自分の誕生月ではあるものの、もうすでに誕生日を祝われるような年ではなくなった今、祝日は一日も無いわ、梅雨入りで雨ばっかり降るわ、中途半端に気温が上がって蒸し暑いわで、個人的には一年のうちで最もクソな月である6月、ジャパニーズエクストリームメタルの実力派二組による強烈なツーマンを観てきました!
現在のメタルシーンにおいてクサメロの放出量で右に出るものはいないメロディックデスメタルバンド・GYZEのニューシングル『龍吟』のリリースツアー初日。ゲストに国産メタルのマッスルスター・HER NAME IN BLOODを迎えたツーマン!いわゆる「俺得」ってやつですねこの組み合わせは。会場が行ったことのないclubasiaであるということも含め、是非とも観に行きたいと思っていました。
しかし大学時代と異なり会社勤めをしている現在、平日18:30開演は時間的にかなり厳しく、HNIBを頭から観るのは難しいだろうと踏んでいました。まあこないだ観たばっかりだから今回はしゃあないかな....
しかし予想以上に電車の乗り換えがスムーズにでき、危惧していた人身事故も起こることなく(まだちょっと尾を引いてる)何とか開演の5分ほど前にclubasiaに到着。今日は着替えを持ってきていないのでモッシュは無しですが、後方からでも存分に味わおう!と鼻息荒く会場に近づくと......20人近くが列をなしている。あの...あと5分で始まるんですけど...
僕:あの~当日券を買いたいんですが...
係員:はい、では列の後ろに並んで会場内でご購入ください。
僕:列...この列の一番後ろですか?
係員:はい。今ゲストの方の入場を行っていますので、そのあと入場できます。
...............チッ
おいおい、一般の客より関係者が先かい。まあ遅れたのは事実だけど、こないだのクアトロではゲストの列に並ばずにすぐに当日券買わせてもらえたぞ。しかも列の進み具合がやっっっっっったら遅えし、開演に間に合わせる気あんのかよブツブツブツブツ.........
心の中でグダグダ悪態をつきつつも素直に整列。当然18:30には間に合いませんでしたが、何とか一曲目の「POWER」の序盤の段階でチケットを購入しフロアへ侵入。またライヴ前にイライラをため込んでしまいましたが、頼んだぜハーネーム、ネガティヴな感情を粉々にぶち壊してくれいっ!!
HER NAME IN BLOOD
そんなこんなでHER NAME IN BLOODなのですが、結論から言うと相変わらず最高でした。Ikepyさんによるドスの効いたシャウトと男の暑苦しさ際立つクリーンはバッチリ、MAKOTOさんのキャッチーなコーラスも破壊力充分、演奏のまとまりも完璧(特にMAKIさんのドラミングはヤベエ)、そして楽曲は文句なしのカッコよさとくれば悪いライヴになるわけがない。聴き始めて数十秒経った時点で先ほどまでのイラつきなぞすっかり吹き飛び、ステージに集中してしまいました。
ただ当然この日はGYZEを目当てにしてきた方たちが大半。ドラマチックでクサいメロディーをバンバン奏でる疾走メロデスGYZEのファンにとって、クサさはまったくと言っていいほどないタフなメタルコアであるHNIBの音楽性は親和性が高いとはちょっと言い難く、盛り上がりはそこそこといった感じ。ルックスもどことなくヴィジュアル系の雰囲気すら漂わせるイケメン集団のGYZEと異なり、MAKIさんを除けばゴツイ男らしさ100%ですからね(笑)。個人的にはそのゴツさがカッコいいんじゃないか!と思うのですが、やっぱ女性受けはしないわな。
とは言えやはり彼らのメタル魂炸裂の熱すぎるパフォーマンスはメタラーに響くのか、キラーチューン「SAVIOR」にてIkepyさんがサークルピットを促すと小規模ながらピットが発生、その盛り上がりにつられていくように会場中の士気も徐々に高揚していくのがわかりました。まあ僕は最初からアガってましたけどね!
ただその「SAVIOR」、大好きな曲なので終始歌いながら聴いていたのですが、最後のサビに入る際に数秒間無音のブレイクが挿入され、一緒に歌っていた僕はものの見事に「ジャッ......!」とフライングしてしまいました(笑)
「平日にわざわざこんなところに来るんだから、みんな頭おかしい奴らばかりでしょ?」「キン曜日の"キン"は筋肉の"筋"だ!」とMCで場を盛り上げつつ、盟友であるGYZEに感謝を述べたあと、せっかくの機会だからセッションをするという流れに。GYZEのメンバー3人が壇上に上がり、ドラムはShujiさんが担当。あまり大きくないステージに8人という大所帯が集まる光景は情報量が多くて、観るのがちょっと大変ですね。
演奏されたのはHNIBの中でもかなりスピーディーかつダークなナンバー「MASK」。"Mask! Mask! Put on your mask!!"というフレーズが、その参加人数と音源以上の突進力からすさまじく勢いを増しており、嫌でも頭を振らずにはいられない。
武骨でパワフルなんだけどサビはキャッチーなクリーンが飛び出し、一緒に歌えるわかりやすいコーラスも魅力なHNIB流メタルのスタンダード「Redemption」、もはや鉄板のキラーチューン「LAST DAY」「BAKEMONO」も披露され、ラストはメタラーなら誰もが知る名曲中の名曲「Mater Of Puppets」のカバーを披露。なぜここにきてこのカバーなのかは不明ながら、当然名曲なだけに楽しめることは間違いない。さすがに長すぎるからかフルでは演奏されず、アコギパートの直前まででしたが。
GYZE
メインアクトであるということもあり、フロアの人口密度は先ほどよりも上昇。およそメタルっぽさが感じられないオシャレな女性客などもチラホラ見受けられ、やっぱりバンドのルックスって重要なファクターなんだなぁ~としみじみ思いました(いやもちろん音楽そのものを愛している方たちではあると思いますが)。
一曲目はシングル『龍吟』収録の新曲「JAPANESE ELEGY」。初めて聴く曲でありながらそのメロディーの唸りっぷり、"Elegy"という名に相応しい強烈な哀メロの胸締め付け度はハンパではなく、一発で気に入りました。まさにGYZE節全開のリードギターが最高だ...!
