ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

メチャメチャ緊張しながら新生KLUB COUNTER ACTIONに行ってきた話

前回GALNERYUSの札幌でのライヴに関して、感想記事を書きました。

 

彼らのライヴを観ることももちろん重要なことでしたが、実は札幌に来た際に、もう一つやらなければならないことがあったのです。

 

札幌 KLUB COUNTER ACTION

日本のロック、特にパンク/ハードコアに親しんできた人はその名を聞いたことがあると思います。

 

札幌のハードコアシーンの中心である大ベテランSLANGのヴォーカル・KOさんがオーナーを務めていたライヴハウス。キャパ150人という非常に小さいハコですが、札幌の音楽シーンを支える場所として、多くのキッズから愛されていたライヴハウスです。

 

またレコーディングスタジオとしての顔を持っており、SLANGはもちろん、STRAIGHT UP RECORDS所属の多くのバンドたちがここで音源を作っていたそうです。

 

僕は2011年9月18日、AIR JAM 2011が行われていた日に、Last Allianceのfor staying real BLUE. Tourで足を運んだことがあり、その狭小さ加減、フロアのオーディエンスが花道を作るようにしてバンドメンバーが入場してくるというスタートに面食らいながら、ギチギチのフロアを堪能した記憶があります。

 

非常に小規模な会場でありながら、札幌のライヴハウスといえばカウンターアクション。そんな印象さえ抱かせる、大きな存在感を放っていたハコでした。

 

しかし2020年の新型コロナウイルス流行により、満足にライヴが行えなくなってしまい、カウンターアクションも例外なく経営苦に晒されることになります。

 

しばらくは観客を入れずに配信ライヴを続けていたようですが、結局は閉店という結果に終わってしまいました。ただの1度しか行ったことのないような場所ですが、青春時代を過ごした札幌の音楽シーンに欠かせない場所だっただけに、そのショックは大きいものでした。

 

それでも転んでもタダでは起きないカウンターアクション、一時閉店はするものの、すぐさま新店舗をオープンするに至りました。1階をバースペース、2階をグッズ販売などを行えるフリースペース、配信ライヴやDJイベントなども行えるような空間を作ると発表しました。

 

 

新しく生まれ変わったカウンターアクション、札幌という地で育った音楽ファンとして、これは絶対にいつか行かなくちゃいけない。そんな思いが僕の中に生まれるのは自明の理。

 

そして今回、意外にも早く札幌に行く機会に恵まれ、新生カウンターアクションへと行くチャンスが生まれたのです。

 

GALNERYUSのライヴが終わり、余韻に浸りながら夜を過ごした後の次の日の土曜日、カウンターアクションに行く前に軽く札幌の街を散策。学生時代通いまくったタワーレコード札幌PIVOT店はだいぶ売場面積が小さくなってしまっており、気になるCDを片っ端から視聴するのに使っていたTSUTAYA 札幌大通は、今月末で閉店することが決まっていました。時の流れを感じさせますね......

 

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借りられるCDは基本的に全て店内視聴機で聴くことができたお店。満足にCDを買う金がない学生にとって大変ありがたい場所でした。

 

超久々なサッポロファクトリーをソフトクリーム食いながらフラフラし、その中にあった観葉植物店で女性店員さんのセールストークに見事に捕まり(オイ)、前々から興味のあった多肉植物のハオルチアを購入。その後はホテルに戻りPCをカチャカチャいじりつつ、『音楽の日』17時台に出演すると公式Twitterで予告しておきながら1時間くらい出てこなかった日向坂46のパフォーマンスを鑑賞し、頃合いを見計らって再び外に出る。

 

地図アプリと睨めっこしながら札幌の街を徘徊し、いよいよ新生カウンターアクションとご対面。

 

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しかし!ここで事件が発生。生来のチキン体質が顔を出しやがったのです。

 

バーのお作法なんて全然わからないままだけど、このまま丸腰で行って大丈夫なのか。

 

すっげえおっかねえハードコアなおっさんとかがいて、ギロリと睨まれたらどうしよう。それこそ蛇に睨まれた蛙になってしまうぞ。

 

カウンターの人と全然会話が弾まなくて「こいつ何しに来たんだよ...」とか思われやしないか。

 

そんな心配事が脳裏をグルグルと回り、すっかり店に入ることに抵抗感が生まれてしまいました。ヤバい、今の俺完全にビビっている。

 

そんな精神状態で「次店の前に行ったら入ろう」「いやいややっぱり無理だ」を繰り返し、店の周辺道路を右往左往。近くの駐車場の管理人のおっさん、完全に俺のことを怪しいヤツだと思っただろうな...

 

しかしいつまでもグルグル歩き回ってたってしょうがない。この機を逃すと、いつまた札幌に来れるかわからないんだから!そう勇気を出して、とうとう店の前の消毒液を手に取り、敷居を一歩跨いでみる。

 

するとすぐに入口付近にいたメガネのお兄さん(雰囲気は優しげだけど腕にはタトゥーがびっしり)が対応してくれる。ビビりながらも「あの〜、グッズ販売とかまだやってますかね...?」と尋ねると、「はい、やってますよ〜。どんなのお求めですか?」と回答が。

 

やべっ、とりあえず店に行って、並んでる商品見ながら買うもの決めればいいや、とか思っていたから、急に「どんなの欲しいの?」と聞かれてもすぐには答えらんねえぞ。

 

