日本のマンガ・アニメが海外でも高い人気を得ているという事実は今さら言うまでもないことだと思います。そんな日本のアニメにハマるミュージシャンも多いらしく、アニソンをカバーするメタルバンドもいると聞きます。やっぱメタラーとアニメオタクってどこか通じるところがあるのか。
そして今作を発表したフランスのRISE OF THE NORTHSTARは、そんな日本のマンガやアニメ文化に影響されたバンドの中でも、極北と言える存在でしょう。
前作『Welcame』の時点で既にマニアの間で話題を呼んだ、日本をリスペクトして止まないFURYO STYLEを貫く愛すべきニューメタル/ハードコアバンドです。
80~90年代ジャンプあたりのマンガから大いに影響を受けた、学ランを基調とした怪しすぎるいで立ち、各曲に付けられたちょっとネタ臭のする邦題、曲間に設けられた日本語によるコーラス......とにかく日本のサブカルチャーが大好きなんだ!という気持ちが嫌というほど伝わってきます。基本的に上品なイメージが先行しやすいフランスというお国から、こんなイロモノっぽいバンドが出てくるとはなあ。
今回も「Nekketsu」だの「Kozo」だの「Furyo's Day」だの、聴く前からニヤリとしてしまうタイトルに嬉しくなりますね(笑)
しかし単にコンセプトや見た目が面白いだけのバンドではありません。楽曲のクオリティー自体が非常に高く、実力は紛れもなく本物のバンド。
本作収録の楽曲に「This Is Crossover」というタイトルがある通り、90年代以降のヘヴィロック、ニューメタルを主軸にしつつ、ハードコア的なシャウトや突進力、ラップ・ヒップホップ要素を多大に取り入れており、一つのジャンルに縛られていない。
何となくですが「チャラさが薄れエクストリームメタル要素が色濃くなったLimp Bizkit」みたいな印象を受けました。ラップがかなり頻繁に飛び出すものの、リンプのようにイケイケアゲアゲな感じは無く、かなり硬派に攻め立てている。
かなり不穏でダークな雰囲気を持ちつつも、KoЯnのようなドロドロ感は薄めで、Slipknotのような怒りにまかせたガムシャラな勢いも控えめ。ハードながらもメタルとしての整合感もある音で、一口にラップメタル・ニューメタル・ヘヴィロックと言ってもやっぱり各々個性があるもんだと改めて感じました。
薄暗いライヴハウスでハーコーしまくりジャンプしまくりの光景が目に浮かぶ、実に攻撃性のあるヘヴィサウンドで、当然と言えば当然ですが、やはりドラマチックな要素、曲展開みたいなものはほぼ皆無。同じようなスタイルの曲が大半を占める。ライヴで暴れることで真価を見出せるサウンドですね。
ただ普通のモダンヘヴィロックと比べて、要所要所でかなりメタリックなリフを導入しているのは結構ポイント高い。疾走感あるパートやギターソロも随所に存在するし、中でもM6「Step By Step」に至ってはメロウなクリーンギターに飽き足らず、泣きのリードギターまで導入している!!
まあさすがにホンマモンの慟哭リードのように強烈に泣きに泣いているわけではないものの、ここまでモダンな音にこんなリードをブッ込むとは。
ちょいちょい聞こえる日本語(「不良ノ血ガ騒グ」など)に少し笑いを誘われつつも、全体的にはかなりヘヴィでタイトでカッコいいモダンメタル。ヘヴィロックに理解のある人であればネタ臭さ抜きでも純粋に楽しめる作品だと思います。
東日本大震災を受け「俺たちの夢が死刑宣告を受けたような気がした」と感じ、チャリティーソングの売り上げを赤十字社に寄付するなど、本気で日本を愛してくれているバンドだけに、やはり日本人が推してあげるべきバンドでしょう!モダンな音が好きな人は是非是非。
M2「Here Comes The Boom」 MV
リズミカルなリフはもちろんながら、疾走した時のカッコよさもかなりのモノ。ちなみに邦題は「爆発が起きた」
M3「Nekketsu」 Lyric Video
Nekketsu! Nekketsu! Nekketsu!