ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

12/9 Graupel Japan Tour 2021-2022 at 渋谷CYCLONE

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現在絶賛ツアー中のメタルコアバンド・Graupelの渋谷CYCLONE公演に行ってきました。ド平日ですよ。ド平日。

 

ツアー初日の千葉LOOKのライヴがあまりにも最高だったので、この日は有給使って行ってやろうと思っていました。しかし、同日にチーム内の先輩社員が健康診断で休むということで、その日は出社せざるを得ない。開始に間に合うか分からないので、チケットは取っていませんでした。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

幸いな事に、今週はさほど仕事が立て込んでおらず、定時ちょい過ぎくらいでさっさと会社から離脱することに成功。スーツのまんま渋谷へ直行し、会場となるCYCLONEへと向かう。開演時間の19時は少し過ぎてしまいましたが、無事に当日券もゲットでき、いかにも「DEXCOREにしか興味ありません」ってなナリの女性客をすり抜けて(笑)フロアへと入る。すでに一組目のVictim Of Deceptionが始まってました。

 

Victim Of Deception

名前は何となく耳にした事があるものの、ほぼ何も知らない状態で観たバンド。ステージ正面のスペースはすでに埋まり気味だったので、下手側通路から、スピーカーの間を通して観ていました。そのため角度的にドラマーは全く見えず…

 

本日の出演組では、最もヘヴィでエクストリーム、邪悪なスタイル。とっつきやすさやドラマチックなメロウさは存在せず、極悪重音のデスコアをひたすらプレイ。あまりの低音の効き具合に、ステージ横の自販機のディスプレイの飲み物が揺れまくってる。

 

パフォーマンスも楽曲も徹底して無愛想で、曲だけ聴くと、メタルにキャッチーなわかりやすさを求める僕の琴線に引っ掛かる要素はほぼほぼ無し。

 

しかし、高音絶叫から低音のグロウルまで自在に操るヴォーカルは非常にカッコ良かったですね。ほとんど笑顔を見せず、MCもせず、オーディエンスを睨みつけながら狂気に駆られたように叫ぶその姿は、ルックスがそれっぽいのもあって、金髪ショートだった頃のDIR EN GREYの京さんとダブる。

 

徹頭徹尾ヘヴィリフを弾きながら、要所でピロピロした速弾きをブチ込むギターに、そのギターにも負けず劣らずの高速運指を見せるベースと、高い技術を必要とするデスコアというジャンルを標榜するだけあって、サウンドのレベルの高さはかなりのものでした。

 

後半にはDEXCOREのヴォーカルが登場して、ツインヴォーカル体制となり場を沸かす。ただクリーンの歌い分けなどは無く、ひたすら絶叫を繰り返していくので、目をつぶって聴けばどちらが叫んでいるかは判別できず、ツインヴォーカルの良さが活きているとは言い難いかも(笑)

 

 

Sailing Before The Wind

続いてはモダンメタルコアバンドであるSaling Before The Wind。メンバー5人全員が白のジャケットに身を包み、ヘヴィなサウンドでフロアを揺らす。

 

先ほどのVictim Of Deceptionはデスコアという音楽性のため、ひたすらに極悪の限りを尽くす楽曲で占められていましたが、彼らはクリーンの要素も秘めたメタルコア。とっつきやすさは幾分か増えつつ、竿をブン回す楽器陣のパフォーマンスも見所になっている。

 

特に一番存在感があると感じたのはベースのBitokuさんで、かなりの場数を踏んできている人だけに、他メンバーよりも余裕があるように感じられる。ギター二本がヘヴィリフを弾いている間にも、ベースの骨太な低音はかなり強調されており、プレイにおける支柱を担っている感じ。ステージの端から端までシャトルランするように走り回るなど、このジャンルとベーシストとしてはあり得ないほど目立つ。

 

Djent的変拍子のリフにおいても、そのリズム感が一切狂うことはなく、演奏は非常にタイトにまとまっていて、この辺はやはり有名バンドとして強いところだなと感じました。

 

ただやはりこの手のモダンメタルの宿命なのか、リードギターとクリーンヴォーカルのメロディーにフックが無く、サビがどうも印象に残らない。ヴォーカルもシャウトはガッツリ気合を入れて叫んでくれたものの、クリーンによるサビの安定感はなかなかに厳しいものがあり、メロウに聴かせる部分がもっと強化されればな...という思いがよぎったのも事実です。

 

 

DEXCORE

ヴィジュアル系でありながら、ヴィジュアル系らしさをほとんど武器とせず、本格的なメタルコアで勝負をしているバンドだと聞いており、どんなライヴになるのかちょっと楽しみでした。

 

メンバーのルックスこそ、カッチリしたヴィジュアル系(そこまでゴテゴテではないけど)でしたが、そのサウンドは確かにヘヴィなモダンメタル。シャウトの腕前も一級品だし、決して前二組に引けを取らないほど音圧も強い。

