ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

5/22 BLACK EARTH / BURNING BRIDGES 20th ANNIVERSARY JAPAN TOUR at 渋谷CLUB QUATTRO

20190522_BLACK EARTH

メロディックデスメタル史に燦然と輝く名盤『Burning Bridges』の発表20周年を記念した、BLACK EARTHの渋谷CLUB QUATTRO公演に行ってきました。

 

現在仕事が小忙しく、かつ仕事場から会場へのアクセスがあまり良くないため、スケジュールが見えにくい平日のライヴはパスかな~...なんて思っていました。「すぐに売り切れるだろうし、LOUD PARKで観たからいいや」と若干のあきらめの気持ちもありましたし。

 

しかし蓋を開けてみるとさすがに東京公演3日間は多かったのか、中日のクアトロはソールドアウトしておらず(それでも充分な客入りでしたが)、その日は定時後すぐに退社できそうだったため、当日に渋谷へ向かうことを決断。相変わらず自分のペースで歩くことすらままならない渋谷の人の多さに苛立ちつつ、開演20分前くらいに当日券をゲットすることに成功しました。

 

フロア内は若干のスペースこそ空いているものの、昨今の外タレメタルのライヴとしては珍しいほどの人数が集まっていました。日本のメタルヘッズにとってARCH ENEMYという存在の大きさと、バンドに対する期待値の高さがかなりのものであるということが実感できます。

 

スタンディングスペースの上手後方に位置取りをしてしばらく待っていると、会場内のBGMが少しボリュームを増したLOUDNESSの「Crazy Nights」に変わる。前回はMotorheadの「Ace Of Spades」でしたが、今回は長丁場の日本ツアーということもあり、国内アーティストの曲を採用してくれたのでしょうか。

 

そしてSEと共にメンバーが登場。楽器陣が最初に現れ「The Immortal」のイントロを奏でた瞬間、早速フロア中央にはモッシュピットが発生する。僕もスーツ姿じゃなかったら飛び込みたかったものだなあ...。

 

そしてヴォーカルパートに入ると、やや額の広さが気になるヨハン・リーヴァがステージ中央に。スタジオ音源ではデスヴォイスというよりはしゃがれた声みたいなヴォーカルワークであるものの、本日のパフォーマンスはまさに禍々しさ、おどろおどろしさをしっかりと携えた、ハードコア要素の無いデスメタルらしいデスヴォイス。現在のメジャー感を兼ね備えたARCH ENEMY本隊ではなし得ないアンダーグラウンドな魅力に満ちている。

 

まあ個人的にはメジャーな魅力を放つアンジェラ加入以降の作風の方が好きだし、思い入れも強いのですが、真正デスメタラーの人にはこのアングラな雰囲気こそたまらなかったことでしょう。アリッサが見せてくれるような堂々とした風格が感じられない猫ひろしのようなポーズもご愛敬(笑)

 

演奏陣の隙の無さは相変わらずといった感じですが、今回僕が上手側にいたせいもあってか、クリストファー・アモットのプレイが非常に印象強かったです。正確無比なシュレッドギターでバカテクぶりを発揮しつつ、兄譲りのセンスの泣きのギターを存分に披露。ただツンツン気味の短髪はメタルミュージシャンっぽくはなく、「何かシド・ヴィシャスに似てんなあ」とすら思うほどで、若干浮いている感はありましたが。

 

しかしやっぱりトーンの面で個性的なのはアニキのマイケル・アモットの方。おなじみの前傾姿勢より繰り出されるリードギターは、耳に入れば一発で彼だとわかる素晴らしさ。絶頂の表情でギュインギュインギターを泣かせる様を観てると、GALNERYUSのSYUさんのプレイは彼による影響が大きいのかな~と思ったり。

 

もちろんツインソロを披露している最中でも音圧の物足りなさを一切感じさせない、シャーリー・ダンジェロ、ダニエル・アーランドソンのリズム隊のプレイも圧巻の一言。ドラムのダニエルは本日が誕生日だったようで、ヨハンから「バースデーボーイ」と呼ばれていましたが、それ以上特にお祝いらしいお祝いは無かったです。ハッピーバースデーの合唱でも起きるかと思いましたが、まあデスメタルのライヴにハッピーな華やかさは不要ということか。

