- 良質なメロハーのフォーマットは一切崩れない
- ロックチューンからバラードまで一定の水準はクリア
- もうちょっと北欧出身のエゴを出しくれても良かったよ...
WORK OF ART、ECLIPSE、TALISMANのメンバーが集って結成された、北欧メロディアスハードプロジェクトの、前作『Earthrage』から3年ぶりとなるニューアルバム。
前作は派手さこそないけれど、北欧出身である強みを活かした哀愁のメロディーがたっぷりつまった、良質なメロディアスハードのお手本とも言うべき作品でした。
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本作もまた前作の適度にハードさを持った演奏に、ジェフ・スコット・ソートの巧みなヴォーカルワークが冴えわたる、見事なハードロックをプレイ。音の路線自体は変わらず、そのこと自体は良いんですが、正直に言うと前作ほど満足度は高くなかったかも...というところでしょうか。
それは単純に、北欧由来の豊かなメロディーの哀愁がやや控えめに感じられるから。アメリカンロックのようにカラッとしているとまではもちろんいきませんが、どうも心に染み入るような叙情性がイマイチ。もうちょっと北欧情緒の憂いがあったと思うんだけどな~...
もちろんアッパーなハードロックチューンから、スローなヴォーカル主体のバラードまで、必要充分なメロディアスさは確保されているので、決して退屈さを感じる瞬間はありません。M3「The Call Of The Wild」や、M5「Beautiful Game」あたりは単純にカッコいいロック、そしてメロディーが良いと来てるし、M7「Coming Home」のサビの歌メロや、M8「What Are You Wating For」の切なく静かに響くバンドサウンドの妙はなかなか味わい深い。
ただ近代エクストリームメタルのような派手な演奏や、ヘヴィさやチョッパヤな曲展開などもない、良くも悪くも普通のハードロックの音作りを志向している分、メロディー以外の要素で期待できるものは限られてしまう。そのため肝心要のメロディーの平均点が下がってしまうと、どうしても物足りなさが生まれてしまうんですよね...。
ところどころで速弾きをアクセントとして取り込んでいるギタープレイはより印象強くなっており、そこはプラスになりますね。
そんな感じで「良いんだけどあと一歩...!」という感想を抱いてしまう本作ですが、M4「Got To Be About Love」は、極上にポップかつ哀愁まみれのサビに胸を貫かれるキラーチューンで素晴らしい出来!聴いた瞬間「これこれぇ~~~!!!(´∀`)」となってしまったわい。
個人的に本作は
"安心安定のメロディアスハードのお手本。哀愁の効いたメロディーの魅力はやや落ちたか...?"
という感じです。
W.E.T. - "Big Boys Don't Cry" - Official Music Video