ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

EDU FALASCHI 『Vera Cruz』

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  • ANGRAらしさ満載の豪華絢爛パワーメタル・アルバム
  • 疾走チューンの完成度の高さ、高揚感は絶大
  • バラードやお得意のラテン/トライバル風味もバッチリ

 

エドゥ・ファラスキといえば、ヘヴィメタルファンならご存知の通り、アンドレ・マトスという実力派ヴォーカルを失ったブラジル出身のメロディックパワーメタルバンド・ ANGRAに新ヴォーカルとして加入したことで、バンドの再生の立役者となった人物です。

 

そんな新生ANGRAが発表した『Rebirth』『Temple Of Shadows』、メロディックパワーメタルの名盤としてもちろん僕も聴いています。加入後初のアルバムとなった『Rebirth』については以前ブログで取り上げました。

 

ただ僕は彼が在籍していた頃のANGRAは生で観たことがないのですが、どうやら難易度の高いANGRAの曲をライヴで歌い続けてきたためか、相当に喉のコンディションを悪くしていたようで、ライヴでのヴォーカルパフォーマンスはもっぱら微妙な評価の嵐。結局その悪評を覆すことはできぬまま、ANGRAを脱退する形となりました。

 

その後は2016年まで同じくブラジルのパワーメタルバンドであるALMAHで活動し、バンド解散後はソロキャリアをスタート、ANGRAのかつての名曲を歌う企画ライヴなどを行っていたようです(Evoken de Valhall Productionの招聘で来日したこともあるっぽい)

 

そんな音楽活動を続けていき、ANGRAのカバー集やEPの発表を挟んで、いよいよ満を辞して(って言うほどでもないか)ソロプロジェクトとしてのフルアルバムが今年リリースされました。

 

バンドメンバーはドラムのアキレス・プリースターや、ギターのディオゴ・マフラ、ベースのラファエル・ダグラスなど、ANGRAやALMAHで活動を共にしたメンバーが中心の様子。他メンバーもANGRAとALMAHのライヴで演奏してきた人たちで構成されているらしく、結構身内感が強い編成。

 

そして音楽性に関してなんですが、これが元ANGRAという経歴に期待されるドラマチックメロパワそのものでちょっとビックリ。喉の調子がアレとのことで、さほど期待をかけていたというわけではなかったのですが、これはいい意味で期待を裏切ってくれました。

 

かつてのANGRAの名盤である『Temple Of Shadows』に匹敵する...というとちょっと言い過ぎかもですが、格式高い印象を抱かせるプログレッシヴなサウンドに、民族音楽のような神秘的な音色感、スピーディーでドラマチックなメロパワチューンの存在は、まさにANGRAの系譜に位置するもの。

 

懸念されていたエドゥのヴォーカルですが、ハイトーンはあまり多用せず(ないわけではない)、明朗に堂々と歌い上げるスタイルを徹底しているのが功を奏したのか、評判で言われているようなヴォーカル面での不足は無し。劇的パワーメタルから雄大なバラードまで、説得力ある歌い回しを披露してくれています。

 

非常にテクニカルな速弾きを随所に披露しスリリングさを高め、時にクリアで牧歌的な調べを奏でるギターが楽曲をリードし、ゴージャスなクワイアがANGRAのような神秘性を存分に演出する。曲によってはトライバルな民謡の響きも加わり、普通のメロパワとは一線を画す仕上がりです。

 

イントロから続くM2「The Ancestry」から早速本質剥き出しのキラーチューン。豪快な速弾きと共に疾走し、大きなスケールを持ったサビで頂点を迎える。ところどころで聴ける掛け声、テクニカルなギターソロがこれまたANGRA感マシマシで昂らせてくれます。

 

そんな疾走キラーから、哀愁のメロに秀でたプログレッシヴなアップテンポナンバーM3「Sea Of Uncertainties」へと続く。この辺の流れからもやはり『Temple Of Shadows』を彷彿とさせますね。

 

ANGRAファンが快哉を叫ぶ大仰な疾走ナンバーM6「Crosses」、ややポジティヴ寄りのクサメロが雄大なスケールを醸し出すM9「Mirror Of Delusion」、SOULFLYのマックス・カヴァレラによるグロウルと強靭なリフで、本作中最もアグレッシヴな印象をもたらすM11「Face Of The Storm」など、エピカルな疾走曲の高揚感は素晴らしいの一言。

 

その一方で、美しく荘厳なバラードであるM4「Skies In Your Eyes」や、ブラジル出身ならではの土着性、パーカッションが強く押し出されたM7「Land Ahoy」のような趣を異にする楽曲のインパクトも強い。

 

ANGRA時代から優れた楽曲を作ってきたらしいエドゥの才覚が、2021年になっても枯れずに花開いていることを力強く証明してくれる名作です。バックの演奏の密度に、パワーメタルの範疇に納まらない多岐に富んだアレンジの妙、そうして非常に高度に練られた楽曲が続けざまに流れる本作、本家ANGRAにも決して引けを取らない充実ぶりに驚かされました。

 

あと本作はコンセプトアルバムとなっており、ストーリーがブックレットに記載されているのですが、冒頭の部分はなんとなくドラゴンクエストⅪのプロローグを思い出しました(笑) 今ちょうどSwitch版やってんですよ。

 

 

個人的に本作は

" 元ANGRAの名に期待される要素を高レベルで実現した、ドラマチックなプログレッシヴ/メロディックパワーメタルの名盤"

という感じです。

 


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