 

今回は『Burning Bridges』20周年記念ということで、ライヴ前半は同作の完全再現。メロデス史に残る名曲の数々を曲順通りにプレイしていったわけですが、改めて思ったのは『Burning Bridges』という作品のバランスの良さですね。

 

デスメタルとしての危険な魅力、アンダーグラウンド臭を損なわない程度に最大限メロディーを取り入れ、かつギターリフなどに正統的なメタルのエッセンスも感じさせる。冗長にならないやや短めのボリュームも功を奏して、これだけ邪悪な音なのにある種の聴きやすさ爽快感すら感じさせるほど...。やっぱスゴイアルバムなんだな~...

 

特に随一の人気曲とされる「Silverwing」はギターメロディー場内大合唱、最高潮の盛り上がりを見せましたが、個人的には「Angelclaw」が何よりも最高でしたね。リードギターをバックにした爆走、後半のメロディアスなギターソロはやっぱり死ぬほどカッコいい!!ヨハン期の中で一番好きな曲(「Bury Me An Angel」も捨てがたいけど)だけに生で、間近で、爆音で聴けて感動!

 

後半は『Black Earth』『Stigmata』およびBLACK EARTHとしての新曲をプレイする流れになり、当然ながらそれも素晴らしいのですが、やはり『Burning Bridges』収録曲と比較してしまうとややメロディー面において聴きおとりする感は否めないかも。

 

しかし新曲である「Burn On The Flame」はARCH ENEMYではなく、どことなくヨハン期のARCH ENEMYを彷彿させつつ、ギターメロディー大盤振る舞いの曲となっており、マイケル・アモットの作曲能力の高さがうかがい知れます。ARCH ENEMYではなくBLACK EARTHとして出す曲がどういったものであるべきか、日本人がどんな曲を求めているのかということがなんとなくわかっているのでしょう。

 

"何やっても一緒ですってね"の空耳でお馴染みの「Bridge Of Destiny」で本編を終了させるものの、当然ながらアンコールが響く。そりゃそうだ、永遠の名曲である「Bury Me An Angel」を演っていないのだから。

 

割とすぐに戻ってきたメンバーが最初にプレイした曲は、なんとIRON MAIDENの代表曲「Aces High」。

 

超名曲だけに当然盛り上がるのですが、キーが下がっているうえにヨハンのヴォーカルでは"Running, scrambling, flying"の特徴的な掛け合いのパートが来るまで何の曲かわからず、「あれ?カッコよさげな疾走曲だけど、これ何て曲だっけ?ARCH ENEMYにこんな曲合ったっけ?」と疑問に思ってしまうハメに(笑)

 

そしてラストは「Bury Me An Angel」、アモット兄弟がステージ中央に並んで泣きのツインギターをハモらせるラストが圧巻の「Fields Of Desolation」で締め。両曲ともリードギターのメロディーをウォーウォーと大合唱し、まさに大団円という言葉に相応しい幕切れとなりました。正規のARCH ENEMYでマイケルとクリストファーのコンビネーションが観られないのは残念ですが、その気持ちが完璧に晴れるほど存分に堪能することができました。

 

MCは極力控えめに、現在ではほとんど聴くことができないであろう初期の名曲を2時間半たっぷり楽しめた、非常に充実したライヴでした。正直これほどのクオリティーを誇る楽曲が日本以外ではさして受けなかったのが不思議でしょうがないのですが、やはりこれはフロントマンの存在感によるものなんでしょうかね...。

 

まあこのBLACK EARTHという試み、日本以外ではライヴしていないようだし、こんなプロジェクトを世界各国を差し置いて独占できる日本人としては素直に「ビッグインジャパン万歳!」と喜んでいい話なのでしょうけど。

 

コメント欄は英語ばっかりなので、日本人にしか受けないプロジェクトというわけではないはずですが。