ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

WITHIN TEMPTATION 『Resist』

WITHIN TEMPTATION 『RESIST』

オランダ出身、シンフォニックメタルの代表格とされるバンドの5年ぶりの最新作。

 

前作『Hydra』は元KILLSWITCH ENGAGEのヴォーカルであるハワード・ショーンズ、アメリカのラッパーであるイグジビットなど、シンフォニックメタルには不釣り合いと思えるゲストの力を見事に活用した作品でした。

 

そして本作にもゲストヴォーカリストは器用されており、PAPA ROACHのジャコビー・シャディックス、IN FLAMESのアンダース・フリーデンという馴染みのあるメンツに加えて、ジャスパー・ステヴァーリンクという全く知らない人物まで参加。

 

このジャスパーという人、検索しても日本語のページがあまり出てこないので詳しいことはわかりませんが、彼はベルギーのシンガー/ギタリストで、2000年にARIDというバンドでアルバムデビューし、2002年にはソロ活動も開始、2009年にはアルイエン・アンソニー・ルカッセンと共にプログレッシヴメタルバンド・Guilt Machineを立ち上げたという人物なのだとか。

 

そんなゲストの歌唱も聴きどころとなる本作ですが、やはりこのバンドのスケール感、楽曲の完成度の高さはすさまじいとしか言えないレベルであることがわかります。ゲスト云々関係なしに楽曲の完成度が高すぎるSF映画のようなアー写からも想像できるように、もはや「ヘヴィメタル」というフィールドにクオリティーが収まりきっていない。

 

ジャコビーが参加したM1「The Reckoning」から、ラストのM10「Trophy Hunter」まで、全ての楽曲において、超大作映画のエンディングか何かかと言いたくなるような壮大な世界観が描かれる。とにもかくにも美しくドラマチックなメロディーが尽きることがないのです。アルバム前半はジャコビーとアンダースのスクリーム、押しの強いリフが使用されシリアスな雰囲気が強く、その後中盤から後半に差し掛かるにつれて、キャッチーかつ哀愁の強い歌がフィーチャーされるような印象。

 

荘厳なコーラス、SF的な質感を醸し出すエレクトロサウンド、ズンズンと迫ってくるようなヘヴィリフ、そして歌唱力・表現力共に見事としか言いようがないシャロン・デン・アデルのヴォーカル...すべてが渾然一体となって描かれるこの音は、メタルについて詳しくないリスナーに黙って聴かせれば、もはやヘヴィメタル」にカテゴライズされるアーティストのものだとは思わないのではないでしょうか。

 

特にシャロンとジャスパーが儚さ満載に歌い上げるM7「Firelight」、リズミカルかつドラマチックなサビが特徴のM8「Mad World」、鳥肌・感涙・失禁モノの美麗なサビを持つバラードM9「Mercy Mirror」という、天上のメロディーが堪能できる流れがたまらない...!

 

要所でヘヴィなサウンドこそ登場するものの、普通のヘヴィメタルというジャンルに期待される単純な興奮はほとんど無いと言っても過言ではなく、まるでアメリカやイギリスのポップスアーティストとしても違和感の無いような瞬間もあります。メタルの過激でうるさい部分に惹かれるリスナーは「こんな音はメタルに求めてねえんだよ」と思うかもしれません。

 

しかしこの細かなジャンル区分を超越したクオリティーの楽曲群は、劇的で美しい音を愛する人であれば絶対に聴いておかねばならないレベルの完成度です。必ずや感動に打ち震える!!......はず。

 

M1「The Reckoning」 MV

これ何てSF映画

 

M4「Supernova」 MV