ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

BRAHMAN 『ANTINOMY』 (2008)

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  • 前作からハードコアパンクバンドとしてのスタンスに傾斜
  • 叙情美を押し出したミドル曲の充実ぶりも文句なし
  • バンドのスタイルのまとまりは最高峰

 

前作『THE MIDDLE WAY』より3年半ぶりの4thフルアルバム。

 

前作発表後にアコースティックバンド・OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND(現OAU)を結成し、ソフトな楽曲をメインにプレイする環境ができたこと、さらにGAUZEなどのハードコアバンドと対バンする機会が多くなってきたことによるものか、ハードコアパンクとしての要素がより増強された作品になりました。

 

「二律背反」を意味するアルバムタイトルを象徴する、本作の核となるM1「The only way」で幕を開ける本作は、クリーントーンによる叙情的なムードは前作から継承しつつ、MAKOTOさんとKOHKIさんの男らしい野太い咆哮を用いたシンガロングも多用し、疾走感溢れるパートの割合も増えている。今までの作品で培ってきたバンドとしての地力が成熟し、非常に安定感ある作品に仕上がっている印象です。

 

民族音楽らしい物悲しく怪しげな旋律も前面に出てきていて、M2「Speculation」、M3「Epigram」、M7「Handan's pillow」あたりの疾走ハードコアチューンは彼らの魅力がダイレクトに伝わる名曲。このモッシュ・ダイブ大歓迎の荒々しさと、どこかスピリチュアルで神秘的なムードの両立こそBRAHMANの強み。

 

恒例のカバー曲M8は、イギリス出身のパワーポップバンドTHE FANSの「You don't live here anymore」。他人様の曲ながらBRAHMANらしい叙情性をしっかり感じさせ、これまで以上にドラムがパワフルに連打される疾走チューン。前のM7と合わせて活きの良い突進力がアルバムに躍動感を与える。

 

そして前作『THE MIDDLE WAY』で花開いた、クリーントーンを主軸とした落ち着いた叙情美センスも遺憾なく発揮。M4「Stand aloof」、M6「Oneness」はキレイなBRAHMANのお手本とも呼べる出来だし、M5「Silent day」は混沌としたダークな様相を呈している、今まであまり聴けなかった曲調。ハードコアのアグレッションを強化していながら、メロディアスな部分でも今まで以上に幅を広げている。

 

彼らの武器であるハードコアパンクとしての勢いと激情、柔らかく落ち着いたアーティスティックな叙情性、そして民族音楽直径の怪しくも憂いを帯びたメロディーとアレンジが非常にバランス良く配分されたアルバムです。アルバムトータルのまとまりの良さは彼らの作品の中でも随一ですね。

 

 

個人的に本作は

"過去三作のフルアルバムで培った集大成。BRAHMANというバンドの核が完璧に描かれた一作"

という感じです。

 

M5「Silent day」 MV

 

M7「Handan's pillow」 MV (シングルバージョン)

上記MVはシングルバージョンなので本作収録曲とは異なります