ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

BULLET FOR MY VALENTINE 『Venom』

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  • 前作からサウンドの攻撃力大幅アップ
  • メロディーの聴きごたえは初期に及ばず
  • 魅力ある楽曲とそうでない曲の二極化が激しめ

 

メタリックで攻撃的なサウンドに、エモ/スクリーモ直系のメロディアスな要素をブレンドし、新世代メタルの代表格としてのし上がったBULLET FOR MY VALENTINE。そんな彼らの、デビューアルバムから10年経った2015年に発表した5thフルアルバム。

 

前作『Temper Temper』は、まあ悪い内容という訳ではないものの、彼らのこれまでの作品からするとかなりパンチが弱く、だいぶ不評を買ったアルバムになりました。

 

しかし翻って本作はというと、前作で大きく削がれてしまった突進力、攻撃力を復活させていることが分かります。血の気の多いシャウトの量も多く、さながら1stアルバム『The Poison』を思わせる(アルバムタイトルの意味も近いし)棘のある音。

 

イントロのM1「V」から続くM2「No Way Out」は、のっけから絶叫と共に強靭なリフ、バスドラ連打がブチかまされる曲で、一気にリスナーの期待感を上げてくれます。前作とは気合いの入り方が違うぞと思わせてくれる、ナイスなオープニング。

 

そしてM3「Army Of Noise」はこれを待っていた!と言いたくなるほどの、強烈な破壊力を持った疾走キラーチューン!ザクザク刻まれるリフも、クールな歌メロもカッコよく、ツインギターソロは凄まじい勢い!

 

本作がリリースされた頃、僕はCDショップでアルバイトしており、ストアプレイでこの曲がかかった時は、後輩の小池君と共に「この曲メッチャ良いよね!」と言い合っていたのを思い出しますね(笑)

 

この他にも粗野なシャウトがバンバン飛び出し、これまた疾走するギターソロが大きな聴きどころになったM6「Broken」、小気味良く流れるリフとエモーショナルな歌の交錯が気持ちいいM9「Skin」、よりリフのキレが冴え渡り、軽快な疾走感とシンガロングで高揚させてくれるM11「Pariah」など、勢い付いた楽曲はどれもカッコいい仕上がりになっています。

 

こんな風に、前作から確実にメタルとしてのアグレッションは取り戻していて、その事は素直に「良くなった」と言える出来。ただ、必ずしも満足のいくアルバムになったのかというと、それもまたちょっと微妙ではあります。

 

というのも、メロディーのキャッチーさという点においては、まだまだ改善されたとは言い難いから。一聴してカッコいいと思えるほど良質なメロディーが潤沢にあった3rdに比べると、イマイチパッとしない歌メロも多い。

 

そのせいでテンポを落とした楽曲が聴きどころとして弱く、インパクト不足に繋がってしまっています。今までアルバムのタイトルトラックにハズレは無かったんですが、本作のM7「Venom」はだいぶ地味な展開に終始してしまっているのが厳しい。どこか神聖な雰囲気を醸し出すコーラスが特徴のM5「You Want A Battle? (Here's A War)」とかは結構いいセン行ってるんですけどね〜…。

 

メタルバンドとして相応しい音に回帰してくれたのはありがたいし、M3のような必殺のキラーチューンを収録しているのは褒められるべきですが、胸を張って「良作だ!」とは言えないのがもどかしいアルバムです。

 

しかし本作でメタルとしてのストレートなカッコよさを意識的に打ち出したために、その反動で次作があのようなヤワな作風になってしまったらしいので、そう考えるとなかなか罪深き作品ですねコレ(笑)

 

 

個人的に本作は

"メタルらしい殺傷能力を回帰させた納得のサウンド。しかしメロディーの充実度はもう一歩"

という感じです。

 


Bullet For My Valentine - Army of Noise (Live)

 


Bullet For My Valentine - Venom (Official Music Video)