ただフロアの反応はというと、メロイックサインを掲げたりヘドバンしたりといった方はチラホラいるものの全体的に静かであり、さっきのHNIBよりも薄め。これは新曲であるということと、メロディーに酔いしれたい方、ギターソロのテクを見たい方が多いことが原因かな。
非常にさわやかな笑顔を浮かべながら高速な連打をたたき出すShujiさんのドラム、首を右90度に曲げ、まるで餓えたゾンビのような表情を浮かべながらアンサンブルを支えるArutaさんのベース、アレキシに影響を受けたと思しきスタイルで流麗なソロを弾きまくる(僕は下手側後方にいたので、後頭部とロン毛で手元が全然見えないときも多々ありましたが...笑)Ryojiさんと、バンドのパフォーマンスは至極安定してて、これは海外公演に積極的に挑戦し続けている賜物でしょう。しかしリードギターが最大の武器である音楽性ながらギターが一本しかいないので、どうしてもバッキングのリフが無くなり音の厚みが物足りなくなるのが唯一のネックでしょうか...
MCではRyojiさんが「普段あまり酒は飲まないけど、ハーネームがいるなら解禁します。」と盟友に対する仲の良さを匂わせる発言で場を和ませた後、シングル『龍吟』について語りだす。
彼らの地元である北海道が150周年を迎えるにあたって、その事業に提供された「龍吟」ですが、単純にそのためだけに作られた楽曲というわけではないらしく、GYZEというバンドの過去とこれからの未来への決意も含まれた楽曲であることを説明してくれました。
2015年ごろから積極的に海外へ活動の幅を広げてきて、「聴けば一発で日本人のバンドであることがわかる」ということを意識したのだとか。そしてその言葉に違わず、GYZEらしい哀愁を振りまきつつも非常に日本的なフィーリング(それも歌謡曲ではなくもっと古典的な)を終始醸し出しており、日本人としては心を揺さぶられること請け合い。メロディアスかつスピーディーなギターソロも最高すぎる!
その後もGYZE節炸裂の疾走クサメロデス「BLACK BRIDE」、ライヴの定番でありウォールオブデス、サークルピットが最も発生しやすい「FINAL REVENGE」、などの過去曲を挟んで本編は終了。アンコールの手拍子が鳴り響く中、HNIBの登場SEである、ロッキーのテーマでもおなじみの「Eye Of The Tiger」が流れ出しGYZEメンバーが登場。これには関係者口で観ていたMAKOTOさんとTJさんも嬉しそう。ShujiさんはIkepyさんのようにポージングを決めていましたが、いかんせんあの細身体型では迫力がない(笑)
そしてIkepyさんがステージに現れ、先ほど「MASK」でコラボしたようにGYZEの楽曲をIkepyさんが歌う流れに。曲は「THE BLOODTHIRSTY PRINCE」。シアトリカルでせわしない曲だけに歌いこなすのはなかなか難しそうだと思いましたが、ゴリ押し歌唱だけでなく何気に丁寧な歌いまわしもできるIkepyさんだけに、全く問題なく最後まで堂々と歌いきっていました。
オーラスはもちろんバンドのアンセム「DESIRE」。やはり最後の最後でこの曲を聴くとGYZEを実感できますね。バンドのテーマともいうべき曲を持っているのはやはり強い。
MCが長かったためか、ちょっとGYZEの演奏時間が短いような気がしたものの、タフな激熱メタルコア、美しき哀愁メロデスを存分に味わうことのできた貴重な時間になりました。開演前のムカつきを見事に晴らしてくれた2バンドへ感謝の気持ちを込めて、GYZEの『龍吟』とHER NAME IN BLOODのタオルを購入して帰ろうかと思ったものの.....
何とHNIBのタオルを購入した時点で財布の中身は1400円。1500円のGYZEのシングルが買えん!!
ぐわ~~~やらかした。来る途中Suikaのチャージに1000円札を消費してしまったがために......。会場にはATMがなく、再入場も不可のためCDのほうは見送りました...(泣)「タワーレコードで買えばポイントが溜まるから良い!今ならお誕生日クーポンで15倍つくんだ!」とポジティブにとらえるとします...
GYZEが参加したHER NAME IN BLOODの「MASK」の映像
MAKOTOさんのノーエフTシャツがイカす。ライヴ後は真っ赤なアロハシャツになってたけど(笑)