ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

FOLLOW THE CIPHER 『Follow The Cipher』

FOLLOW THE CIPHER 『Follow The Cipher』

先日のDARK NIGHT CARNIVALで素晴らしいステージを披露したスウェーデンの国民的ヘヴィメタルバンド・Sabatonに正式メンバーではないけれど曲作りに参加したことがあるというちょっと変わった経歴を持つギタリストのケン・シェングストロムが、自らのバンドを持ちたいという欲求を実現させたバンド。

 

ライナーノーツによると当初はケンのソロプロジェクトの体を予定していたものが、参加メンバーが実力者揃いだったためバンド形態として活動しても良いのではという気持ちが芽生えたのだとか。

 

女性ヴォーカルのリンダ・トニ・グラーンをフロントに据え、「核戦争により終末を迎えたあとの世界」をコンセプトにしたコスチュームに身を包んだ彼らのサウンドは、デジタルサウンドが大胆に使用されるモダンでキャッチーヘヴィメタル。メンバーのルックス、ジャケットやバンドコンセプト、音作り、そしてバンドロゴに至るまで、徹底して近未来的なSF感・サイバー感(by斉木楠雄のΨ難)を演出しています。

 

高い歌唱力と強烈なハイトーンシャウトを武器とする女性ヴォーカルとモダンでキャッチーな音を携えている点から、SabatonというよりはBATTLE BEASTに近いサウンドを鳴らしている印象を受けました。BATTLE BEASTもかなりSFチックな曲やってましたよね。

 

ただヴォーカルのリンダは声質や音域こそBATTLE BEASTのノーラに近いものの、さすがにノーラほどメタリックな印象を与えるシャウトはできない様子。CDで聴く分には単純な歌唱力なら引けを取っていないと思いますが。

 

またどれだけモダンな音作りにしようと、楽曲の大枠はJudas PriestやACCEPT直系の正統派メタルであるBATTLE BEASTに対し、彼らはリフや曲そのものの雰囲気においてもモダンヘヴィな要素が強く、曲によってはヘヴィでスローなパートにデスヴォイスが乗る、メタルコアかと思うような箇所も存在(どことなくAMARANTHEっぽい感じ)。良くも悪くも今風な要素が強く、この辺は賛否別れそうなところでしょうか。個人的にはモダンな音も好きなので全然気になりませんが。

 

名刺代わりの曲となり得るM1「Enter The Cipher」は"Run away, run away"言いまくるサビが非常にキャッチーで印象に残りやすく、オープニングを勢いよく飾る意味でも、1stアルバムというバンドの出発点を演出する意味でもアルバムの頭に相応しい一曲。

 

続くM2「Valkyria」も近未来的なキーボードが目立ちつつ、ヘヴィかつキャッチーに進む楽曲で、中盤以降に挿入される大仰なコーラスが面白い。哀愁の効いたサビのコーラスとリンダの高音が冴えわたるM5「Titan's Call」も良いですね。

 

その後はスロー~ミドルテンポの楽曲を主軸にしたSFモダンメタルが展開されますが、前半で聴けたようなポップかつキャッチーな歌メロはやや控えめな印象で、前半で高まった気持ちを持続させる、あるいはさらに盛り立ててくれる楽曲は無かったかな。スローなパートなどではちょいと退屈してしまった感も。M1のような楽曲がもう一曲入ってればさらに印象が良くなってたと思います。

 

M9「I Revive」のメロディーなんかはかなり良いセンいってると思うのですが、あともう一歩グッとくる瞬間が欲しいなと贅沢ながら思ってしまいました。ヨアキム・ブローデン、パトリック・ヨハンソン、ジョニー・リンドクヴィストなどのヴォーカリストをゲストに招いたM10「Starlight」も、メンツは豪華だからサビをもっと豪勢に盛り上げてほしいかも。ただメロディアスなギターソロはカッコいい。

 

ちなみにラストはSabatonの「Carolus Rex」のカバーで、作曲に携わった人間が率いているバンドがやってるからか、彼らのオリジナルと言っても違和感がないほどサマになってます。まあ個人的には男臭さマシマシの本家の方が好きですけどね。

 

M2「Valkyria」 MV

 

M11「Carolus Rex」 MV