- 軍歌や応援歌に通じる熱き男の世界
- 血潮が滾る熱さと武骨な哀愁が同居
- ヴォーカルの堂々たる歌いっぷりの熱量の高さ
前回活動歴40年にも及ぶ大ベテランの男らしいメタルを取り上げました。その流れに乗って、それよりもさらに男くささマシマシのド硬派メタルアルバムについて書いてみます。
1991年にヴォーカルの齋藤正寿さんを中心に結成されたヘヴィメタルバンド・BRAVE BOMBER(全く知らなかった)を前身とする、正統派パワーメタルバンド。
本作はまさに男の中の男メタル。生きとし生けるすべての日本男児を鼓舞する、熱き血潮がたぎる魂のアルバムなのです。
Sabatonの戦いのロマンにMANOWARのマッチョイズムをプラス、さらに軍歌というか、応援団的な熱さをドッキングさせたというべき音世界。日出ずる国にキンタマをぶら下げて生まれきた者であれば、熱くならないわけがない。この音に魂が震えないヤツはお呼びじゃないぜ。
ひ弱さ、ナヨっちさとはまったくの無縁。剛直なメタリックリフで力強くゴリゴリと進み、男の哀愁と熱さを放つメロディーが響く。その旋律をなぞる斉藤さんのヴォーカルは凄まじく男らしい野太い声質で、この応援団的サウンドに完璧にマッチ。暑苦しい世界観をさらに押し進める方向にうまく働いています。歌詞も当然熱き大和魂で満ち溢れていて、まるで男塾のよう(あんま読んだことないけど)
この手の世界観、繊細で綺麗なものを好む人にはあまり理解されないのかもしれません。もちろん僕も優しく綺麗な音楽は良いと思うし、本作の雰囲気が受け付けないという気持ちを否定したくはない。
しかし!それでもあえて言おう!!男に生まれたのであれば、必ずやこういった世界観に憧れるはずであると!!!
疾走曲からミドル曲まで、まさに「日本人ならではのヒロイズム」が宿っており、それでいてしっかりとメロディーはキャッチーというところに、このバンドの曲作りのセンスを感じます。テンポを落とした楽曲の方が、硬派な力強さが目立っているとすら言えるほど。
とはいえ僕はやはり速い曲が好みなんですが、そんな僕の琴線に最も響いたのがM3「大行進」。この曲はマジで最高。聴いているだけでアドレナリンが噴出し、拳を握る力が倍々にまでなってしまう。
イントロからAメロ、男声コーラス、"だああいこおおしいいいいいんんんっっっ!!!!"の叫びが熱すぎるサビに至るまで、昂った闘争心が鎮まる瞬間は全くない。闘志を宿した男たちがひたすら前のめりに行進していく様が如実に伝わってくる、激熱爆走キラーチューン!!リフも何気にキャッチーで、かつしっかりと骨太でヘヴィ!
"Man is a 闘人"というサビのフレーズがやけに耳に残る激熱疾走曲M4「闘人」、"リタアアアンマッチ!" "闘志!闘志!闘争心んんん!!!"の叫びが男の魂にビンビンに響くM5「再戦」、テンポを落とし武骨に進んでいくも、急に性急になり"生死を懸けてええええ!!勝利へ前進んんん!!!"と気合がフルスロットルになるM6「不死鳥」など、どこを切っても男臭さの雨アラレ。
M7「日没」、M8「BRAVE NEW WORLD」はスロー~ミドル寄りの楽曲で、力強さはもちろんあるのですが、それ以上に男の不器用ない哀愁を前面に押し出してきている印象。歌詞の通り、赤き太陽が脳裏に浮かびます。
そしてM9「爆進行進曲」は待ってましたの激熱疾走!よりキャッチーさが強いM3の方が好みではありますが、このアグレッシヴなリフワークに、"爆進マァァァァァチ!!!"の魂の叫びよ!!たまらん!途中のキャッチーなリードギターと重なるオーオーコーラスも熱すぎる!
常時前進!常時前進!常時前進!常時爆進行進曲!!
このような熱量が沸点を超えてしまうほどの、とにかく熱すぎる男の名曲が並ぶ名盤。ただこれほどまでに熱い楽曲が立て続き、しかも一曲ごとの長さがそこそこあるため、聴き疲れと無縁でいられないのは事実かも(アドレナリンが出てるからさほどでもないかな) さらに最後に12分におよぶ大作M10「凱旋行進曲」が続くわけですから、集中力が彼らの音についてこれるかがキモですね。
とはいえ、もし本作を流して聴いて集中力がおっつかない、ということになれば、それはまだまだ聴き手の魂が軟弱な証拠。本作をひたすらリピートして、その日和った音楽キャパシティを鍛えればよいのです。
個人的に本作は
"すべての日本男児の心を震わせ、背中を力強く押してくれる、男魂100%ヘヴィメタル"
という感じです。