- 硬派一徹のタフガイ/モッシュコア
- 一部で叙情的なギターを取り入れるナンバーも
- まとまりが良く、荒すぎなくて聴きやすい
アメリカはデトロイト出身のハードコアバンドによる、2ndフルアルバム。僕は前作は未聴で、本作が始めましてになります。
このバンドの存在は本作に触れるまで全然知らなかったのですが、渋谷のNERDS RECORD STOREで本作がプッシュされているのを見かけ、夏に来日公演も控えているというので、どんなもんかと手をつけてみた次第。値段も安かったし。
ハードコアと言っても、疾走しまくりのハードコアパンクや、シャウトを基調とした激情系、叙情派ニュースクール、メロディックなどなど色々なスタイルがありますが、このバンドはヘヴィなリフを主体としたビートダウン・タフガイ系統のハードコア。重心が低く、硬派一徹のサウンドです。
時折クリーンによるコーラスを取り入れたり、ちょっと叙情的なアプローチのリフやフレーズを使用するときもありますが、あくまで楽曲の味付け程度に抑えられていて、頻発はしません。メロディアスさやドラマチックより、ハードコアとしてのスタイルが優先されています。
個人的には若干クリーンヴォーカルが挿入され、キャッチーな色も見せ出すM5「Tank On E」に、猛烈な勢いをもって疾走し、シンガロング誘発のアツすぎる叫びが聞けるM6「Victory」、スローな中にメロウなギターソロを大体に取り入れ、ラストはエモーショナルなクリーントーンのギターで締めるM7「Goin' Thru Some Things」の三連打が一番印象に残りました。
やっぱり愚直なハードコアよりは、多少メロディアスな要素があった方が琴線に触れやすいですね。強烈な泣きとまでは言わないものの、結構メロウに響かせるギターが特徴的なM11「Something Wrong」も良い。
メロウといっても、メチャクチャに叙情性溢れる美メロが飛び出したり、日本人好みのクサメロをかき鳴らしたり、といった具合ではないのですが。まあ硬派なハードコアには似合わないだろうから、それはそれでいい。
上記した曲以外は基本的に、王道を行くヘヴィ&モッシュチューンばかりなので、あまり一曲一曲取り出してどうこうではなく、リフに身を委ねながらヘヴィさを脳で感じるのが正しい聴き方になるのかな。2〜3分台で終わる曲が大半だし、気持ちよく聴き通すことができますね。オープニングのM1「Outcry」の跳ね回るリフ、M9「Fire Of The Heart」のゴリゴリなリフあたりは、特に快感指数高め。思わず頭を振りたくなります。
個人的に主食とするような音ではなく、単調さも否めないのですが、あまりに非人間的なエクストリームさや、荒ぶれまくった印象は少なく、この手の音としては音質もヴォーカルも、割と綺麗よりにまとまっていると思います(たぶん)。そのため聴きやすさはなかなかのものがあり(それが物足りないというハードコアファンもいるかも)、僕としてはありがたかったですね。
ちなみに上記したように、バンドはちょうど今の時期(8月24日〜8月27日)に初来日公演を控えています。これも何かの縁ということで、僕も足を運ぶつもりです。本場アメリカのハードコア......おっかなそうだな〜。
個人的に本作は
"王道のヘヴィなタフガイ・ハードコア。時折メロウな要素は出てくるが、硬派なモッシュ誘発のスタイルは全編にわたり崩れない"
という感じです。