を記録し、本作のレコ発ツアーファイナルは過去最大規模のZepp DiverCityで行うなど、まさにバンドは今が全盛期。マジで日本全国のロックバンドからリスペクトされるべき存在なのではないでしょうか。

 

 

さて本作の出来に関して。発売前のインタビューでは「恐ろしくて楽しい」「怖いんだけれど口ずさめるようなメロディーとリフがある」「人間椅子らしさを保ちつつ、ポップでキャッチー」といったような表現がされていましたが、まさにその言葉通りの快作と言えます。おどろおどろしさは従来と同様にしっかり保持してありながら、これまで以上にメロディーがキャッチーに磨き上げられているのです。

 

 

人間椅子の楽曲はドゥーム由来の陰鬱さを持ちながらも、海外のバンド群にはない日本的なキャッチーが感じられるものばかりでしたが、今作はそれに輪をかけて歌メロに取っつきやすい。それが人間椅子らしい恐ろしさをまったく損なわずに全編に渡って感じ取ることができ、彼らのソングライティング力とバランス感覚の高度さがよくわかる。

 

 

弾むようなギターリフと軽快な鈴木さんの歌いまわしが非常に耳に残るM2「風神」(後半のどこか悲しげなギターソロも素晴らしい)、ドラムのナカジマノブさんの雄々しい歌声がバッチリ映える明朗なM10「悪夢の添乗員」など、人間椅子のポップな側面が前面に出た楽曲を多く配しつつ、M1「虚無の声」M12「異端者の悲しみ」といった、比較的シリアスなドラマ性を描いた(それでも十分にキャッチーだが)楽曲、さらにこのバンドにしては珍しいほどのストレートな突進力に満ちた疾走キラーM11「地獄のヘビーライダー」なども収録され聴き手を飽きさせない。

 

 

M3「超自然現象」M5「もののけフィーバー」なんてまさに怖いけど楽しいという表現がピッタリ!!

 

来ーる(来ーる)

来ーる(来ーる)

ミーラ(ミーラ)

クール(ク-ル)

パァッワァーーーー!

 

お化けフィーバーーー!(フィーバーー・・・フィーバーー・・・)

 

耳に残ってしょうがない(笑)

 

 

つまらない捨て曲などはもちろん存在しませんが、あえて一曲選ぶとするなら個人的にはM7「太陽がいっぱい」でしょうか。適度にアグレシッヴなギターリフと曲展開に乗り、非常にキャッチーな歌メロが鳴り続ける日本語ハードロックの名曲です。前々からそうでしたがハードさとキャッチーさを絶妙なバランスで融合させたギターリフ・ソロを量産する和嶋さんのセンスってすごいと思うの。

 

 

何度も言うように本作はとにかくメロディーにしろ、リフにしろ非常にとっつきやすいキャッチーさに満ちているので、ぜひメンバーのルックスで色物視することなく(特に鈴木さん/笑)、多くのリスナーに聴いてほしいですね。新たなジャパニーズ・ハードロックの名盤。

 

 

M1 「虚無の声」 MV