ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

VOLBEAT 『Rewind・Replay・Rebound』

VOLBEAT 『Rewind・Replay・Rebound』

アメリカを含め、世界各国のチャート上位にアルバムを送り込んでいる、デンマーク出身のロカビリー・メタルバンドの7thフルアルバム。

 

一応CDショップなどではHR/HMにカテゴライズされるバンドなのですが、彼らの音を聴いて「メタルだ」と感じる人はほとんどいないのではないでしょうか。

 

あまりメタリックとは言えないながら充分ハードな磨かれたギターに、ロカビリーの影響が強いアウトローでポップでノリノリなメロディーとリズム。スタジアムとかでも似合いそうなロックンロール。

 

ヴォーカルでありメインソングライターでもあるマイケル・ポールセンによると「一つのスタイルに固執するつもりはない」「VOLBEATにはメタルも、ロックンロールも、ロカビリーも、カントリーも、ブルースも、ゴスペルもすべて入ってる」とのことで、一筋縄ではいかないハイブリッド・ロックを量産しています。

 

ただ色々な音楽的要素が入っているとはいっても、収録されている楽曲のカラーは大体統一されており、散漫な印象は感じません。どこを切っても彼ららしさが感じられる芯の通った楽曲群からは、彼らの高いソングライティング力が如実に伝わりますね。VOLBEAT節と言い切ってしまっていいロックンロールチューンが盛りだくさんです。

 

ほぼ全曲にゴスペルのような女声コーラスをふんだんに取り入れゴージャスな雰囲気を強めながらも、土臭い野郎の世界観も一切損なわず、それでいてメロディーは非常にポップで叙情性に満ちている。拳を突き上げノリながら一緒に合唱できるアンセムばかりなので、こりゃメタルだロカビリーだというジャンル分けは無粋ですね。明るいハードなロックンロールが聴けるのであれば決して損はしない出来、と胸を張って言えます。

 

そしてなんといってもマイケルによるヴォーカルの素晴らしさ!充分に男臭いんだけど、決してムサ苦しくはならず、突き抜けるような爽快感と非常に高い歌唱力で本作の世界観を完璧に描き出す。とてもかつてアンダーグラウンド臭満載のデスメタルバンドにいた人とは思えんわい。こんな歌声の人が今では「オーディエンスをハッピーにしたい」なんて発言をするのですから、人ってどうなるかわからないですね(笑)

 

あと洋画好きとしては、目を閉じるとカウボーイたちが荒野を舞台に活躍する西部劇の風景が浮かんでくるような曲調がたまらなく良い(笑) 通勤中のクソつまらん電車内が一気に映画の世界に早変わりするんですよ。

 

サビにて本作中最も大きなスケール感を演出する極上のポップメロが堪能できるM1「Last Day Under The Sun」、ピアノとサックスが絡みながら思わず体が動いてしまうようなノリの良さを演出する(普通のメタルバンドにはなかなかできない芸当ですよコレ)M4「Die To Live」、クリーンギターと共に、どこか爽やかな哀愁の歌メロを堂々と歌い上げるバラードのM6「When We Were Kids」が個人的なキラーチューンですが、どの曲にもフックあるメロディーと歌いやすいコーラスが配されていて捨て曲はありません。

 

ただある意味起伏が小さいと言えるスタイルの安定感のせいか、中盤から後半にかけて若干中だるみの感覚があるのが正直なところかも。まあコレはほとんど言いがかりみたいなもんですけどね。

 

あとM13「The Everlasting」は「俺たちメタルもやれるぜ!」というアピールなのかなんなのか、急にどうしたと言いたくなるほどグッとヘヴィかつメタリックな音になりますが、このバンドがわざわざヘヴィナンバーをやる必要はないんじゃないかなあ。

 

最後にちょっと難癖というかイチャモンはつけちゃいましたが(笑)、キャッチーでスケールが大きくて、ノリノリのロックンロールは多くのロックファンの心を掴めるものだと思います。ようやく国内盤も出たようですし(僕が持ってるのは輸入盤ですが)、メタルファン以外の人にも広く聴かれてほしいです。なまじメタルコーナーに置かない方がいいと思うけどな。

 

M1「Last Day Under The Sun」 MV

 

M11「Leviathan」 MV

これぞ「カッコいいロック」の典型って感じ。2:46~からのギターが狂おしいほど好きです。短いのが残念ですが。