ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

10/9 BRAHMAN ONLINE LIVE "IN YOUR 【 】 HOUSE"

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札幌のKLUB COUNTER ACTIONで行われた、BRAHMAN初の有料配信ライヴ"IN YOUR 【      】 HOUSE"を視聴しました。生で味わえるわけではありませんが、今年初のBRAHMANのライヴです。

 

チケット代2000円+投げ銭5000円をガッツリと払ったのだから、その分全身全霊でライヴに集中しようと、この日はだいぶ前から有給を入れていました。普通に仕事してると確実に家の中では観られませんからね。

 

だいぶバッテリーにガタがきているiPhone6sと、家のしょぼいネット環境に不安はあるものの、自宅のテレビにつなげて準備は万端。

 

時刻は19:30を回り、いよい生配信一発勝負の時間が来る。オープニングムービーに合わせ「お母さん、お願い」が流れ、RONZIさんのドアップから、もう何回も繰り返し聴いたあのドラムフレーズが。「TONGFARR」だ。

 

オープニングとしてこの上ない始まり方で、メンバーが静かに演奏をしている中、TOSHI-LOWさんがゆっくりとステージ中央に移動してくる。

 

が、しかし、iPhoneのスリープ設定を解除し忘れていたため、すぐにテレビの画面が真っ黒になってしまうという失態!うわっやっちまった!

 

慌てて画面を復活させて画面設定をオフに。しかし今度は画面が真っ暗なまま映像が流れない。このヘボWiFiが!!!!

 

なんとか画面が復活したものの、「TONGFARR」はもう後半に差し掛かるころに。非常に残念ですが、これも生配信というものの宿命か。素直に受け入れるしかあるまい。

 

しかしそんなムカムカも「The only way」「賽の河原」「BASIS」という強烈な三連打により一気に打ち消される。狭い部屋ではあるものの、あらかじめテーブルなどの邪魔なものを隅に寄せてスペースを作っていたので、ここで思う存分一人モッシュ開始!TOSHI-LOWさんに合わせるように腕をブン回していましたが、その光景たるや、ラリったヤバい奴が怪しげな動きで暴れまわってるとしか思えないものだったでしょう。

 

ライヴ映像なのに、オーディエンスの歓声が聞こえないのに違和感が無いことはないのですが、バンドの鬼気迫るパフォーマンスに終始圧倒されるため、物足りなさは全く感じない。カウンターアクションの狭いステージでフロント3人(特にヴォーカルとベース)が普段のライヴとまったく同じ熱い暴れっぷりを見せつける。MAKOTOさんがいつもと変わらずベースをブン回し、足を高く何度も上げるので、途中でメンバーにぶつかってしまわないかちょっと心配(笑)

 

今までBRAHMANのライヴは何度も観てきていますが、一番小さい会場でリキッドルームですからね。こういう小バコのハードコア感満載のライヴを生で観てみたいものです。

 

BRAHMANにとっては初めての配信なので、最初はパフォーマンスも探り探りな感じになるのかな~と最初は思っていましたが、何の何の、彼らはそんな中途半端な姿を見せるためにステージに上がっている訳ではない。本当にいつもと同じのライヴバンドの姿がありました。

 

SEE OFF」「BEYOND THE MOUTAIN」という定番ながら激アツな楽曲に胸を躍らせつつ、特に気圧されたのが「不倶戴天」。汗だくのTOSHI-LOWさんが中指を突き上げ、画面を睨みつけ、怒りの叫びを上げ続ける。「どうなってんだよこの国はよ!!!」と叫んだあとの、KOHKIさんによる情念のギターソロに燃える...。怒りをテーマにした楽曲ゆえ、この日本の状況下の中、これまで聴いてきた中でも一際感情が爆発した「不倶戴天」だったように思えます。

 

ニューシングルを出したばかり、かつ札幌という舞台のライヴなので絶対に出てくれると思っていたILL-BOSSTINO(BOSS)さんがステージに上がり、「CLUSTER BLASTER」を演奏。BOSSさんのパフォーマンスは八面玲瓏による「ラストダンス」以来でしたが、ラッパーというよりもハードコアと呼んだほうがしっくりくる。魂を込めたリリックを力強く放ち続ける様は、BRAHMANメンバー4人にも決して引けを取らないほどの存在感でした。

 

ただこの曲は紡がれる言葉によるメッセージが何よりも大事なためか、MC二人が映されるばかりで、楽器隊にあまり見せ場がなかったのはちょっと残念。まあそういう楽曲だと割り切るのが正解でしょう。実際ライヴで観たらBOSSさんに釘付けになりそうだし。

 

そのまま「BACK TO LIFE」につながるか...と思いきや、穏やかなクリーントーンとベースラインの交錯から「Causation」であることに気づく。BOSSさんは一旦ステージをはけることに。

 

そして「Causation」のラストでシンガロング(もちろん近所迷惑にならないように小さい声で)をしていると、完全に画面と音声が止まってしまうトラブルが。せっかくのラストスパートだというのにそりゃないぜ...

 

そのまましばらく画面が固まったままなので、みんな困惑しているのでは...と思ってチャット欄を覗いてみると、特に困っているようには見えない。とするとうちの貧弱ネット環境のせいかい。まったくもうブツブツ......

 

更新ボタンをタップしてなんとか再び映像は動き出したものの、「CIRCLE BACK」を丸々飛ばしてしまっていました。フザけんじゃねーよインターネットよおおお!!

