ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Twilight Force 『Dawn Of The Dragonstar』

Twilight Force 『Dawn Of The Dragonstar』

トワイライト・キングダムより現れたヒーローたちが再びやってきました。Rhapsody Of Fireとは似て非なるRPGメタルをプレイするシンフォニックメタルバンドの3rdフルアルバムです。

 

2017年にEvoken Festで来日するも、直後にヴォーカルのクリレオンことクリスチャン・エリクソンが脱退(現在はNORTHTALEを結成し1stアルバムを発表して来日公演も実現している)、現Sabatonのトミー・ヨハンソンを代打のヴォーカルとして起用しつつツアーを慣行し、2018年に正式なヴォーカルにアリオンことアレッサンドロ・コンティを迎えました。

 

このアレッサンドロ・コンティはTwilight Force以外にもTrick Or Treatでヴォーカルを務めたり、LIONE/CONTI名義でファビオ・リオーネと共にアルバムを発表したり、今年出たSKELETOONの新作にもゲスト出演したりと、メロディックメタルシーンにおいてはかなりの働き者って感じですね。

 

それはつまりTwilight Forceのみに活動の時間を割けないということでもあり、EVPが来年以降の海外アーティスト招聘事業を休止することとなった今、彼らのライヴを日本で拝める可能性は限りなく低くなったような気がしますが...。風邪ひいた状態でも来日公演行って良かったな~としみじみ。

 

さてそんなヴォーカル変更後の本作ですが、基本的な路線は全くと言っていいほど変わっておらず(コンセプトありきなところもあるバンドなので、下手に路線変更などできないでしょうし)、ポジティヴなクサさに満ちた実にメロディアスな旋律を、RPGゲームか映画音楽かとでも言いたくなるほどのシンフォニックサウンドで味付けしたスピードメタル。

 

シンフォメタルの大家であるRhapsody Of Fireと比べて、シンフォニック過多に陥らずに、あくまでメロディックメタルとしてのスタンスをキープしているところが個人的にはポイントが高いです。Rhapsodyはどうしても濃厚すぎる、クドすぎると感じてしまうのですが、このバンドの音は大仰ながら良質なメロディックメタルとして聴けます。

 

何かこう書くと「Rhapsody Of Fireは良質なメタルバンドじゃない」と言ってるように思われそうですが決してそうではなく、僕の感覚としてRhapsody並みにサウンドが豪勢になると胃もたれしちゃうというだけのことです。何せ元々はメロコアキッズでしたから。

 

新ヴォーカルのアリオンはバンドの音楽性にしっかりとマッチしており、かつ実力も申し分ない。クリレオンと比べてやや上ずり気味のクセの強さがあって、最初聴いたときは若干違和感があったのですが、聴いていくうちに慣れちゃいました。

 

そしてなんといってもメロディーの良さがこのバンド最大の強みですね。前作からそうでしたが、ファンタジーの映画やゲーム音楽の雰囲気を多分に含みつつ、飛翔感あふれるメロスピの系譜にも位置する、この明るくキャッチーなクサメロ!!キラキラしたバンドサウンドのアレンジや幾重にも重ねられたクワイアを効果的に用いて劇的なメロディーをさらに煌めかせている。

 

M1「Dawn Of The Dragonstar」、M2「Thundersword」(まさか音源にも"シャキーン!"が出てくるとは.../笑)という彼らの魅力が濃縮されたオープニングだけで名作認定を下したくなりますが、それ以降のすべての曲においてとめどなくあふれ出るメロディーと豪華絢爛なサウンドが。

 

MYRATHを彷彿させるような中東のエキゾチックなアレンジが特徴のM4「With The Light Of The Thousand Suns」、サビの爆発力が劇的なM6「Queen Of Eternity」、これぞまさしくTwilight Force!な煌びやかさが活かされたM7「Valley Of The Vale」など、わかりやすく、熱く、気持ちを盛り立てる名曲の宝庫!

 

M10「Blade Of Immortal Steel」は彼ららしいメロディーは息づいていながら、どこか和風とも中華風とも取れそうな、久石譲のシンフォメタルバージョン(?)なアレンジが施されており、楽曲としての面白みと聴きごたえは最高レベル。ギターソロがGALNERYUSの「ANGEL OF SALVATION」張りのシュレッドで、実に緊張感あるプレイなのも見逃せません。

 

今の今まで素晴らしい楽曲の連打だったというのに、トドメと言わんばかりにこれほどの曲を出してくるのだから、彼らの才覚は底なしだ。

 

まあ12分以上ある曲で後半ちょいとダレなくもないので、個人的には10分以内に収めてくれるともっと気に入ったのですが(笑)

 

欠点としては本編終了後にボーナストラックとして、既存曲のバージョン違いと音のショボいデモ音源を4曲も収録しており、それが余計に感じられるところでしょうね。おかげで80分近い収録時間になってしまっており、こういうボートラはハッキリ言っちゃえば不要です。まあ嫌なら途中でストップすれば良いだけですけど。

 

とにかく、本作はメロディックメタルの秀作がバンバンリリースされる2019年においても、必聴のクオリティーを携えた名盤です。ダサいバンドの設定に躊躇せず(笑)是が非でも聴いてください。

 

M1「Dawn Of The Dragonstar」 MV

 

M6「Queen Of Eternity」 Lyric Video

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