ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

FIVE FINGER DEATH PUNCH 『And Justice For None』

FIVE FINGER DEATH PUNCH 『And Justice For None』

本国アメリカではチャートトップ10常連の、大人気オルタナティヴ/グルーヴメタルバンドの最新作。何か本作のリリース前には色々ゴタゴタがあったみたいですが、とりあえずは無事に発売されて何よりです。

 

本作は通常盤とデラックスエディションの2タイプが存在しており、デラックスエディションにはボーナストラックが3曲追加されていて、その内の1曲はアルバムの頭に配置されているという特殊仕様。

 

単なるライヴ音源やデモ、カラオケバージョンみたいなボートラにはさして惹かれませんが、オリジナル曲がプラス3曲されるのであればそちらの方がお得だろうと、デラックス盤を購入しました。

 

個人的にはバージョンごとに曲順が異なるっていうのはあまり好ましくは思わないのですが、まあ中身が良ければ些細な事。そして実際期待を裏切らない良作であると感じます。

 

彼らの音は基本的にはグルーヴィでモダンなオルタナティヴメタルですが、欧州メタルにも通じるような叙情性が仄かにメロディーに息づいているのが特徴。そしてそれは本作においても全く揺いでおらず、硬派でタフ、土臭いけれどどこか美しい、男の美学がこれでもかと表現されています。

 

先述の通りM1「Trouble」からいきなりボーナストラックな訳ですが、この曲が5FDPかくあるべし!と言いたくなるような、グルーヴィかつメロディアスなキラーチューン。ヘヴィでノリの良いリフが大層気持ちよく、メランコリックなサビが男泣きの叙情美タップリ!うん、この曲は確かにオープニングトラックとしてしかるべき楽曲です。

 

そのままの流れで5FDPらしい武骨なサウンドと縦ノリリズム、タイトルを熱く叫ぶシンガロングの掛け合いを見せるM2「Fake」(通常盤ではこれがオープニング)へと進み、よりサビでのキャッチーさを増しつつ、男らしいタフさは微塵も減退していないM3「Top Of The World」へ続く序盤は非常に勢いがあって文句なし。

 

その後も勢いのある楽曲は挟みつつも、合間合間にバラードと言い切れるようなメロウな叙情性を押し出した、落ち着いた曲があからさまに目立ち始めます。アコギがかなり目立ったM5「Blue On Black」に、ピアノやストリングスまで取り入れられた切ないバラードM7「I Refuse」、完全にアコギがメインを張り、ヘヴィなリフは顔を出さないM9「When The Seasons Change」、パンクバンド・The Offspringのカバーではあるものの、原曲を知らなければ彼らのオリジナルとしか思えないほど5FDP流バラードに色を変えたM12「Gone Away」などなど...

 

グルーヴメタルバンドのアルバムにここまで頻繁に落ち着いた楽曲がポンポン出てくるのはちょっと多いかな...?という気はするものの、彼らは渋い男の哀愁を多分に含んだ確かなメロディーセンスがあるバンド!そういった聴かせるタイプの楽曲にもしかとした説得力が備わっているのが心強い...というかむしろメロウな曲調の方が彼らのメロディーセンスは活きているとさえ言えるかも!?

 

特にM3の後半のツインリード、M5のこの上なく美しく切ない調べを奏でるアコギ、ボートラを除いたら本編のラストであるM14「Will The Sun Ever Rise」の最後のサビへ向かう向かうギターフレーズと、サビ終わりからテンポアップするクライマックスなんかはかなりドラマチックな哀感に満ちており、たまらんモノがありますね...。ヘヴィなだけのサウンドではない、この男泣きの哀愁よ!素晴らしい!!

 

アイヴァン・ムーディーの強靭なヴォーカルパフォーマンス、ヘヴィでがっちりとまとまりつつ、時折エモーショナルなギターソロも飛び出す演奏、そしてなにより軟弱にならない程度に配された哀愁のメロディーが素晴らしい名作です。ここ最近STONE SOUR、Sons Of Texas、TRIVIUM、MACHINE HEADなど、アメリカンメタル勢が良作をガンガン出していますが、その流れに見事に続いてくれました。

ボーナストラックがどれも良質なので、ぜひともデラックスエディションを聴いてほしい。

 

M4「Sham Pain」 MV

 

M12「Gone Away」 MV

原曲も良い曲ですが、それとはまた違った魅力を見事に表現したナイスカバーだと思います。