アルバムを出しゃ全米チャートNo.1は当たり前、アメリカのメタルシーンにおいて押しも押されもせぬポジションを築いたDISTURBEDの最新作。
しかしここ日本ではどうも彼らの実力に反して正当な評価を受けられていない感が強く、とうとう本作に至っては国内盤リリースがありませんでした...。彼らのサウンドは普通にメロディアスで聴きやすいというのに、なぜ日本じゃこうも扱いが悪いのか...。やはりCDが売れない昨今、さらに売り上げの見込みが低いであろう洋楽アーティストの作品のリリースにはレーベルも及び腰になってしまうのか。
もちろん国内盤リリースされないからといって、本作の内容が悪いかというとそんなことは無い。本国では確固たる地位を築いたバンドだけに、彼らならではの個性を充分発揮しつつ全体的にクオリティーの高い仕上がりに。
まず初っ端のM1「Are You Ready」からして、リズミカルな曲の流れにほどよくメロディアスな歌メロ、デイヴィッド・ドレイマンの聴けば一発で彼だとわかる個性的な声質と歌いまわし、流麗なギターソロといった要素がブチ込まれたDISTURBEDらしさ満点のキラーチューン。
ドレイマンの"No more, no more!"という歌いまわしが何とも印象に残る、これまたキャッチーかつリズミカル、アグレッシヴなM2「No More」に、切なさ全開のアコギからエモーショナル極まりない歌唱が聴けるバラードのM3「A Reason To Fight」という流れが強烈(バラードはもうちょっと後の方でも良かったかもしれないけど)
そしてそのM3よりもさらに歌の哀愁が増強、普段のねっちっこい歌声からは想像もつかないほど爽やかな歌唱を聴かせるドレイマンのヴォーカルが心地よく響くM6「Holding On To Memories」なんかは非常に美しい!"2018年 心に染み入るバラード大賞"の大賞はKING COMPANYの「Never Say Goodbye」と以前書きましたが、この曲も一切負けてないな!
STONE SOURの「St. Marie」もそうですが、アメリカのニューメタル/オルタナティヴメタルバンドはバラード書くのが上手いんですねぇ。この曲に限らずアコギを上手く駆使した穏やかな楽曲はどれも完成度が高く、意外にもというと失礼ですが、歌心のあるドレイマンの歌唱がバッチリ活きてます。
ただちょっと全体的に落ち着きすぎちゃってるような...。中盤から後半にかけてアコギの目立った楽曲が2曲ごとに出てくるような構成になってしまっており、もう少しアグレッシヴな要素を強めて欲しかった。FIVE FINGER DEATH PUNCHの最新作の感想でも似たこと書いたなあ。まあ曲が良いので許せるのですけど。
DISTURBED節とも呼べる音作りは従来通りバッチリで、時折流麗なギターソロまで飛び出す演奏、特徴的かつ安定感あるヴォーカル、甘くなりすぎないメロディアスさを兼ね備えた、国内盤が出ていないのが実に解せない力作。ここ最近のアメリカンメタルの良作ラッシュに続く確かなクオリティーを提示してくれました。もうちょっと日本で人気出ないものですかね...。
M1「Are You Ready」 MV
M3「A Reason To Fight」 MV