ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

11/13 BRAHMAN / Tour -slow DANCE HALL- at 福岡国際会議場メインホール

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先日行われたBRAHMANの「静」の楽曲にスポットを当てたライヴツアー「Slow Dance」。僕はZepp Haneda公演に足を運び、モッシュが発生しないライヴにおいても、彼らの楽曲が持つスピリチュアルな叙情性がいかんなく発揮されるということを体感しています。

 

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そしてツアーの表題にもなった楽曲「Slow Dance」がシングルとして発売され、それに伴う新たなツアーとして、BRAHMANキャリア初のホールツアーが行われることになりました。

 

シングル購入者の先行抽選に参加し、土曜日で休みがとれそう&ツアー初日という福岡、そして東京の二会場に賭けてみたところ、東京はハズレ、福岡は当選という結果に(ちなみに東京公演はその後のイープラスやぴあの抽選にもことごとくハズれ、一般発売日になんとか駆け込みでゲットすることに成功しました)

 

そんなわけで先日のGALNERYUSの札幌公演に続き、今年のライヴ遠征二回目。九州は福岡へと飛んで行きました。母方の実家があり、自分の生誕の地ということもあり馴染み深い県です。

 

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前日に有給を取って前乗りし、当日は午前中に太宰府天満宮をプラプラし、ホテルに戻ったあとはバスケットLIVEで千葉ジェッツの試合を観戦して、その後会場までゆっくり歩いて向かうという実に優雅な休日。海が近い会場で、すぐそばの埠頭でもうすぐ沈み行く太陽を見ながらしばしボンヤリ。「ナミノウタゲ」が聴きたいですねぇ。

 

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会場となる福岡国際会議場は当然ながら初めて訪れる場所で、非常に綺麗な設備を有した立派な会場。とてもハードコアパンクのバンドがライヴをやる場所とは思えない(笑)

 

本当にここでBRAHMANがやるのか?と訝しみながら入りましたが、予定表には確かに「BRAHMAN Tour -slow DANCE HALL-」の文字があり、会場間違っている訳ではないことがわかる。

 

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先行物販を物色した後、頃合いを見計らってホールへ。1000席ほどあるというホールはメッチャ綺麗でステージも見やすい。まさかこんなところでBRAHMANのライヴを観る事になるとはな〜。

 

開演まで時間があるので、15分ほどウトウトしたり、持ち込んだヘドバンを読んだりしつつ待機。時間を10〜15分ほど回ったところでいよいよ暗転。ステージにかかっている垂れ幕に「霹靂」の文字が映し出されて、そのまま演奏がスタートする演出は前回観たのと同様。

 

雨が降りしきる映像を挟み、幕の内側にいる4人が体を揺らしながらスタート。野太い音でドッシリと楽曲をリードするベースに、そこへ覆い被さるような浮遊感あるギター、ドンと重たい打音をゆっくり打ちつけるドラム、そして切なく力強く盛り上がるヴォーカルが重なっていく。やはり何度聴いてもこの曲のドラマチックさは素晴らしい。

 

「霹靂」が終了した後は、SEの「お母さん、お願い」が流れ、イメージ映像がステージを覆う垂れ幕いっぱいに映し出される。その後に「空谷の跫音」や「Oneness」など、彼らの叙情性を活かしたスロー曲をプレイ。この辺は以前のツアーと同様の運び。

 

こういった曲ももちろん素晴らしいのですが、すでに前回のライヴで聴いている楽曲なので、「今回もまたスロー曲中心のセットリストなのかな〜」などと思い始めた矢先に、「」がスタート。柔らかい演奏によるスローパートと、ハードコアな疾走が交錯する、BRAHMANの静と動を主張する楽曲。サビの爆走っぷりに思わず握り拳に力が入る。これはスロー曲だけでなく、激情に満ちた疾走曲もやる流れか?と期待がかかりました。

 

そして前半のハイライトとなったのが「A WHITE DEEP MORNING」。朝日とそれに照らされる樹林の映像が幕に映り、その裏で4人が静かに佇みながら演奏。そしてスモークが焚かれつつ、ゆっくりと幕が上がっていき、ラストの劇的極まりないサビへと繋がっていく。

 

この曲はBRAHMANの持つドラマチックさの一つの到達点とも言えるほどの曲ですが、小さなライヴハウスではサマにならない、ホールならではの演出で楽曲の良さはより際立つ。

 

落ち着きを見せつつ速いテンポで軽快に駆ける「其限」では、これまでセンターマイク付近でパフォーマンスに徹していたTOSHI-LOWさんが、ハンドマイクでステージの前方を動き出し、オーディエンスに目を合わせるようにしながら歌い上げる。うっすらと笑顔を浮かべつつ、コミュニケーションを取るように身振りを交え歌うその姿は、モッシュに飲まれてハイになっている状態ではなかなか観られなかった姿。

 

それに対し楽器陣は、いつものライヴと変わらぬストイックなプレイに徹する。渋みを効かせたコーラスと、BRAHMANの民謡感を一番に発揮するギターを披露するKOHKIさんに、片足を振り上げながらアグレッシヴに躍動するMAKOTOさん、民族音楽的フレーズとハードコア的疾走を織り交ぜ、アイドルの時とは打って変わって(笑)激しいコーラスで主張するRONZIさん、ホールだろうとなんだろうと、普段と変わらぬ全身全霊感あふれるステージングでした。

