日本でも安定して高い人気を誇る、メタルコアという枠を飛び越えた存在となったTRIVIUMの9枚目のフルアルバム。前作『The Sin And The Sentence』がかなり良い感じだったので、本作の期待も高くなっていました。
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ヴォーカル・ギターのキイチは本作について「『The Sin And The Sentence』を土台にして作りたかった」と発言しているらしく、聴いてみれば確かに前作の流れをしっかりと汲んだ作風になっているように感じます。
元々メタルコアバンドとしてデビューしながら、限りなく正統派メタルに近いアプローチも仕掛けていた彼ららしく、過剰なエクストリーム要素はなく、充分にメロディアスなヘヴィメタルとして聴ける。それでいてモッシュ上等のアグレッシヴなパートや、キイチの気合の入ったスクリームの頻度も高い。
獰猛な疾走感とヘヴィさで圧倒しながら、しっかりと哀愁を効かせたメロディアスな要素も持ったM2「What The Dead Men Say」、M3「Catastrophist」で本作の方向性を見せつけ、さらにアグレッシヴさを増強した強靭な疾走曲M4「Amongst The Shadows & The Stones」でテンションはMAX!
その後にメランコリックなサビとツインギターの絡みをジックリ聴かせるミドル曲M5「Breed Into Me」へとつながる構成も良いですね。聴き浸れます......と思ってたら、間髪入れずに超カッコいいイントロのリフに、キイチのシャウトがバシバシ飛び出すM6「The Defiant」が出てくるのもまた良い!!
さらにこのM6、単に攻撃的なだけでなく、サビが非常にエモーショナルなメロディーに満ち溢れている激情の一曲となっており、これはかなりのキラーチューンですね!
メタルコアのアグレッションをヘヴィリフやスクリームという要素でギリギリまで担保しつつ、ツインリードの見事さや、エモーショナルな歌メロで正統派メタルとしての矜持を見せた、実に見事なバランスでまとまっている印象。徹頭徹尾凶悪じゃなきゃヤダ!というエクストリーム野郎はともかくとして(笑)、メタルコアバンドとしての彼らが好きな人も、ヘヴィメタルバンドとしての彼らが好きな人も、双方が満足できるのでは。
そんなアルバムの印象を総括するようなM10「The Ones We Leave Behind」というキラーチューンが本編のラストに鎮座しているのが、クライマックスを堂々と飾る意味でしっかり機能していますね。本作中メロディー重視の二曲であるM5とM8「Scattering The Ashes」がアコースティックバージョンで最後に収められているのも良い。ボートラにいたるまで隙無し。M8なんてアコギの方がメロディーの良さが浮き彫りになっている気がする。
こりゃあ前作にも増して、かなり満足度が高いアルバムになりました。
個人的に本作は
"TRIVIUMというバンドに期待される、硬派で強靭、メランコリックでありながらタフ、という要素が高いレベルでバランスよくまとまった名盤"
という感じです。
Trivium - What The Dead Men Say [OFFICIAL VIDEO]