ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

BABYMETAL 『BABYMETAL』

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  • 結成から世界を沸かすまでの彼女たちの集大成
  • アイドル×メタルによる可能性と個性の宝庫
  • 国内メタルシーンの一大革命作

 

前回感想を書いたBRING ME THE HORIZONの『Post Human: Survival Horror』収録の「Kingslayer」で、BABYMETALがフィーチャリングアーティストとしてコラボしていました。

 

それについて書いた後「そういえばBABYMETALのオリジナルアルバムについては、最新作の3rdについてしか触れてないな」と思い出しまして、過去作をまた聴き返してみました。今は日本武道館公演を10日も行っている真っ最中で、話題に上がることも多いことですしね。

 

アイドルグループのさくら学院(今Wikipedia見てみたら、今年の8月31日に解散するんだとか)の派生ユニット「重音部」として始動し、アンダーグラウンドな存在だったのが、海外のメタルファンからMVが注目を浴び始め、飛ぶ鳥を落とす勢いで知名度を獲得。後はご存知の通り、世界で最も知られる日本のメタルアクトにまで上り詰めてしまったメタルダンスユニットの、2014年に発表された記念すべき1stアルバム。

 

僕がBABYMETALの存在を知ったのは、恐らく2012年ごろ。当時札幌の高校生だった僕は受験勉強をサボってタワーレコード札幌PIVOT店に頻繁に通っており、日本のバンドのアルバムを色々とあさっていました。もちろん経済的に余裕のない高校生の身なので、試聴だけして帰ってしまう日が大半でしたが。

 

そこでBABYMETALのシングル『ヘドバンギャー!!』を見つけ、「ハァ?アイドル×メタルだぁ!?フザけんなよ、アイドル風情がメタルだとか名乗りやがって!!」とやたら腹を立てた記憶があります。当時は「地上波の音楽番組に出てるJ‐POPやら、アイドルやら、ジャニーズやらはみんなクソだ!」と思っているダサいロック少年だったので(黒歴史)

 

今にして思えば、あのシングルを買っておけば今頃プレミアついてたのかな~...なんて考えてしまうのですが、まあそんなことはどうでもいいこと。しかしその頃からは、世界を巻き込むほどの現象になるとはこれっぽちも想像してなかったな。

 

それは置いといて、本作はそれまでシングルを小出しで発表し続けてきたBABYMETALの、待望のフルアルバム。既存曲が大半を占める内容のため(よってフルアルバムというよりは、これまでの活動を総括するベストアルバムのような感じ)、今までの作品にすべて付き合ってきた熱心なファンからはちょっと物足りない内容になっているのかも。

 

そして既存曲をほとんど聴いてこなかった僕のようなリスナーからしてみれば、世界的に見てもメタルをここまで個性的にアレンジする例は類を見ないだろうなと思わせるほどの、めくるめくベビメタワールドに浸食されてしまうアルバムになっています。

 

神バンドによる非常にヘヴィかつ濃密な音数で迫りくるエクストリームなメタルサウンドに、この時点ですでに凛とした力強さを秘めたSU-METALの歌声、アザトさ限界突破のYUIMETAL・MOAMETALによる掛け合い、時に小憎たらしいほどにキュンキュンのポップさが顔を出す歌詞とメロディーと、言葉では言い尽くせないほどの混沌とした、何でもありの世界観。改めて本作を聴くと、今のBABYMETALは良くも悪くもずいぶんマトモになったんだなぁ...と思わされます。

 

イントロ的な楽曲であるM1「BABYMETAL DEATH」から、可愛らしい自己紹介の声と、凶悪なまでの重音エクストリーム&超絶技巧のバンドサウンドが交錯する未知の曲で、そこから和楽器による音色と疾走感あるメタルサウンドでメロディアスに彩るM2「メギツネ」で一気にベビメタワールドへ突入。

 

AA=で活動する上田剛士さんの手によるインダストリアルメタルナンバーで、BABYMETALが海外のリスナーに注目されるキッカケにもなったM3「ギミチョコ!!」に、メチャクチャにあざといサビメロと、恐ろしい迫力のグロウルのコントラストがエグイM4「いいね!」、これまでややイロモノっぽい楽曲だったのが、急にシリアスなメロスピ(しかも普通にメロが良い)M5「紅月 -アカツキ-」が来る。

 

アイドル×メタルの本領が遺憾なく発揮されたメタルポップナンバーM6「ド・キ・ド・キ☆モーニング」が続いたと思えば、今度はYUIMETALとMOAMETALのあどけないコーラスと、Limp Bizkitばりのニューメタルリフが響くM7「おねだり大作戦」が飛び出すなど、とにかくメタルという音楽でできる面白いことをすべてやったろう!という気概が感じられる。

 

何でもありのごった煮感、やりたい放題しまくる混沌具合、M13「イジメ、ダメ、ゼッタイ」のような決め手となるキラーチューンの存在が一つになった本作。世界的成功を収める直前の、勢いに乗り出した時点だからこそ生み出された革命作ですね。

 

単一の作品としての整合感・完成度としては、次作以降の『METAL RESISTANCE』『METAL GALAXY』の方が高いとは思いますが、やはりアイドル×メタルとしての個性と遊び心が頂点に達したのはこの時点であったことは間違いないでしょう。

 

 

個人的に本作は

"アイドル×メタルの面白さをとことん追求し、日本のメタルシーンに変革をもたらした作品"

という感じです。

 


BABYMETAL - メギツネ - MEGITSUNE (OFFICIAL)

 


BABYMETAL - イジメ、ダメ、ゼッタイ - Ijime,Dame,Zettai (OFFICIAL)