 

中盤の「鼎の問」「ナミノウタゲ」「今夜」というスローな楽曲を集中させた場面は、バックの映像も含め前回のライヴと同様の演出。「LAST WAR」で絶頂まで持っていた熱量を、ここの時間でうまくクールダウン。「ナミノウタゲ」の漁師さんたちの映像は、さっきまで埠頭の海を見ていたからか、より感傷的な気分にさせられました。

 

そして「今夜」が終わった後に、ギターを交換したKOHKIさんが奏でた旋律。今までのライヴでは何度も何度も聴いてきただけに、耳にこびりついているイントロ。しかし生のライヴでは久しく聴いていなかったあのフレーズ。「ANSWER FOR•••」だ。

 

歌に合わせてステージバックには縦書きの歌詞がゆっくりと崩れ落ちていき、爆発するサビではかつてライヴハウスやフェスで繰り広げられていたモッシュピットの映像が。この曲では毎回こんな風に暴れられていたんだよなぁ...と寂しくも胸の内熱くなる。座席指定でもこの曲の熱さは微塵も冷めていない。

 

そしてクライマックス。彼らの楽曲の中でも悲しみの感情表現の極北である超名曲「ARRIVAL TIME」。このイントロのベースが入ってくる瞬間、そしてRONZIさんの魂の叫びがスタートする疾走パートのいつ聴いても鳥肌が立つ。ラストの叫び声はエコーがかかり、大きなホールの空間をしばらくの間漂っていました。

 

ラウドな要素を薄めて、繊細な叙情美が前に出るようになった3rdアルバムの方向性を象徴する名曲「FAR FROM...」がここにきて投下される。「A WHITE DEEP MORNING」と同様スモークが照明に照らされて一層幻想的な雰囲気を醸し出す。泣き叫ぶようなヴォーカルと激しく打ち付けるドラムが重なり、最後のメランコリックなサビへ突入し、曲が終わる頃にはゆっくりと幕が下りていきました。

 

ここでライヴの終演となっても文句なしと言えるほどに素晴らしい余韻に包まれましたが、もちろん最新シングルである楽曲をプレイしていないため、この時点で終わるということはない。幕が下りた後さほど時間を置かずにメンバーが戻ってきて、演奏されるは「Slow Dance」。

 

以前のライヴと同じようにリリックビデオが幕に映った状態での演奏でしたが、やはり楽曲のドラマ性を一際高めてくれるこの演出は強い。力強く刻まれる言葉に演奏ともども圧倒され、一瞬たりとも目の前の光景に目を離すことができない。民族音楽らしいパーカッシヴなドラムに、オリエンタルな情緒を繰り出すギターの音色に酔わされ、ラストの爆走するサビで絶頂...!

 

そんな圧倒的興奮の瞬間を迎えた後、「旅路の果て」の穏やかなクリーンギター、淡々とした柔らかなヴォーカルで先ほどまでの緊迫感が一気に緩む。聴いていて感情がひりつくような楽曲はBRAHMANの最大の魅力ですが、こういった包み込まれる穏やかさ、こういった楽曲で締め括られるのもまた一興だなと強く感じました。歌声のエモーショナルさは全く引けを取りませんからね。

 

そんな「旅路の果て」が終わった後は、今回最初で最後のMCタイム。「ありがとう、今夜。あんまり似合ってないけど、ようこそ俺たちのダンスホールへ」と語りかけ、惜しみない拍手が送られる。

 

そして最後に一曲踊ろうと声をかけ、新曲である「DANCE HALL」。BRAHMANとしてはハードコアっぽさも、民族音楽っぽさもかなり希薄な曲で、サビでは「大丈夫、もう大丈夫さ」と極めてストレートなメッセージが綴られる。難解な歌詞と他を寄せ付けない鬼気迫るストイックさを見せる、従来の彼らの姿からは想像もつかないような優しさあふれる瞬間でした。オーガニックな雰囲気こそ無いけど、OAUの優しさにも通じるような一曲でした。

 

 

BRAHMAN初のホールツアー、その一発目を体感することができたわけですが、「BRAHMANはホールでも魅力が損なわれることはない」ということがしっかりと実感できました。これは単に勢い一発のハードコアだけでなく、こういった会場の雰囲気に外れない多面性・ドラマ性を持ったバンドだからこそでしょう。

 

東京の中野サンプラザは早々にソールドしてしまったようですが、その翌日に追加公演も決定しましたし、その他の会場はまだチケット取れるみたいなので、このライヴは一人でも多く体感して欲しいですね。ライヴハウスではできないホールとしての良さと、ライヴハウスと何一つ変わらないバンドのライヴスタイルが両方味わえます。特に「Slow Dance」の演出は映像だけで満足せず、生の空間で感じて欲しい。

 


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このライヴの映像の一部が公開されていますが、やはり画面越しでは生のライヴの凄みや感動を全部感じ取ることはできないな...