ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

GYZE 『龍吟』

GYZE 『龍吟』

今の日本のメタルシーンにおいて最もクサいと言えるメロディーを武器に、世界を相手に躍進を続ける北海道出身のメロディックデスメタルバンド・GYZEの最新シングル。

 

本作の表題曲であるM2「龍吟」は、北海道150年事業の公式テーマソングとして書き下ろされた曲。民間企業や関係者団体によって進められる「北海道みらい事業」という個別事業の一環として製作されたのだそうです。

 

いくら美しいメロディーを書き、そして郷土愛も持ち合わせた人たちとはいえ、仮にも"デスメタル"に分類されるバンドの曲をテーマソングとして認めるとは、この事業の実行委員会の皆さんは懐が深いですね。こういう事業に携わっている人達はてっきり「"地獄へ送ってやる"だのと叫ぶヘビメタをテーマにするなど何事じゃ!!」とかほざくオヤジばっかりだと思っていましたが(笑)、しっかり柔軟に対応してくれる方々もいたのだなあ。

 

このシングルは国内盤と海外盤の2種類があり、ジャケットと収録曲が異なっています。僕が持っているのは↑の写真にもあるとおり海外盤で、表題曲とそのインストバージョンのほか、"戦争を繰り返す人間の黒歴史に終止符を打ち、未来に光を取り戻す"というテーマを持たせた「JAPANESE ELEGY」、新曲でありながらもライヴ音源での収録となった「竜神」の2曲が収録されています。

 

国内盤は「竜神」の代わりにDragonForceのヴォーカルのマークが日本語で歌っているという「龍吟」が収録されているということで、そちらも非常に興味深いのですが、さすがに4曲中3曲が同名の曲というのはいかがなものか、という考えのもと海外盤を購入しました。

 

こないだのライヴで「JAPANESE ELEGY」と「龍吟」を聴き、どちらも素晴らしいメロディーを持つことがすぐにわかったので、本作の出来も良いだろうと思っていましたが、結論から言えばまさにその通り。どこをどう聴いてもGYZEらしい泣き泣きクサクサメロの大洪水で辛抱たまらん!!どの曲も強烈なメロディーを紡ぎ続けるリードギターがフィーチャーされ、なおかつギターソロもバリバリの速弾きで超スリリング。

 

また全曲に「和」のフィーリングが漂っているのもね、日本人の琴線にバシバシ触れてくるんです。こういう儚い美しさに惹かれる感性はジャパニーズのDNAに刻まれているのかしら。「海外のライヴで披露すれば、一発で日本人の作った曲だということがわかるようにしたい」というRyojiさんの目論見は見事に当たったのではないかと。

 

竜神」も他2曲に負けず劣らずのクサメロとカッコいいギターソロを持ち、せわしなく動き回るリードフレーズが非常にドラマチック。わかりやすいシンガロングパートもインパクトがあって良いのですが、やはり3ピースの限界か、ライヴ音源だとどうしても音の薄さが気になっちゃいますね。リードギターが一番の武器のバンドにおいて、その見せ場でリフが無くなり迫力が減退するのは何だか非常にもったいない。

 

3曲とも(インストを入れれば4曲)いちいちツボにはまる悶絶フレーズの宝庫ともいえる印象的な名曲ぞろいで、短いですが充分楽しめました。気の早い話ですが、次のフルアルバムも楽しみに待っています。

 

あとどうでもいいことですが、北海道150年事業のGYZEのページ、「ドラゴンフォースのボーカリスト、マークがゲスト参加!」と書いても、見ている人には何のこっちゃわかんないでしょ(笑)

 

M1「JAPANESE ELEGY」 Lyric Video

まさに"ELEGY" = "哀歌"の名に偽りなし。メロディーの洪水に溺れる...

 

M2「龍吟」 MV

MVはバンドのこれまでの軌跡とこれからの決意・意思をマンガ・イラスト形式で表現したものになっています。こういう"バンドの歩んできた道のりを振り返り、今後も進み続ける"的なテーマ自体は良いと思うのですが、もうちょっと大きな成功を収めるか、もしくはもっとキャリアを長く積んでからでも遅くないのではという気もするかも。