ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

SHOW-YA 『Showdown』

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  • 全編英語詞、世界に打って出る一作
  • 謡曲っぽさ、ジャパメタらしさは希薄
  • ダイナミックなヴォーカルと全編を覆うキーボード

 

今でこそガールズメタルバンドというのは多く存在しますが、そんな時代が来るはるか昔、80年代の時点でメンバー全員女性のHR/HMバンドとして活動していた(アルバムによってはHR/HMとは言い切れないものもあるようですが)、元祖ガールズメタルバンド・SHOW-YAの、結成35周年を迎えた中で放つ12thフルアルバム。

 

本作は"全編英詞によるSHOW-YA史上最もハードなヘヴィメタル・アルバム"と宣伝され、プロデューサーにはDESTINIAで活動するギタリスト・若井望さんを起用。世界へと打って出るため全英語詞にするなど、これまで以上にヘヴィメタルとして本格派のアルバムにしようという気概が見えていました。

 

僕はSHOW-YAのアルバムは7th『Outerlimits』しか聴いてないので偉そうなことは言えないのですが、確かにそんな宣伝通り、本作はいわゆる歌謡メタルとは一線を画する仕上がりになっています。

 

もちろん歌メロはキャッチーに仕上がっているんですが、あからさまな歌謡曲っぽさはほとんど無い。この辺は日本のメタルアーティストでありながら、自分のプロジェクトにおいてほとんどジャパメタ臭を感じさせない若井さんの手腕によるところが大きいんだと思います(作曲は全曲やってる訳ではないのですが)

 

演奏はメロディックメタルとしてのハードさは担保しつつ、そこまでガンガン激しく主張はしてこない感じですが、バッキングで刻まれるギターリフは適度にゴリッとしたパワーがあって十二分にメタリック。J-POPのフィールドにいるバンドとして、ここまでメタルな音を出すバンドは他になかなかいないでしょう。時折飛び出す速弾きソロも熱い。

 

そして楽曲の良いスパイスとなっているのが中村"captain"美紀さんのキーボードですね。サウンド全体をブワッと覆い尽くすような透明感あるキーボードの音色が支配的で、大きな特徴であると同時に聴きどころになっています。

 

バンドの顔である寺田恵子さんのヴォーカルは、還暦間近の58歳という年齢でありながら、ハスキーでロックのダイナミズムあふれる歌唱を披露し、バラードでの穏やかな歌い方も様になる。ヴォーカル面での不満はほぼ皆無と言っていい。

 

ただ全編英語詞はあんまりこの人の歌には合わないのかな〜...とはちょっと思ってしまいました。聴いていくうちに慣れましたが、最初はちょっと違和感が強かったです。かつての代表曲「私は嵐」の英語バージョンであるM12「I am the storm / WATASHI WA ARASHI」があるのもその感覚に拍車をかけました(もちろん元が名曲なので楽しめるけど)

 

楽曲はどれも粒揃い。アルバムを代表するキラーチューンと呼べるほどの曲は無いものの、メロディアスさに振り切ったギターソロが最高にカッコいいM4「TOKYO, I Scream」、キーボードとギターのユニゾンによる展開とシンガロングが気持ちいいM5「KISS in the Riot」、本作中最も体感速度の速いアグレッシヴなナンバーM7「Thunder」、非常にフックに飛んだキャッチーなサビで魅せるハードポップチューンM10「ROCKS」など、アップテンポで駆ける楽曲はかなり魅力的。

 

ちょっとバラードが多い感があり、せっかく「SHOW-YA史上最もハードなヘヴィメタルアルバム」を謳うなら、もう少し疾走感多めで良かった気もしますが、豊かなメロディーに彩られた優れた楽曲の連続で、かつジャパメタ特有の野暮ったさ(嫌いでは無いけど)も無い、ガールズバンド云々関係無しに非常に質の高いHR/HMアルバムです。

 

 

個人的に本作は

"日本人らしさを軽減させた、海外志向の強い本格派・王道をいくメロディックメタル。ハードさ重視の楽曲の魅力が強い!"

という感じです。

 


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