国内最高峰のヘヴィメタルバンドであるGALNERYUSのギターヒーロー・SYUさんのソロ名義の三作目のアルバム。一作目はカバー、二作目はインストときて、本作はヴォーカル入りのオリジナルとなっています。
そしてそのヴォーカルを務めるメンツが、Fuki Commune、Unlucky MorpheusのFukiさん、摩天楼オペラの苑さん、NoGoDの団長、TEARS OF TRAGEDYのHARUKAさん、THOUSAND EYESのDOUGENさん、LIV MOONのAKANE LIVさん、そしてGALNERYUSの小野さんも参加とかなり豪勢。下手にジャパメタの大御所やベテランを起用せず(小野さん個人は充分ベテランですが)、今のメタルシーンをひた走るメンツのみで構成されているのも個人的には印象が良いです。
とはいえいくらメンバーがすごくとも、楽曲のクオリティーが伴わなかったら意味がない。あくまで重要なのは楽曲であると思い聴いてみましたが、やはり中身も充分良質でした。
全体的に哀愁を感じさせるも非常にキャッチーな歌メロが冴えわたり、それに負けじと演奏もギターを中心に自己主張するメロディックメタルが堪能できます。ただGALNERYUSほどメロディックパワーメタルのスタイル一辺倒ではなく、ややモダンな感触やJ-POP/J-ROCKの印象が強い曲を持たせており、メロパワという軸からはブレないながらも結構横幅の広い作風です(何となく『VETELGYUS』の雰囲気に近いかも)
特に団長の雄々しい歌唱が映えるM5「Euphoria」とAKANE LIVさんの美しいサビとDOUGENさんの凶悪な叫びが交錯するM6「Chaotic Reality」、そしてSYUさん自身がヴォーカルをとるM7「CACOTOPIA」という三連チャンは特にチャレンジングな楽曲と言えます。
どの楽曲も典型的なメロパワとは異なる楽曲で、M5はNoGoDらしさを感じさせるモダンなラウドロック、M6はヘヴィリフとプログレッシヴな要素が折衷し、M7はモロにヴィジュアル系ロック。
SYUさんは元々ヴィジュアル系バンドにいたし、SPINALCODEでのヴォーカルもかなりそれっぽいものでしたが、まさかここまで徹底したものになるとは。昔に比べるとヴォーカルも上手くなったような感じですが、やはりSYUさんはギターだな(笑)
そしてGALNERYUSファンとして聴き逃せないのが小野さんの歌うバラードのM9「哀傷」。"GALNERYUSのヴォーカルのSHO"ではなく、"歌手の小野正利"として歌っているそうですが、やはりこの手の日本語バラードにおける彼の表現力は絶品。Aメロから切なさ全開でこみ上げるものがありますね...。
しかしやっぱり本作中最も気に入っているのは冒頭の疾走ナンバーM2「REASON」、M3「ここで区切れと天使は歌う」の二曲になってしまうんですけどね。Fukiさん苑さんのハイトーンのキレはやはり凄まじい。
楽曲のバラエティー、クオリティー共に高水準ではありますが全体的に歌重視の作風であり、SYUさんのバチバチのギターソロはやや控えめ。今回はゲストヴォーカルが豪華なので、彼らをフィーチャーしようという意図があったのかもしれません。まあそれでも演奏の密度は充分濃いのですが、よりテクニカルなギターは今後のGALNERYUSに期待しましょう(ただM10「未完成の翼」のソロは素晴らしい)
2月1日にEX THEATER ROPPONGIにて、本作参加のヴォーカルも多数登場したGALNERYUSのライヴがあり、もちろん僕もすこぶる興味があったのですが、月初平日の18時開始のライヴなんざ当然行けるわけもなく...。本作の楽曲を生で聴くのは摩天楼オペラやUnlucky Morpheusらとの対バンがあったときまでお預けかな~...。
M2「REASON」 MV
曲は最高にカッコいいですが、SYUさんの昔のGALNERYUSみたいな恰好はどうなんだろう(笑)
本作のトレーラー