ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

9/19 9mm Parabellum Bullet / 19th Anniversary Tour 〜カオスの百年vol.17〜 at 日本武道館

先日、9mm Parabellum Bullet日本武道館ライヴに行ってきました。

 

9月19日、結成19周年を記念する、9年ぶりの武道館。9という数字を看板に掲げ、これまでずっとその数字と歩み続けてきた彼らにとって、これ以上無いほどピッタリの日程であることは間違いない。

 

ただ、9月19日という日程にこだわった弊害で、開催は3連休直後の平日という、大規模ライヴを行う上では、なかなか難しい条件になってしまいました。「せめてあと1日早ければ...」と思った人はたくさんいるでしょうね。

 

まあ個人的にはそれ以上に、HELLOWEENのライヴからわずか3日で再度武道館に行く、というスケジュールになったことの方が大きかったですけどね(笑) 「週2で武道館ライヴ」なんて初めてだよ。

 

開演時間は18時半ということで、会場最寄りの九段下駅へ到着するには、職場を定時後すぐに出たとしても、充分な余裕があるとは言い難い。遅れるわけにはいかないので、定時までに仕事を全て切り上げ(一部同僚に押し付けて)、終業のチャイムと同時に退勤準備に取り掛かる。定時に退勤なんていつぶりだろう......(遠い目) というか平日開催で18時半スタートってちょっと早くない?9にこだわってるんだから19時でもいいじゃん。

 

なかなか悪くない電車の乗り継ぎにより、特に大きなトラブルもなく武道館へと到着。僕の席は2階席なので距離はだいぶ離れているものの、先日のHELLOWEENと異なり南西エリアだったため、ステージ自体は見にくくないのはありがたい。

 

 

上から下までびっしり埋まっていたHELLOWEENと比べると、アリーナの座席間の通路が少し広めにとられていたり、2階席の最後方は空きスペースとなっていたりと、多少キャパ的には余裕がある感じでした。かといってスカスカという訳では決してなく、3連休後の平日という難しい開催日で、ここまで集客できれば充分でしょう。

 

ステージセットはだいぶ簡素で、最低限のバンドセットとドラム台があるのみ。大スクリーンとかも無いので、バンドのパフォーマンスは生で観る以外にはない。ちょっと寂しいが、演出や映像に気を取られることなく、生のパフォーマンスを注視することに集中できるのは一概に悪い訳ではないですね。

 

そしてアナウンスの後に暗転し、会場中から歓声が上がる。いつものATARI TEENAGE RIOTの「Digital Hardcore」は流れず、卓郎さんの「9mm Prabellum Bulletですこんばんは」の挨拶も無し。最近のライヴはこうなのか、武道館という特別なステージだから異なる入りにしたのかは、最近のライヴには行けてない僕では判断できなかった。

 

最初のナンバーは「The World」。切れ味鋭いギターリフの主張が激しいものの、曲調自体はゆったりとした落ち着いた1曲。

 

まったくもって個人的な話ながら、僕が初めて9mmのライヴを観たのが、2014年のNext Bullet Marks Tourで、その時もオープニングはこの曲だったから、ちょっと懐かしい気持ちになりました。

 

アッパーにテンションを上げる曲ではないので、まだこの時点では「聴く」スタンスの人も多かった印象でしたが(僕の周りにも椅子に座ったまま、じっくり観ている人が多かった)、その後の「All We Need Is Summer Day」、そして9mmのライヴお馴染みの「Black Market Blues」で、一気に火がついて「盛り上がる」スタンスへと変わっていきました。

 

自作エフェクターの効果により、一発で彼の音色だとわかる滝さんのギターはやはり強烈で、ただでさえ勢いのあるテンポの楽曲に、さらなる熱いエナジーを与える。要所要所でステージを自由奔放に暴れ回る、本人のパフォーマンスも相まって、ステージ上から発せられる熱意の中心は間違いなく彼だったでしょう。遠目からでもそれがわかる。

 

しかし、あれだけフリーダムに暴れ回ってるのに、ギターフレーズは最低限の質を保っているのがすごいですよね。常人なら手元が狂ってしまって、ハチャメチャな旋律を弾き殴ってしまいそうなものなのに。割と原曲に沿ったプレイを崩さないのは曲芸じみてる。

 

そんな滝さんと共に、ステージ上での暴れ担当であるベースの和彦さんは、今日は割と演奏に徹している時間が長くて、長いストラップを活かしてベースをブン回す瞬間はさほど多くなかったように思います。正直ちょっと「大舞台のライヴにしては落ち着いてるな」と思いました。

 

