ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

浜田麻里 『Gracia』

浜田麻里 『Gracia』

女性シンガーのソロアルバムと侮るなかれ!

こいつはメロディアスなHR/HMが好きな人であれば、聴き逃しちゃならんヤツですぜ。

 

デビュー35周年を迎え、かつて所属していたビクターに移籍して放つ浜田麻里さんのニューアルバム。

 

本作は凄腕ミュージシャンによる超絶技巧に裏付けされたプログレッシヴな展開、圧倒的としか言いようがない超ハイトーンシャウトによって描かれるスケール感、ドラマチックで胸を焦がすメロディーが一体となった爽快極まりない名盤となりました。

 

浜田麻里さんはソロシンガーなので、当然ながら楽器は演奏しないためゲストミュージシャンがバックを彩るのですが、まずその顔ぶれがトンデモネーコトになっています。

 

以前のアルバムにも参加していた高崎晃さんやビリー・シーンといったメンツはもちろん、マイケル・ロメオ、クリス・インペリテリ、ポール・ギルバート、クリス・ブロデリック、マルコ・ミネマンなど、SONS OF APOLLOやTHE WINERY DOGSのような、いわゆる技巧派スーパーグループがまた新しく作れちゃうんじゃないの?と思わずにはいられないラインナップ。よくこんなにも集めましたね...。

 

そんなプロフェッショナル集団による演奏がついてるのだから、もちろんサウンドのクオリティーは非の打ちどころのない特A級のシロモノ。流麗かつメロディアスなソロをかき鳴らすギターや、儚い哀愁をここぞというところで放つキーボードが特に良いですね。劇的なスピードメタルナンバーであるM1「Black Rain」のギターソロなんかもう死ぬほどカッコいいんですけど!!

 

しかしいくら演奏のクオリティーが高くとも、肝心の曲が面白くなければ宝の持ち腐れというものです。「超絶技巧と豪華絢爛な装飾をまとわせたメロディーのつまらん曲」と「シンプル極まりない演奏なれど胸を打つ激情のメロディーを持つ曲」であれば後者がいい。僕はそう思っています。

 

そして本作は抜群に曲が良い。先述のM1は浜田麻里さんの本領がいかんなく発揮されたサビが、その疾走感と合わせて極上の高揚感を味わわせる。

ひゃっほう!初っ端からメロスピだ!メロスピだ!!

 

モロにプログレッシヴメタルとなっていながら、ヴォーカルメロディーにもキッチリとドラマチックな起伏をもたらしたM2「Disruptor」、M1よりさらにシリアスな哀愁を増した旋律と、マイケル・ロメオによるバカテクながらもメロディアスさを忘れないギターソロが美味しいM3「Orience」という3連チャンでアルバムの世界に引き込まれるのは必然。

 

そしてハイトーン!50歳半ばを超えた女性のモノとはとても信じられないほどギンッギンに響き渡るシャウトは言葉になりません。これはもう「聴け!そして圧倒されろ!」としか言えませんね。特にM12「Mangata」のアウトロにおける泣きのギターソロと合わさるシャウトは「これライヴで再現できんの!?」と心配してしまうほどの驚異的な名演になっています(ただコレに関してはちょっとクドイと感じる人もいるかも)

 

M5「No More Heroes」からはスピードやアグレッシヴさを控えて、歌を重視したやや穏やか目なメロディアスハードナンバーが続きます。普通こういう曲が連続してしまうとちょっとダレやすくなってしまうものですが、本作はどの曲においても程よく哀愁の効いた歌メロが冴えわたり、退屈に感じる瞬間はまったくありません。

 

特にM8「Right On」はポップながらも決して安くならないメロディーを持ち、まるで視界がブワァーッと開けたかのような解放感を与えるサビが素晴らしい一曲で、M1と並んで本作のベストチューンと呼びたくなる出来栄え。疾走感に頼らずにここまでスカッとさせられる曲はあまりないのでは?

 

疾走メタルから哀愁メロハー、切々としたバラードまで、どこを切っても隙のない完成度を誇る名盤。メロディーが優れていて、バックを支える演奏陣は凄腕揃い、そんな楽曲を歌うヴォーカルは超実力派とくれば、つまらない出来になる訳がありません。ドラマチックなメロディックメタルを愛する人は必ずチェックすべし!な一枚。

 

あと音楽とは全く関係ないことで一つ気になったのですが、浜田麻里さんはもちろん、陰陽座の黒猫さん、BABYMETALのSU-METAL、Fuki CommuneFukiさんと、"日本のハイトーン型のHR/HM系女性ヴォーカリストは美人の法則"でもあるんですかね...?

 

M1「Black Rain」 MV

たかだか1分半の映像じゃこの曲の魅力のすべては伝わらないので(カッコいい曲だということはわかるだろうけど)ぜひぜひCDで圧倒されてください。