ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

10/14 BRAHMAN / Tour -Hands and Feet 9- at 佐賀RAG.G

バンドがまだ訪れたことのないライヴハウスを中心に回る、BRAHMANの自主企画ツアー「Hands and Feet」に行ってきました。僕が行ったのは二本目の佐賀RAG.G公演です。

 

はい、そうです。このライヴのためだけに九州遠征したんです。

 

僕はBRAHMANのライヴは何本も観てきてますが、会場がZeppクラスのデカバコだったり、はたまたフェスのアクトだったりと、彼らの主戦場である小さなライヴハウスでは観たことなかったんですよ。一番小さい会場でも、消毒GIGで観た恵比寿LIQUID ROOMなのです。キャパ1000人前後という、小バコとは言えない場所ですね。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

ですので、狭小なライヴハウスでのBRAHMANというものを今まで体感したことがなかった僕。この機会を逃すわけにはいかないと、限られた枚数のチケットゲットのために、躍起になってイープラスにアクセスして、見事チケット確保に成功したのが佐賀だったというわけです。

 

そんなわけで土日の2日間を利用して、思い切って九州遠征。今までのライヴ遠征は複数泊で、その土地の観光なんかもしていたのですが、今回は1泊のみで純粋にライヴ目的。

 

羽田から佐賀国際空港まで直行するという手もあったのですが、僕の家から羽田空港駅まで行くのはだいぶめんどくさいため、アクセスの良い成田から福岡まで飛び、そこから特急で佐賀まで行くというルートに。旅費だけでだいぶかかるから、泊まるホテルはアメニティのショボいビジホになりました。

 

先週から国内プロバスケットボールリーグであるBリーグが開幕しており、元バスケ部員としては、佐賀バルーナーズの試合も興味深かったのですが、今日も明日も時間的に都合が合わないため、会場付近でやっているビアフェスタをちょっと覗くくらいのことしかできませんでした。残念!

 

ホテルから会場となる佐賀RAG.Gまでは徒歩で30分くらいかかるので、先行物販のために少し早めにでかける。ゆっくり歩きながら、初めての佐賀を見渡してましたが、見た限り地方都市っぽさが濃厚で、駅前でも人通りは多くない。道中はやけにバーやスナックが多く、なかなか僕にはハードルの高い街並みでした。

 

会場となる佐賀RAG.G到着し、ツアーTシャツやタオルを購入したあと、しばらく待って入場。最大キャパ280人という小さなハコですが、最近できたばかりなのか、内装は非常に綺麗でした。

 

 

U SPAN D

ゲストアクトとなるハードコアバンド。失礼ながらこの日までまったく知らないバンドで、てっきり地元佐賀の若手バンドか何かかと思ってたのですが、結成して20年以上経つ福岡のバンドらしい。

 

音楽性はまぎれもないハードコアパンクそのもの。スピード感あふれるリズムに、ズンズンとくぐもったようなベース、ガムシャラなシャウト一本で突き進む様は、まさに由緒正しきジャパコアといった感じ。

 

同じハードコアでも、SLANGや鉄アレイのようなマッシヴな印象は無く、音も薄めなので疾走感と衝動重視のバンドでしょう。

 

ライヴパフォーマンスも楽曲もかなりオーソドックスなので、個人的にグッとくるポイントは少ないものの、会場を温めるに相応しいファストチューンの連打は、観ているだけで痛快ではある。

 

なお彼らのファンと思しき人たちもいて盛り上がっていたのですが、その中にMORBID ANGELのロンTにNAPALM DEATHのキャップという、ガチのエクストリームメタルファンのおっさんもいたのが意外でした。

 

 

BRAHMAN

グッと増えた人口密度を感じながら、フロア前方付近で待ち望むはライヴハウスBRAHMAN。いよいよライヴバンドとしての真髄が体験できると思うと、それだけで心臓が早鐘を打つようでした。

 

そしていつものSEが鳴り響き、大歓声と共に楽器陣の3人が登場。最前列付近の人たちに埋もれてしまうため、RONZIさんはほぼ見えないが、KOHKIさんとMAKOTOさんはガッツリ間近で視認できる。ここまで近いのは初めてかも。

 

The only way」の神秘的なイントロが流れ出し、シンガロングで爆発すると、一気にモッシュの圧が背中を襲う。マイクスタンドに掴みかかるように吠えるTOSHI-LOWさんが登場すると、地獄のモッシュピット...というかもはや潰されてロクに身動きが取れない状態になる。

 

しかし動けないほどに圧迫されても、耳に馴染んだ楽曲が轟音で鳴り響けば、自然と腕は上がるし声も出せる。常に飛びかかるクラウドサーファーをさばきながら、バンドのパフォーマンスを目に焼き付ける。

 

