ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

5/4 摩天楼オペラpresents 15th Anniversary Live at 大手町三井ホール

VersaillesやJupiterと並んで、ヴィジュアル系ロディックメタルの代表格とも言えるポジションを確立している摩天楼オペラの、結成15周年記念ライヴに行ってきました。

 

しばらく彼らのライヴは観ていませんでしたが、観てない間にギタリストのJaYさんが脱退しており、サポートとして平賀雄介さんという方がギタリストとして1年半ほど帯同していたそう。今回もそのメンツでのライヴとなります。

 

場所は初めましてとなる大手町三井ホール。大手町なんて、仕事以外の用事では絶対に来ることのなさそうな場所ですが、まさかメタルのライヴで降り立つとは思いませんでしたね。東京駅から歩いて向かったのですが、もう完全にオフィス街でしかないものなあ。

 

道自体は単純なので、さして迷うことなく会場へ到着。完全にオフィスビルにしか見えないですが、オペラーの皆様に混じってエスカレーターで目的の階へ。やはり女性客が大半で、男性客もいわゆるギャ男っぽいイケてる見た目の人が多い。メロディックメタルリスナーのメイン層である(?)イケてないナリのメタルヘッズはほぼ皆無でしたね...

 

会場自体は非常に綺麗かつシャレた空間になっており、非常に快適に観られるホール。結構早い段階でチケットを取ったつもりだったのに、ものの見事に最後方の位置だったのがなんだか納得いきませんが、まあファンクラブ先行とかで大半が売れちゃったんでしょうきっと。

 

ライヴハウスでもないのにワンドリンク制であることにちょっと釈然としない思いを抱きつつ席につき、開演時間を10分ほど押してから暗転。優雅なSEに導かれるように幕が開かれ、モノトーンを基調とした衣装に身を包んだメンバーが登場。色味が少ない分、ドラムの響さんの真紅と言えるほどに真っ赤な髪の毛が目立つこと目立つこと。

 

Eternal Symphony」からスタートすると、早速ファンが手持ちのペンライトを青く輝かせて、バンドにアピールするように振り乱す。こういうのは見てる分には綺麗なんですが、やっぱりどうしても「ライヴ」というよりは「コンサート」っぽくなっちゃうよなあ...

 

また速いテンポになるとヘドバンだけでなく、決められた振り付けを踊るかの如く、両手をヒラヒラ動かすノリも非常に多く見られる。「この曲ではこういう動きをすること!」という共通認識を彼女たちは一体どこで得ているのか(笑)

 

バンドのパフォーマンスは非常に安定感あるもので、観ている側に不安も不足も感じさせない。ちょっと彩雨さんのキーボードが聴き取りにくく感じる瞬間はあったものの、要所で主役の旋律を引っ張り、麗しい音世界をしっかりと演出。

 

そしてサポートとなる平賀さんのギタープレイですが、やはり1年以上帯同した結果なのか、ルックス・プレイスタイル共に一切の違和感がなく溶け込んでいる。時折ピッキングを終えた後に、フワッと右手を高く掲げる仕草も様になっていて、パッと観た限りはサポートメンバーとは思えない。普通にイケメンだし、充分ヴィジュアル系でやっていけるんじゃ。

 

セットリストは最新作『Human Dignity』の曲、およびやや初期寄りの曲が多めで、シンフォニックメタル、メロディックスピードメタルというよりは、彼らのモダンな側面とメロディアスな側面を双方取り入れた楽曲が多め。個人的な好みとしてはもうちょっとガッツリメロスピしてくれた方が良かったものの、普段のライヴではあまり聴けない曲もあるのはありがたいか。

 

モダンな中にも、苑さんのよく通るヴォーカルが多くの見せ場を持つ「MONSTER」や「RAINBOW」あたりは結構好きな曲なので心地よく聴けたし、キラーチューンである「Justice」のサビはやはり熱くなれる。ここで一際強めのヘドバンでバンドに応える。ラスサビで声を出せないのでやっぱり不完全燃焼ではありますが。

 

中盤には苑さんが一旦ステージ袖にはけて、楽器陣のみで「SYMPOSION」を演奏。透明感あるキーボードがキモの楽曲ですが、ソロの出番になるとギター・ベース・ドラムがそれぞれテクニカルに主張し、アンサンブルの強固さを演出。ここでも平賀さんの安定感ある速弾きに感嘆。

 

インストの演奏が終わった後、今まで肩掛けのキーボードを使っていた彩雨さんが、今度は据え置きのキーボードへと切り替えて切々とソロを弾き始める。そうしていくうちに、バンドロゴが大きく記載されていたバックドロップ幕が降りていき、窓からの景色が露わになる(その前から左端の方でちょっと見切れていたのですが)

 

苑さん曰く「リアル摩天楼を背負った状態で演奏したかった」とのことでしたが、まだ時間的に完全に陽が沈みきっていないため結構明るく、さらに言うと摩天楼というよりは、ただのビルでしかないのでムードはあったもんじゃない(笑)

