- ネオクラシカルなクサさが減退
- ギターとキーボードのバトルはさらにド派手に
- COBの路線を象徴するキラーチューン多数
前回『Hate Crew Deathroll』についての感想を書いたことで、1st~5thまでのアルバムのうち、3rd以外の文章が揃ったので、何となく気持ち悪いから本作についても書いてみます。何だか『Hate Crew Deathroll』のついでみたいな扱いですが、もちろんこっちはこっちで超名盤ですよ。
1st『Something Wild』にて様式美メロデスの革命を起こし、続く2ndで早くもそのスタイルの完成系ともいえる傑作を生みだしたChildren Of Bodomが、1年ほどのインターバルで発表した3rdアルバムです。
前2作においては、ヤンネ・ウィルマンのキーボードが主体となるクラシカルなクサメロが満載のアルバムでしたが、本作にてその方向性が少し変化しています。
というのも単純にネオクラシカル要素がかなり減退しています。かつてのクサメタル路線が好きだった人には、やや物足りなさを感じてしまう内容になりそう。「Lake Bodom」「Hatebreeder」といった過去曲と比較すればその差は一目(耳)瞭然。
しかしクサさは減退したとしても、彼ら特有のダイナミックな演奏に流麗でキャッチーなメロディーが乗るCOB節はまったく変化なし。クサクサなメロディーがスッキリとしたストレート路線になったことにより、聴きやすさはより一層強くなりました。この時点で次作『Hate Crew Deathroll』の正統的なカッコよさの萌芽はあったんですね。
僕個人としても、メロディアスであればそこまでクサさにこだわるタイプではなく、またネオクラ愛好家というわけでもないので、本作のクドくならないキャッチーさは望むところではあります。クセになる感じが少し薄れたのは否定しませんけどね。
しかし本作の楽曲も素晴らしいの何の。M1「Follow The Reaper」から加減一切無しのキラーチューン。ギターソロの勢いがとんでもないことになっており、身震いしてしまうほどに研ぎ澄まされている。
M3「Children Of Decadence」の疾走部のキーボードとバッキングのキャッチーなフレーズに胸を躍らせ、M4「Everytime I Die」の冷ややかな冷気でクールダウンしつつ、M5「Mask Of Sanity」の猛烈な疾走感に酔わされたあと、彼らの十八番であるギターとキーボードの神懸かったソロバトル!この流れが最高...!ラストの"ジャン!ジャジャン!ジャジャン!"のキメもカッコいいんだな。
そしてM7「Hate Me!」はM1やM5と並び、キャッチーで激しく、かつ美しいという本作の方向性を決定づける名曲。一度聴いたら忘れられないキャッチーなフレーズには完全に射抜かれました。ラストのM9「Kissing The Shadows」の「おいおい、それやりすぎだろ!!」とツッコみたくなるギターとキーボードの暴れ狂ったソロバトルも最高。圧巻という他ない。
ネオクラ要素が鳴りを潜めたとはいえ、相変わらずのCOBらしいメロディック&ダイナミックなメタルが聴ける傑作。ここからまたさらに次作で一皮むけますが、この頃の彼らのカッコよさは本当に上限なしだな~。改めて惜しい人を亡くしたものです...
個人的に本作は
"ネオクラ/クサメタル要素を減退させるも、ストレートなキャッチーさがさらに際立ったCOBらしい名盤"
という感じです。