もちろん落ちついてると言っても、あくまで「彼にしては」っていうレベルです。カオスパートになったら、いつも通りの狂乱っぷりを見せつけていたことは言っておきます。

 

ただ彼のマイク音響には一言物申したいですね。盛り上がりがピークに達した瞬間に発せられる彼のシャウトは、9mmのライヴの名物とも言えるのに、それが全然聴こえないというのはどういうことだと。僕の位置からはたまたま聴き取りにくかったという事もあるかもしれませんが、下手寄りの位置にいるのだから、多分その可能性は低い。

 

卓郎さんはいつも通りに、ちょっと拙めなMCで空気をおだやかにしつつ、長い両手を振り上げてオーディエンスを煽りたてる。「今日は今回のツアーの中で、一番9mmを近くに感じられるライヴになると思うよ」と言ってましたが、その言葉通りとでも言えばいいのか、武道館だからといって特別なことをやっている印象はない。今まで観てきた彼らしいヴォーカルスタイル。

 

ちょっと全体的に高音部分の音が外れがちで、歌の安定感はあまり良くない感じでしたが、彼のヴォーカルに上手さや安定感を求めてはいないし、声質自体に魅力があるので、特に気になる程でも無い。

 

当日MCで言われるまで全然知らなかったのですが、この日のライヴをやるにあたって、ファンからライヴで聴きたい曲の投票を行っていたらしく、そこで1位と9位と19位にランクインした楽曲をセットリストに組み込むという企画があったそうです。

 

投票で選ばれた楽曲は、生でなかなか聴く機会に恵まれなかった楽曲も多く、これは個人的にかなりありがたい試みでしたね。メチャクチャキャッチーなサビと、タッピングを駆使した超絶技巧が折り重なる「Keyword」、9mm特有の歌謡曲的なダサさが存分に詰め込まれた「シベリアンバード 〜涙の渡り鳥〜」あたりは、この企画があったからこそ聴けた楽曲でしょう。

 

「この曲を聴きたいと言ってくれたみんなの気持ちがわかるよ。この場所では、今夜俺たちは無敵だから」と前置きしてからの「Story of Glory」も胸熱選曲でしたね。この曲が収録されてる『BABEL』は名曲揃いの傑作なので、どの曲が来ても良かったのですが、この曲における"You and I, Try to fly, All right!"の一体感あるシンガロングが気持ちいい。これは大会場で聴けて得する曲だ。

 

かみじょうさんの猛烈な手数のドラミングが魅力の「キャリーオン」、超強烈な哀愁バリバリのツインリードで昇天させる「光の雨が降る夜に」、エクストリームサウンドで爆走する怒涛のスラッシュチューン「The Silence」など、名曲が目白押しのセットリストとなっており、これらの楽曲に投票した9mmファンにはGJ!と言わざるを得ない。

 

「The Silence」はそこいらのスラッシュメタルにも負けないほど、リフと疾走感の応酬が魅力的なので、ここで全力のヘッドバンギングをかまそうと思ったのですが、やっぱりスーツだとなかなか気持ちよくならないですね。

 

その後に来るのは、武道館ライヴではお馴染みとなっているらしい、かみじょうさんのドラムソロ。涼しい顔で滑らかにスティック回しを繰り出しながら、超速のツーバスを踏みまくる、彼らしさ満点のドラミングにバンバン会場から歓声が木霊する。

 

普通のドラマーであれば、自分の見せ場であるソロパートでは、全身全霊の力を込めたフルスロットルのプレイを披露したくなると思うんですが(それこそ先日マイクを通さず会場に聞こえる雄叫びを上げた、HELLOWEENのダニ・ルブレみたいに)、彼は終始表情を変えず、冷静なスタンスを崩さない。手の動きもしなるように滑らかだ。

 

どれだけドコドコとドラムが唸ろうと、圧倒的余裕を感じさせるのが彼の魅力ですね。ラストには「ぽぽぽぽーーーん!」と叫んで(何で?)、ドラム裏の銅鑼を叩いており、ずっとクールだった訳ではないんだけどさ。

 

ドラムソロが終わったら、いよいよライヴも後半戦。「Beautiful Target」なんて懐かしい楽曲も聴けた後に、曲名非公開の新曲がプレイされる。赤い照明がステージを線上に照らしていて、少々不気味な雰囲気を醸していましたが、それにマッチした重い哀愁が歌メロに込められた疾走曲。

 

近年の9mmらしい、「あからさまなダサさは控えめだけど、メロディーの哀愁はマシマシ」という方向性を踏襲していて、これまた次の音源が楽しみになってくる楽曲でした。

 