 

この状態で「もう一人の花嫁」「Helios」というドラマチックな旋律が魅力の楽曲を披露してくれたのですが、やっぱり背景が無機質すぎるなあ...。せっかくの演出に対して申し訳ないですが、普通にバックドロップはあったままで良かったかもしれません。

 

そんな風にちょっと微妙な心境になったのも束の間、「Innovational Symphonia」で一気に熱量を高めてくれる。合唱ができないぶん、コーラスは同期音源に頼らざるを得ないですが、この豪華絢爛な歌メロはやはり心躍るものがありますね。

 

「コロナの影響がまだ無くならないけど、少しずつライヴができるようになったりして、確実に前に進んできている。そして、ここでさらに未来への希望につながるお知らせをします」と苑さんが語り出す。なんとなくファンも予想していたようですが、1年以上サポートを務めていたギタリストの平賀さんが、この日をもって正式メンバー雄介として加入すると発表があり、会場から割れんばかりの拍手が巻き起こる。

 

さらに3年ぶりとなるアルバムを出し、それに伴う全国ツアーも行うことが決定。『Human Dignity』からもう3年も経っているというのがまた...。どんどん時間の流れが加速していっているような気がするな...。

 

そして新作に収録されている楽曲から「真っ白な闇がすべてを塗り替えても」が披露されたのですが、開始から早速ドラムが暴れ狂う疾走メロスピ。サビのメロディーも実に美しく抒情的に仕上げた楽曲で、一発で名曲だとわかる素晴らしさ。これはアルバムが俄然楽しみになってきますね。

 

そして最新シングルの2曲「終わらぬ涙の海で」「儚く消える愛の讃歌」という新たな鉄板ナンバーを立て続けに投下。聴く前はサビの"どこまでも〜♪"の部分が高すぎてちゃんと歌えるのか気になっていましたが、驚いたことにバッチリ。よくぞここまで伸びのあるハイトーンが出せるもんです。しかも終盤なのに。

 

この日は15周年ということで、各メンバーからそれぞれ長めのMCが聞けることに。15年間やってきたことを(15年全部経験しているのは苑さんと燿さんのみですが)反芻し、これからのバンド活動への思いを綴っていく。「間違いなく今が一番ワクワクしている」と正面から言い放つ姿に、惜しみなく拍手が注がれました。

 

「人生で一番堕ちている時に作った"僕らは未来から愛されてる"というフレーズを持った曲、その頃とは心境は違うけど、その曲を歌いたいと思います」と語った後は、もちろん希望に満ち溢れた名曲「PHOENIX」。美しくどこまでも天上へと駆け巡るメロディーに、こちらもメロイックサインを掲げて、ヘッドバンギングで応える。

 

なお今回はダブルアンコール制となり、二度のアンコールを受けてからは「もう言いたいことは全部言ったし、聴かせたい曲も全部聴かせた。この後はもう何でもありだ!準備はできたか!」と煽り出すと、突進力あるドラムの連打が巻き起こる。こうなると来るのは当然「BURNING SOUL」。彼らのレパートリーでも屈指の熱量を誇る名曲なので、ここで本日一番のヘドバンを敢行することに。

 

それは僕だけでなく他のファンも同じだったようで、これまではペンライトを灯したり、両手でできるちょっとした振り付けに興じていた人たちが、ここぞとばかりに長い髪をブンブン振り乱している。やはりみんなこの曲の熱さには共鳴してくれるんだな!

 

この曲における苑さんの歌唱は若干フェイク気味で、これまではほぼ完璧というくらいに歌いきっていただけに、ここでも金属ハイトーンをもっと聴きたかったのが本音といえば本音。まあ2時間近くのライヴの最終盤だけにある程度はやむを得ないか。

 

初期からの楽曲もふんだんに取り入れられたセットリストで攻め、これからのバンドの活動がより楽しみになる発表も盛りだくさんという、ファンにとって良い形で締められるライヴになったと思います。

 

僕自身は彼らの初期の楽曲にはさほど馴染みがないので、前奏に入った段階で「あれ?この曲なんだっけ?」と思ってしまう瞬間も多く、もうちょっと15年を総括できるように色々聴きたかったものの(PANTHEONシリーズからはインストしかやってないよね?)、ライヴパフォーマンスのクオリティーはさすがの一言でしたね。

 

新曲がメッチャ良かったので、1ヶ月後に出るアルバムにも期待がかかるし、新体制となった彼らの活動には今後も注目していこうと思わせるライヴでした。心残りとしては、苑さんが言う「聴かせたかった曲」に「天国の在る場所」「喝采と激情のグロリア」がなかったことでしょうか...って、彼らのライヴを観る度に似たようなこと言ってる気がするな。

 

ファンによる祝花がなかなか豪華でした。こういうのって有志を募ってやったりするのかな。