 

自宅のWiFIモデムを力強く殴打する気持ちになりかけるも必死に我慢。そんなイライラもすぐにBRAHMANが消し飛ばしてくれるさ...と思っていたら、激情のショートチューン「SHOW」がプレイされる!これでイライラも帳消しさ!「お前の道を見せてみろ!」という叫びに呼応するように胸が熱くなってくるのがわかりました。

 

会場がKLUB COUNTER ACTIONということで、絶対に来てくれるだろうと思っていた、日本が誇るハードコア野郎のKOさんが登場。当然楽曲はストイックなハードコアナンバーの「守破離」。KOさんの唸るような低音の叫びに震える。

 

しかし曲が終わると、カメラに向かってピースサインを向け「日本全国の皆さん、お久しぶりです!」と語りかける。今までヒリヒリするような緊張感と熱気に包まれていただけに、ここでちょっとした癒やしの時間が。まさかこんなタトゥーがバリバリに入ったイカついハードコア番長に癒やしを感じる日が来るとは(笑)

 

ここまでくるといよいよ後半戦。佳境になってどんな曲が来るのかとワクワクしていると、実にオリエンタルな響きを持つギターの旋律が。初期の名曲「GREAT HELP」だ。

 

スカコアのようなリズムが新鮮でありつつ、パンクらしい荒さもあり、かつBRAHMAN特有の民族音楽イズムも色濃い楽曲で、ライヴでは聴いたことがない楽曲のためこれは嬉しい選曲。

 

そのまま2nd『A FORLORN HOPE』収録の超名曲「LAST WAR」「ARRIVAL TIME」は、まさに今回のクライマックスを彩るハイライトたりえる場面。BRAHMAN全楽曲においてもトップクラスの哀愁を誇る「LAST WAR」のラストのシンガロングに胸を焦がし、「ARRIVAL TIME」の激情のサビで燃え尽きましたね。マイクスタンドを振り乱し、最終的にグニャリと曲げてしまう、圧倒的なパフォーマンスに目を奪われるばかりです。

 

観ている方も精魂尽き果てそうな壮絶な映像が少し落ち着いたあと、前奏から一切聴き覚えの無い楽曲がプレイ。聴きとりやすい日本語詞で疾走するナンバーで、THE BACK HORNにも通じるような青臭いメロディーが新鮮ながら、BRAHMANらしいギターのオリエンタルな響きも紡がれる楽曲。

 

なんかのオムニバスとかに収録されていた曲かな?とも思いましたが、どうやらライヴハウス救済プロジェクトで配布されたデモ音源らしく、これからの正規音源の収録に期待がかかりますね。

 

そしてダメ押しと言わんばかりに「ANSWER FOR・・・」をプレイ。普段であればラストの大サビでオーディエンスを踏みつけるのですが、今回は無観客配信なので、4人がステージに立ちながらのパフォーマンス。何だかちょっと新鮮。

 

サビでカメラの前に堂々と立ち、"立ち上がれ!ライヴハウス!"と叫びを上げるTOSHI-LOWさんの姿。画面を通しての言葉に胸が揺さぶれる思いでいっぱいになる。「俺たちの生きる場所、死に場所を作っていく」とギラついた眼差しで語る姿に、思わず拳を固く握り聞き入ってしまう。

 

そしてそんな帰るべき場所・ライヴハウスへの思いを語ったあと、優し気な音色のギターで繰り出されるのは「BACK TO LIFE」。先ほどの「CLUSTER BLASTER」の緊迫感がウソのようなリラックスしたムードがステージを覆う。とても楽し気にステップを踏むTOSHI-LOWさんに、落ち着いたクリーンな演奏を淡々と繰り広げるKOHKIさんとMAKOTOさん、軽やかなリズムを刻むRONZIさんが生み出すグルーヴがとても心地よい。

 

BOSSさんのラップも先ほどとは一変していて、あれだけ怒りと反骨のリリックを語っていた姿とは似ても似つかないほど気さくな感じに。"KOちゃんも近くにいるみたいだから"と指をさす姿にどこかホッコリとさせられました。

 

曲が終わった後はそんなBOSSさんにフォーカス。「コロナによって人前に出ることのない普通の日常になって、そんな日常に慣れてしまっている自分がいた。だけど生まれ変わっても人間になれるとは限らない。一度しかない人生だから、何か現状を変えるような行動をとっていく」と優しく淡々と、かつ力強く語ってくれた姿はまさしく"レベルミュージックの人間"でした。

 

BOSSさんが画面からはけていくと、正真正銘最後の曲「ARTMAN」。"Go! And! Stop!"のコーラスが耳をつんざいた瞬間、「BACK TO LIFE」で抜けていた体の力が一気に呼び戻される。怪しげな宗教風のムードと怒号のような荒々しいコーラスが入り混じり、メンバーの目つきも狂気に彩られる。この異形なムードこそこの曲の特徴だ。ラストのキメのフレーズでマイクスタンドをなぎ倒し、ノイズが響き渡る中画面が暗転していき、ライヴは終了しました。

 

 

配信ライヴという都合上どうしても避けられない音飛び、画面の不良などがちょいちょい発生していましたが、彼らの熱量がテレビの画面をブチ破ってくるかのようなパフォーマンス。これを2000円ぽっちで、全国のライヴハウスのビューイングではドリンク代だけで観られるだなんてちょっと申し訳ない気持ちになってしまうほどでした。

 

ただ生配信ライヴというのは今回が初めてでしたが、やっぱり本物の生のライヴにとって代わるものではないということもわかりましたね。本当にこのライヴを生で経験していたのなら、爆音とモッシュの荒波、そしてダイレクトにぶつかる言葉の力で朽ち果てているはずですから。

 

ただネットを通じてでもバンドと同じ時間を共有し、生のメッセージを受け取り、レベルミュージックの人間の生き様を感じることができたのは素晴らしい経験でした。今後も同じような機会があるのであれば、ぜひとも観たいです。来たるべきライヴハウスで観られる日まで、なまらないようにバンドの魂を画面越しにでも感じ取っていきたいので。