ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

BAD RELIGION 『The Grey Race』

  • This is just a punk rock song
  • 男泣きの哀愁叙情疾走メロコア一本
  • 疾走感満載で心地よく泣ける

 

前回のブログ記事では、好き好きロンちゃんという、ふざけてる中にパンクな精神をやどしたアルバムを取り上げました。その反動というわけではないけれど、今回はまっとうなパンクロック・アルバムについて書こうかなと。

 

アメリカのパンクシーンの重鎮であり、エピタフレコードの看板とも言える大ベテラン・BAD RELIGIONが、1996年に発表した9thフルアルバム(本作はエピタフではなくアトランティックからのリリース)

 

前作『Stronger Than Fiction』リリース時から、ギタリストのブレッド・ガーヴィッツが脱退しており、現在もバンドで活動しているブライアン・ベイカーが加入して初のアルバムになります。

 

BAD RELIGIONといえば、音楽性に一切のブレが無く、戦争や貧富の差などの国際的な問題について向き合う歌詞を書き続ける、まさにパンクロックのスタンスを一貫して守り続けるバンド。本作は30年近く前のアルバムですが、現在とほぼ変わらぬ音楽をやっていることがわかります。

 

仄暗く、決して青春パンクやポップパンクのような明るいムードを見せず、徹底して土臭い叙情性を放ち続ける男のメロコア!日本の哀愁メロコアバンドのような、激泣きメロディーではなく、グッと目頭が熱くなるような派手さの無い泣き。

 

メタルのように切れ味のあるサウンドも使わず、あくまでパンクらしい硬質な音作りを貫いている。バッキングのエモーショナルなコーラス(oozin' aahsというらしい)もふんだんに使われ、これぞBAD RELIGIONというべきスタンスで統一されています(まあほとんどのアルバムがそうなんだけど)

 

国内盤ボーナストラック含めて全17曲と曲数はかなり多いものの、3分を超える曲は2曲のみという短さで、かつ大半が疾走チューンで占められているので、聴き通しやすさもかなりのもの。

 

ノリの良いアップテンポで展開する、覚えやすいサビと痛烈なメッセージ性を帯びた歌詞が特徴的な大名曲M5「Punk Rock Song」を筆頭に、共に歌わずにはいられないほどキャッチーなサビを持つM2「Them And Us」、やや明朗でポップなフィーリングをましたM6「Empty Causes」、クレイジータクシーでもお馴染みな痛快疾走ナンバーM11「Ten In 2010」、タイトルを繰り返すヴォーカルと、お得意の憂いコーラスが織りなす様が耳に残るM14「Come Join Us」など、いずれもフックに富んだ哀愁パンクの連打。

 

本作がリリースされたのは30年近く前であるはずなのですが、近作で聴けるアルバムとなんら方向性は変わっていない。当時からすでに溢れ出る渋みと哀愁、円熟味というものを備えていたということがよくわかりますね。

 

なお、歌詞の難解さもこの頃からすでに完成されていて、CD付属の歌詞対訳に目をやると、とても他のバンドの歌詞では見られないようなフレーズがズラズラ...。大学教授ってスゴいのね。

 

 

個人的に本作は

"一点の曇りもない哀愁・硬質なBAD RELIGIONサウンド。疾走感と男泣きを両立したPunk Rock Song"

という感じです。