新曲の後は、楽曲投票で1位になった曲を披露する時間。その前のMCにて「昔作った曲が後年になってアルバムに収録されるっていうのが結構あって、次にやる曲はバンド始めたばかりに作ったけれども、どうしても歌詞がうまく書けずに、発表できなくて、3rdアルバムになってようやく収録できた曲です」と紹介が入る。

 

「作った当時よりも、今の方がこの曲はうまく演奏できる」という言葉に続いて、見事第1位に輝いた「Finder」が登場。この曲が1位に選ばれるとは、熱心なファンの皆さんはなかなか渋い(そして悪くない)趣味をしておられる。

 

音源とは大幅にアレンジが変わっていて、中盤の間奏パートでは思いっっっっきり引き延ばされた怪しいギターフレーズと、真っピンクの照明効果、そしてステージ前に出て体をくねらせる滝さんにより、何ともまあエロい空間が形成される(笑) しまいには卓郎さんも滝さんと向かい合う形で、一緒に膝立ちでギターをかき鳴らし、さらに官能的な雰囲気へ。さっき卓郎さんが言ってた「若い頃より今の方がうまくできる」という言葉は、熟れたエロスの再現ができるから...ってコト?

 

そしてその後は、セットリストを見てもらえればわかると思うのですが、もういちいち曲名を上げて紹介していくのもバカらしくなるくらいに、キラーチューンのオンパレード。

 

僕が彼らの楽曲でトップクラスに好きな「The Revolutionary」「新しい光」を筆頭に、過剰なまでな疾走感と演奏の密度、音と動きで表される熱量、耳をつんざくノイジーな"カオス"が会場を彩っていく。このラストスパートの展開の勢いたるや、圧倒されるものがありました。

 

そんな名曲ラッシュの中でも、今年リリースされた新曲「Brand New Days」が入っており、それが決して聴き劣りすることがなかったのもポイントでしたね。いまだにソングライティングに衰えが見られないことの証明と言えるでしょう。

 

お約束の爆走チューン「Punishment」で銀テープがバシュッと放出され(一番9mmが近くに感じられる、いつも通りのライヴを展開していた中で、唯一大舞台らしい演出だったかも)、ノンストップの名曲ラッシュが一旦終了。もうこの時点で満足度は充分すぎるほどでしたが、ここからまたアンコールのお時間が開始。

 

「アンコールは6人でやってもいいですか?」と尋ねて、メンバーと共にステージにやってきたのが、サポートギタリストとして帯同している、HEREの武田将幸さんと、folcaの爲川裕也さんの二人。

 

この日はドラムソロまでの前半を武田さん、それ以降の曲は爲川さんが担当していたのですが、ここにきて二人同時に登壇し、クアトロギターという豪勢な体制が組まれることに。一人分のスペースに二人が立っていたのでだいぶ窮屈そうだったな。

 

"さあ両手を広げて すべてを受け止めろ"のフレーズに応えるように、会場中の手が上がる様が壮観だった「太陽が欲しいだけ」、9mm Parabellum Bulletというバンドを象徴する名曲「Discommunication」という連打で、最終盤にふさわしい盛り上がりを演出。

 

そんな最高の流れで続く、正真正銘のラストナンバーは、これまたライヴお馴染みの「Talking Machine」でした。曲前のお約束である"1, 2, 3, 4!"は、間違いなく本日一番の大音量で会場に響き渡る(割とおとなしめに観ていた僕の右隣のお兄さんも、ここにきてメッチャデカい声を上げていた)

 

う〜〜〜ん、やっぱりこの曲と「Discommunication」を聴かないと、9mmのライヴの真髄は味わえないんじゃないかっていうくらいの、素晴らしいラストスパートでしたね。アンコール無しの段階で充分すぎるほど名曲を浴びましたが、さらにそこからダメ押しでこれをやられたら、たまったもんじゃありません。動きにくいスーツであることを若干呪いながらも、最後の最後で気持ちよく踊れました。もう言うコトなし。

 

 

2時間以上にわたる大ボリュームのライヴ、王道とは違った楽曲を取り入れつつ、いつもの9mmらしさも満載で、非常に密度の濃いライヴだったのではないでしょうか(和彦さんのシャウトが聴こえないこと以外)

 

1週間で2度の武道館という、今まで類を見ないほどの強行スケジュールとなってしまいましたが(ただでさえ9月はライヴが多いのに)、そんなムチャをやってでも、観ておいて良かったと言い切れますね。それだけの価値は間違いなくありましたから。

 

なお余談にはなりますが、特にグッズを買うことはなかったんですけど、ヘヴィメタルファンとしては、会場販売されていた「9mm METAL Tシャツ」のデザインにはちょっと心惹かれるものがあり、今になって「買ってもよかったかもな〜」と思っていたりします。