とりあえず「SLANGのTシャツと、あとなんか...ハードコアのコンピレーション的なのがあれば...」とふんわり伝えたところ、メガネのお兄さんが2階まで行って商品を吟味してくれるとのこと。その間案内されたテーブル席に腰掛ける。体がガチガチに硬っていることが手にとるようにわかりました。

 

そしてバーカウンターに目をやると、そこには全身タトゥービッシリのイカつい男性の姿が。そう、SLANGのヴォーカルであり、カウンターアクションのオーナーでもあるKOさんその人です。

 

KOさんは椅子に座ったまま固まっている僕を一瞥して「なんか飲む?ああ、Tシャツか」と言いながら、コースターを1枚僕の元へ持ってきてくれました。この時点で完全に恐縮の極みに。

 

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KOさんから直接いただいた店舗特製コースター

 

しばらくKOさんと「東京の方から所用で来てて、一度ここに来てみたかったんです」などとお話ししていると、メガネのお兄さんがTシャツとCDを持ってきてくれた。「札幌のハードコアのコンピレーション」という雑なオーダーに対して持ってきてくれたのが『HARDCORE BALL ONE』という作品。

 

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全26曲、70分越えというメガボリューム!

 

tower.jp

 

1996年にリリースされた作品の、ジャケ違いの再発盤だそうで、持ってきてくれたお兄さん曰く「札幌のハードコアを多数集めた最初のオムニバスで、この作品から札幌のハードコアシーンが始まったと言っても過言ではない」とのこと。シーンの代表格であるSLANGは1曲目に収録されている。

 

その後、せっかくバーに来たというのにグッズだけ買って帰るというのもアレなので、飲み物もオーダーしてみようと、バーカウンターのKOさんに対し「メロンソーダのテクアウトだけもらっていいですか?」と聞くと、「いいよ、ここで飲んできな?」とカウンターの席に案内されることに。うおおおおおお...カウンターにも座ってみてえな〜とは思っていたものの、いざ案内されると一気に体が硬くなる......

 

今までロックバーには3回ほど行ったことはありましたが、まさかハードコアの重鎮たる人物を目の前にするとは...。ここにきてここ数年で最大の緊張感が体を襲う。味があまり感じられなくなってしまったメロンソーダを少しずつ啜っていく。

 

そんな中でも「こういうバーみたいな所は全然慣れてなくって作法みたいなものがわからない」みたいなことを伝えつつ、恐縮しながらも会話を続けていく。僕よりも前に来ていた50代くらいのオジ様オバ様の二人組(カウンターではなくテーブル席にいた)からは、「お兄さん緊張してるね」「KOさん、すごい人なんだよ」と気さくに話しかけてもらうも、相変わらず体はガチガチなまま。あ〜〜〜なんて情けない。俺もう四捨五入したら30だぞ。個性が無いのにも関わらずヴィランに立ち向かう出久を見た時のオールマイトばりに心の中で「情けない」を連呼するハメに。

 

それでもしばらく時間がたてば多少は(あくまで多少は)慣れてくるもので、しゃべりもスムーズになってくるのですが、特に印象的だったのが「新しくなったカウンターアクションはライヴスペースもあるみたいですけど、モッシュが起きるような音は出せないんですかね?」と尋ねると「バンドの機材を置くようなスペースは無いですね。アコースティックのライヴとか、DJイベントとかですね」と返答が来たこと。

 

新店舗が出来たとはいえ、もう「ライヴハウス・KLUB COUNTER ACTION」は無いんだな...と、ちょっと寂しさを覚えてしまいました。学生時代もっとハードコア系のライヴを観てみたかったけれど、当時はお金のない学生の身だったからな〜。

 

そして閉店時間の9時を迎え、テーブル席にいたオジ様オバ様もおあいそを始める。そろそろ自分も帰ろうとすると、ちょうどこの日BESSIE HALLでライヴをやったメロコアバンドのCOUNTRY YARDのメンバーが入ってくる。邪魔にならんようにおいとますることに。

 

メロンソーダ1杯の代金と、カウンターに置いてあるNBC作戦(STRAIGHT UP RECORDSが中心となって、震災者への物資支援などを行なっている活動)のラバーバンドの代金を払って店を後にしました。

 

帰り間際にお店の前で写真を撮っていいかと尋ねると、快くOKをいただいたので何枚かパシャリ。

 

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新たなカウンターアクションへと出向いて、KOさんと間近でお話しする機会に恵まれ、微力ながらNBC作戦への募金、及び関連グッズの購入することができ、短い時間ではありましたが、非常に貴重な、印象に残るひとときを過ごすことができました。

 

札幌という遠く離れた地のためおいそれと行くことはできませんが、機会があればいずれ必ずや足を運びたい場所ですね。その頃にはきっとバーの雰囲気が似合うようなアダルトな人間になってみせましょう(多分無理) 今度は2階のライヴスペースで生演奏を聴いてみたいもんですね。

 

純粋なライヴハウスという場所ではなくなったとはいえ、札幌の音楽シーンを支える老舗は確かに存在していました。改めてKOさん、カウンターアクションスタッフの皆さん、同席していた名も知らぬオジ様オバ様、素敵な時間をどうもありがとうございました。

 

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なお2013年にSLANGがHawaiian6、STOMPIN' BIRDとcube gardenで対バンした時(僕が大学進学前に札幌で観た最後のライヴ)に買ったSLANG Tシャツを着て行ったのですが、そのことをKOさんに伝えると「キューブ?SLANG出たことあったっけ?ハワイアンとストンピン?......俺出てた?」と、当時のことはまるで覚えていなかった模様(笑)