最初の山場となったのは「You don't live here anymore」「Epigram」の2連チャンでした。どちらも爆走した際にリズムがカッコいい曲ですが、狭小なライヴハウスで聴くと、臨場感が全く違う。特に「Epigram」は大好きな曲ながら、今までライヴで聴いたことがない曲だっただけに感動もひとしおでした。

 

タカが外れたような爆走パートの気持ちよさは筆舌に尽くし難いのですが、そういう時に興奮するのは僕だけではなく、周りの人みんなそう。サビになって一人も二人も折り重なってクラウドサーファーが乗っかってくるから、自分の上に人がいる時間が長い長い。

 

そもそも天井が低い会場なので、ぶら下がっていたミラーボールがクラウドサーファーに当たってブランブラン揺れており、真下付近にいる僕はいつ落ちてくるのか不安でしょうがなかったです(最終的に落ちてはきませんでしたが)

 

小さなライヴハウスだというシチュエーションに合わせてか、セットリストも前半はハードコア色が強い。「BOX」〜「BEYOND THE MOUNTAIN」という定番の流れに、「警醒」〜「不倶戴天」という怒涛の爆走まで投下され、ひたすらに強烈なモッシュの波に飲まれ続けるだけ。

 

鬼の異名の通りの恐ろしい形相で叫びながらも、時折笑顔をオーディエンスに振りまいたり、シンガロングを煽ったりするTOSHI-LOWさんに注目してしまいますが、持ち場を離れず玄人のような佇まいで、核となる民族音楽的フレーズを紡ぐKOHKIさんに、イッちゃってる目つきでフラフラベースのヘッドを揺らすMAKOTOさんも、フロントマンに負けずのインパクト。前述の通り終始モッシュしてたので、一番奥のRONZIさんはほとんど見えませんでしたが。

 

ハードコア大盤振る舞いの前半が終了したあと(僕の隣にいるおっちゃんが「地獄だ...」と息絶え絶えになってました)、「逆光」や「鼎の問」といった楽曲が続く後半は、少しクールダウン(密集地帯だから全然涼しくないけど)する時間帯。そこでNUKEY PIKESのカバーである「Let's Get Another Place」がプレイされ、これが今夜一番のレア曲だったかもしれない。

 

「クソ田舎からクソ田舎へと移動するツアー」と今回のライヴツアーのテーマを語ったあと、「狭いライヴハウスなら気の利いたMCなんかしないで、バッとやってガッとやってガンってやりゃいいだけだと思ってたけど、この人がいるなら一緒にこの歌を歌いたいと思った」という言葉から紹介されたのが、HEATWAVE山口洋さん。ツインギター体制になって披露されるのはもちろん「満月の夕」。御本人をここまで近い位置で見られるのは、なかなか貴重な体験になったと思ってます。

 

殺伐としたハードコアの空間から、どこか温かな空気感に変わったのも束の間、山口洋さんが去ったあとは、RONZIさんのシンバルが静かに鳴り始める。「忘れるな!初めてライヴハウスに来たときを!それこそが初期衝動!」と叫びを上げ、ラストナンバーの「初期衝動」が披露される。緊迫感あるイントロから爆発し、ここ一番のシンガロングとモッシュの荒波が発生。ラストは僕の目の前でHi-STANDARDのTシャツを着たお兄さんのステージダイヴをガッツリと受け止めて(痛かった)ライヴは終了しました。

 

終わったあとはもう完全なるグロッキー状態。Tシャツはもちろん、カーゴパンツ全体がビッショビショで、首にかけていたタオルは雑巾絞りができるほど。あれだけ綺麗だったフロアは、床がバケツをひっくり返したのかというくらいの惨状になっていました。清掃スタッフの人大変だろうな...

 

恐ろしいほどの疲労感と充足感を感じながら、来た道を辿ってホテルへと帰る。汗でグッチャリの状態で、10月の夜の街を歩くのは風邪でも引かないか心配でしたが(もちろんTシャツは替えました)、幸いなことにベッドで一晩泥のように眠り込んだあとも体調に特に問題なし。

 

フェスでもない、デカバコでもない、狭小なライヴハウスでのBRAHMAN。確かにこの空間の味わいは、今まで味わったものとは違う臨場感を味わえました。バンドのパフォーマンスを目と鼻の先で感じることができるひととき。これはファンとして体感して良かったなと心から思えました。

 

とはいえ、やはりこの熾烈極まりないモッシュは地獄としか形容できないもので、楽しいという領域を飛び越えて、一種のランナーズハイ的な快楽だったと思います。いや、これはBRAHMANのライヴではいつものことですけど、今回はさらにその傾向が強かった気がします。

 

今回は1時間程度の長さでしたけど、もしこれが20〜30分くらいプラスされていたら、さすがに身体的に良くない影響を及ぼしていたかもしれず、ハードコアの服用のし過ぎは要注意ですね。