ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

KING COMPANY 『Queen Of Hearts』

KING COMPANY 『Queen Of Hearts』

フィンランド出身のメロディアスハード/ヘヴィメタルバンドの2ndアルバム。2014年結成とのことですが、すでに結構なキャリアを積んでいるメンバーが集っているそうです。

 

1stアルバムの段階ではTHUNDERSTONEのヴォーカルであるパシ・ランタネンがフロントを務めていたようですが、喉の不調が長引き回復のめどが立たないということで脱退。不調が見つかったのは不幸にもツアー直前だったらしく、残されたメンバーはYouTubeで見つけたアルゼンチン人シンガーのレオナルド・F・ギランに急遽ヴォーカル代行を依頼し見事にツアーを完遂、そのままレオナルドが正規のヴォーカリストになった...というネットで世界が繋がるこのご時世ならではの危機回避をやってのけたバンドです。

 

1stは未聴なのですが、ライナーノーツによるとクリアな声質の持ち主であるレオナルドの加入により、DEEP PURPLEWHITESNAKE辺りのハードロック路線から舵を切り、よりメロディックメタル然としたスタイルになっているとのこと。個人的にはその手のハードロックより、近代的なメロディックメタルの方がツボにはまるので、この変化はありがたい限りです。

 

Twitterのタイムライン上で盛んに宣伝されていたこともあり、興味を引かれてタワーレコードで試聴。M1「Queen Of Hearts」のアグレッシヴなリフとキャッチーなキーボードが絡むイントロから一気に引き込まれ、文句なしにカッコいいサビが耳に入った瞬間に購入を決意しました。

 

そこには北欧らしい哀愁を多分に含んだメロディー、決してひ弱な印象を与えず、印象的なヴォーカルにも負けずに響く演奏がありました。こいつはイイ!

 

基本的には北欧メロディアスハードと言える音楽性ですが、バックの演奏(特にギター)がなかなかに骨太でパワー溢れる演奏を披露してくれるのが個人的にはかなりの好ポイントです。充分に歌がフィーチャーされていながらも、単純にメロハーとは呼びきれないメタリックサウンドは、メロハーとヘヴィメタルの中間みたいな印象を受けました。

 

前述の名曲M1やM4「Living In A Hurricane」といったアップテンポナンバーは、実にハードでドライブ感あふれるサウンドに非常にキャッチーな歌メロが乗る楽曲で、思わず体が動き出してしまう。メロディックHR/HMが好きな人なら恐らく誰もがそのカッコよさに聴き惚れてしまうでしょう。爽快感こそその2曲に劣るものの、アダルトな渋みを漂わせるM5「Under The Spell」も良い。

 

そして歌メロとヴォーカルが優れているバンドなだけに、バラードの出来が素晴らしいんですよ。バックのキーボード、中盤から後半にかけて披露されるギターソロが非常に切なくドラマチックな旋律を紡ぐM3「Stars」もいいんですが、個人的には本作中最も美しいサウンド・メロディーを聴かせるM6「Never Say Goodbye」を推したいッ!!

 

このポジティヴさに溢れながらも絶妙に哀愁を醸し出すメロディー、シンフォニックとさえ形容できそうなバックの演奏は完全にツボ。国内盤ボーナストラックのアコースティックバージョンも実にハマってて最高!こいつは"2018年 心に染み入るバラード大賞"(なんだそれ)の大賞を取ってしまうかもしれないぞ(ちなみに去年の大賞はSTONE SOURの「St. Marie」です)

 

前半の充実に対し、後半はちょっぴりパワーダウンというか、各楽曲の印象が弱くなってしまう感じを受けてしまったものの、捨て曲は無くアルバム全体の質は非常に高い。メロディックメタルファンは聴き逃しちゃならん音ですよコレは。

 

M4 「Living In A Hurricane」 MV