ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

ANGRA 『Ømni』 (2018)

ANGRA 『Omni』

ブラジルを代表するメロディックパワーメタルバンドでありながらフロントマンの衝撃的な交代劇があり、さらに中心人物でありギタリストのキコ・ルーレイロMEGADETHに引き抜かれたことで、オリジナルメンバーは同じくギタリストのラファエル・ビッテンコートのみになるなど、どうも人事の面でボトムが不安定な感のあるANGRA

 

ヴォーカルがファビオ・リオーネになってから2作目ということで、前作発表時から今作までの間にファビオはRhapsody Of Fireを正式に脱退しているので、いよいよANGRAの一員として活躍していこうという気概があったのかもしれません。

 

しかしキコ・ルーレイロという優れたプレイヤーを欠いた(一曲だけ作曲者クレジットに名前が記載されていますが)状態で力作が出せるのかな・・・という一抹の不安を抱きつつオープニングのM1「Light Of Transcendence」聴いてみると・・・これは良い!!素晴らしい!!!

ドラマチック極まりないイントロから「Spread Your Fire」を彷彿させるような劇メロで疾走、ストリングスを用いた厳かな間奏に、サビにて描かれる飛翔感溢れる特大スケール・・・!これぞANGRA快哉を叫びたくなるような凄まじいキラーチューンです!やっぱりこういうドラマチックなメロディックメタルを歌わせたらファビオは天下一品ですね。

 

そしてMVが先行公開されたM6「War Horns」もM1に負けず劣らずの疾走パワーメタルナンバー。途中でテンポを落としつつ、テクニカルに引き倒されるギターソロが飛び出すプログレッシヴ風味も合わせて、これまたANGRAらしいな・・・。もちろんサビのドラマチックさは言わずもがな。ファビオの伸びやかな歌唱が実に映えるわ映えるわ!

 

疾走チューンに限らず本作には多くの楽曲においてメロディーが豊かであり、クワイアやストリングスを絡めた壮大なアレンジとプログレッシヴメタル要素を導入しても、あまり敷居が高くなりすぎることなく聴きやすさにつながっていることが良点だと思います。

ARCH ENEMYのアリッサをゲストに迎えた本作中屈指のヘヴィさを誇るM3「Black Widow's Web」、彼らお得意のラテン音楽要素をブレンドしたM7「Caveman」などもサビになると非常にメロディアスになるのでとっつきにくさはあまり感じません。

特に後者のサビメロは感動的でかなり良く、単なる「アルバムにアクセントを加える風変わりな曲」で終わってしまうことがない。充分メインコンテンツと言える楽曲なのでは。

 

アコギが効果的に使われ、うまいこと異国情緒を演出しているM5「The Bottom Of My Soul」、落ち着いたファビオのヴォーカルが心地よいM9「Always More」というバラードの出来が良いのも〇。スロー曲が捨て曲にならないのも、彼らの卓越したメロディーセンスがあればこそですね。

 

ラストは本作のタイトルを冠した2曲が続きますが、M10「Ømni - Silence Inside」はバンドサウンドこそ壮大に仕上げてはいるものの、歌メロはそこまで印象強くはないかも。

M11「Ømni - Infinite Nothing」は非常にクラシカルで本格的なオーケストラサウンドが彩る豪華絢爛なアウトロとなっており、今聴いているCDがヘヴィメタルのアルバムであることを忘れさせてしまうほど美しい。ただ終わり方はちょっと唐突かな・・・?まあ「Carry On」に比べりゃ全然マシなんですが(笑)

 

いやしかし全体を通してホントに素晴らしい。メロディックパワーメタルプログレッシヴメタル、ラテン音楽、オーケストラといった彼らの特徴的な要素が高密度かつ違和感なく融合し、そこに情感豊かなメロディーが加わることで極上の聴きごたえを演出しています。

ロディックでテクニカル、そしてドラマチックなヘヴィメタルを好む人は聴き逃し厳禁の傑作なのではないでしょうか。

 

M6「War Horns」 MV

 

M2 「Travelers Of Time」 Official Lyric Video