 

正直ここまで本格派のメタルで勝負するのなら、ヴィジュアル系であることはむしろ足枷になってしまうんじゃないかと余計な心配すらしてしまうのですが(メイクしてなくてもイケメンっぽいし)、まあDEVILOOFのようなガチのデスコアバンドもいますし、本人たちも狙いがあるんでしょう。

 

途中には同期音源も駆使したクリーンヴォイスによるサビも登場。先ほどのSailing Before The Windよりもメロディーにキャッチーさがあり、この辺はセンスを感じさせてくれる。ヴォーカルの歌い方も、あまりヴィジュアル系チックなナヨっとした感じではなく(あくまでライヴで聴いた限りでは)、この辺もヘヴィミュージックリスナーには優しいですね。

 

このバンドのアクトのみ撮影禁止というルールにはなっていたのですが、途中でヴォーカルが「みんな携帯は持ってるか?そいつを出してカメラを起動させて、赤いボタンを押して、そいつを拡散させりゃいい!」と、この時のみ撮影とSNS拡散がOKに。ただこの発言はメンバーの裁量らしく、本人は「後でマネージャーに怒られる」とボヤいてました。

 

僕はライヴの撮影は基本やらないのですが(スマホの画面の明かりが大量にチカチカしてるライヴ会場は好きじゃない)、バンド側からこう言われたのなら、少しだけカメラを構える。

 

最後は先程のお返しと言わんばかりに、Victim Of Deceptionのヴォーカルが登場。ツインヴォーカル体制で、ラストに花を添えました(ひたすら極悪だったからこの表現は似合わないか)

 

 

Graupel

最後はもちろんメインアクトであるGraupel。Sailing Before The WindとDEXCOREはフロアの最後方で観ていたので、PA卓がある二階の柱による視界制限があったので(クアトロに比べりゃ全然マシだけど)、DEXCOREが終わると同時に、観やすいようにちょっと前移動。

 

千葉で観た時と印象はほぼ同じ感じでした。そう、メチャクチャに熱くてカッコいい。こりゃ何度も観たくなりますよ。

 

一曲目の「Apathy」から早速ギア全開。低音を強調した狂ったシャウトの破壊力も抜群で、楽器陣が務めるクリーンのコーラスもよく効いている。アグレッシヴなだけでないメロディアスな部分もしっかりと補強していて隙がない。

 

お立ち台でキレよく動き、飛び跳ね、オーディエンスを煽りまくるヴォーカルの存在感が非常に際立ち、拳を上げてヘッドバンギングをせざるを得ない。本当にこのライヴでの扇情力は素晴らしいものがあります。

 

ダークなヘヴィネスを押し出した「False Dreams」に、メロディアスさを保持しつつ、ツーステ誘発のリズミカルさをも併せ持つ「Towpath」、リードギターの叙情的イントロから爆発し、リズム落ちパートの破壊力がエグすぎる「Departure」と、キラーチューンのオンパレード。彼らは持ち曲がそんなに多いバンドではないので、セットリストの被りも多いのですが、そんなことを一切意識させないほどパフォーマンスが良い。

 

「俺たちはここ東京のバンドで、渋谷CYCLONEはホームみたいなものです」と、全国を回りつつ、出身地であるライヴが熱く盛り上がっている状況の喜びを噛みしめ、「まだメタルコアという音楽は行き止まりではない、これからもっと発展していく音楽だと思っているから、このホームでそれを証明する」と、自身の音楽スタイルへのひたむきな情熱を述べる姿勢も千葉で観たときと変わらない。

 

これだけ楽曲のクオリティーが高くて、かつライヴのパフォーマンスの熱がすさまじいバンドですから、そりゃ日本のメタルコアは頭打ちだとは思えなくなりますよね。まだまだ日本全土を揺さぶるライヴを続けてほしい。

 

クライマックスの「Fade Away」の激情には心が震えたし、ラストを飾る「Bereavement」は、本日最大級というくらいのヘッドバンギングの嵐が巻き起こる。わずか9曲のセットリストでアンコールも無しなのが物足りないのですが、これだけのステージングを見せてくれたのであれば文句は言うまい。

 

 

出演した4組とも、非常に印象的でクオリティーの高いライヴを見せてくれましたが(Victim Of Deceptionはステージ前半分くらいしか見えなかったですが)、やはりというかGraupelが最後の最後で持っていった感じの一日。メロディックメタルコアとしての激情の発散は、今の日本においては彼らが最高峰なのではないかと。この国でメタルコアというジャンルを愛する人は、彼らを無視する選択肢は無いです。

 

ライヴが素晴らしいバンドは何度でも観たいものですから、ツアーファイナルの代官山も行こうかしら。