今年でアルバムデビュー20周年を迎えた実力派メロディックハードコアバンドの9thアルバム。
ポップな中に強烈な哀愁を含んだ美メロと、ギターヴォーカルのSUGAさんによるハイトーンが魅力で、J-PUNK界隈において叙情性という点では文句なしにトップクラスのバンド。当然ながら僕も長年愛聴しています。
しかしインディーズに戻ってからの彼らのフルアルバムはどれもハズレらしいハズレがなかったものの、前作『Thousand Miracles』は「一体どうしちゃったの?」と思うほどにメロディーの哀愁が控えめで、初めて期待を超えてこなかった作品になってしまった感があります(「Twilight」というらしさ全開の名曲もありましたが)
「そういえばミニアルバムの『skyrocket』もあまり印象に残りにくい作品だったし、メロディーセンスがここにきて陰りをみせているのか...?」と不安を覚える中でも、とりあえず一定の期待感は持ちながら購入してみました。
イントロのM1「Awakening」から続くM2「21g」はキレのあるギターリフとダストらしい綺麗なコーラスこそ良いものの、やはりどうにもメロディーの印象が薄く先行きがやや不安に...。どうしたdustbox!?お前たちの実力はそんなもんじゃないだろう!?
しかし歌メロにかなりのフックをもったアップテンポ曲M4「Don't Call Me An Average Guy」、絶妙に哀愁を含みつつギターソロも飛び出す性急なM5「Vicious Circle」でしっかり持ち直した後、まさに彼らの王道とも言える美メロ疾走メロコアM6「You Are My Light」で「良かった!良作だ!」と胸をなでおろす。
かつての名盤『Blooming Harvest』ほどの重厚な音作りはなく、良くも悪くも3ピースらしい軽い音になったのは不満に感じなくもないものの、歌メロから透明感のあるコーラス、ギターフレーズにいたるまでちゃんと哀愁が盛り込まれており、前作と比較してグッとメロディアスかつキャッチーになっているのが嬉しいところ。
また本作の特徴として日本語詞の割合が多くなった点が挙げられます。『skyrocket』あたりから曲中にちょっとだけ日本語を挟むくらいのことをしていましたが、今作ではその頻度が高くなり、M11「Missing Piece」に至っては半分近くが日本語によって占められるほどに。
しかしそれによる違和感みたいなものはほとんど無く、楽曲の魅力が損なわれるようなことは一切ありません(むしろM11は本作中でもかなり叙情性の強い曲) メジャーに行って日本語バリバリ取り入れてよーわからん方向性に走り、その結果魅力が損なわれてしまったメロコアバンドは彼らの爪の垢を煎じて飲めば良いと思います(笑) まあ最近は多少マシになったっぽいですが...
本作中最も気に入った楽曲はラストのM13「One Thing I Know」。アルバムの最後は疾走曲で締める彼らとしては異色のアップテンポナンバーですが、切なさ全開の哀愁がとにかく素晴らしく、最初から最後まで泣きのメロディーが尽きることがない!疾走感に頼らずとも名曲を生み出せる彼らの作曲能力の高さが浮き彫りになりますね。
最高傑作とまではいかないまでも、よくぞここまでメロディーを呼び戻してくれた!と嬉しくなってしまうナイスなアルバム。やはり僕にとってのdustbox像はこういう切ない旋律なんです。
M6「You Are My Light」 MV
M13「One Thing I Know」 MV (名曲)