ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

IMPELLITTERI 『The Nature Of The Beast』

IMPELLITTERI 『The Nature Of The Beast』

ドーピングしたMAN WITH A MISSIONみたいなジャケが何ともまぶしい、世界最速ギタリストのクリス・インペリテリ率いる正統派メタルバンドによる最新作。

 

前作『Venom』と基本線は大体一緒で、インペリテリの本領ともいえるピロピロ高速ソロと、複雑で丁寧に、かつカッコよく刻まれるリフ、そしてロブ・ロックの充分パワフルでありながら、暑苦しくなりすぎない良い塩梅のヴォーカルが全編に渡って炸裂する痛快作。

 

M1「Hypocrisy」から早速ヘヴィメタリックなリフと高速のピロピロがかまされ、最後までその楽曲のスタイルが崩れることはありません。勢いがあってヴォーカルラインは甘くならない程度にメロディアス、だけどメロディーよりも音圧高めの演奏がより主張する、ヘヴィメタル愛する人なら誰もが魅力を見出せそうな音です。

 

前作を聴いたときも思いましたがこのクリス・インペリテリという人、速弾きギターソロよりもリフ作りの巧みさの方が遥かに魅力的だと思うんですよね。ここまで硬質でテクニカルに磨かれながら、小難しさを与えずにストレートにカッコよさを演出できるリフってなかなかないと思います。それがアルバム全曲において休まることなく続くわけですから、この人のリフの組み立て方、センスは尋常ではない。

 

それに対して彼の十八番である高速ソロは確かにスゴイものの、アルバムの至る所でピロピロピロピロ唸りまくっており正直ちょっとうっとうしい(笑) 音に隙間が空いたらとりあえずピロピロ差し込んどけ!ってなムリクリな感じを受けてしまいますな...。

 

とはいえカッコいいことはカッコいいんですけどね。M3「Run For Your Life」はメロディアスに唸る要素も取り入れたド迫力のソロを披露しており、叩きつけられるような強靭なリフと合わせて非常にカッコいいサウンド

 

M5「Gates Of Hell」は本作中特に疾走感を持った勢い満点の楽曲で頭を振らずにはいられない。やや似通った楽曲ばかりで構成された本作において、ひと際アグレッシヴな印象を与える必殺の一曲!この曲のギターソロもメロディアスで良い。

 

ロブ・ロックの魂のこもった熱唱型ヴォーカルも文句のつけようがなく、ギターの存在感がこれだけ大きいにもかかわらず、単なる添え物には陥らず楽曲をしかと先導する。

 

前にもちょっと書いた通り、本作は全12曲ほぼ同じ方向性の楽曲で統一されて、テンポの速い遅いはあれど基本的にどれも同一のテンションを放っているだけに、アルバム通して聴くとちょっと飽きが来るというか、後半あたりからダレを感じるのが正直なところです。

 

せめて箸休め的にインストやバラードを挟んだりしてアルバムに起伏が生まれれば印象も違っていたかもしれませんが、まあこのテンションを維持したまま高度なリフでガシガシ進み、ピロピロ唸りまくるのがこのバンドのスタイルであると見なしているのかも。良く言えば焦点が絞れているということでしょう。

 

クサいほどにメロディックじゃなきゃヤダ!というクサメタラーや、ブレイクダウンやデスヴォイスが入ってなきゃヤダ!というエクストリームメタラーなどは除くとしても、純粋にヘヴィメタルが好きという人であればきっと充分以上カッコいいと思える作品です。

 

M3「Run For Your Life」 MV